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回路設計は「やめとけ」?きついと言われる理由と将来性・年収を解説

回路設計エンジニアは、家電や自動車、医療機器などの電子回路を設計し、製品の性能と安全性を支える仕事です。

本記事では、仕事内容やきついと言われる理由、将来性、必要なスキル、キャリアパスをわかりやすく解説します。

未経験から回路設計エンジニアを目指したい人や、転職前に適性・働き方・年収水準を知りたい人は、ぜひ参考にしてください。

目次
松本 隆志 採用統括グループ長
著者:株式会社ワールドインテック採用統括グループ長/松本 隆志

回路設計エンジニアとは?仕事内容と2つの設計領域


 回路設計エンジニアは、家電・自動車・医療機器・産業機器などに組み込まれる電子回路を設計し、製品化までを支える専門職です。

目に見えにくい仕事ですが、温度を測る、モーターを動かす、電源を安定させる、信号を処理するといった製品の根幹を担います。安全性や使いやすさにも直結するため、社会貢献性の高い技術職です。

主な仕事の流れは、以下のとおりです。

  • 仕様策定:製品に必要な性能・サイズ・コスト・安全基準を整理する
  • 回路設計:仕様に合わせて回路構成を決め、回路図を作成する
  • シミュレーション:設計通りに動くかをソフトウェア上で検証する
  • 試作評価:実機を使い、温度・ノイズ・部品ばらつきなどの影響を確認する
  • 量産移行支援:製造時の不具合を減らすため、部品や設計条件を調整する


回路設計は、大きく「デジタル回路設計」と「アナログ回路設計」に分かれます。それぞれ扱う信号や必要な知識が異なるため、同じ回路設計でも求められるスキルは異なります。

項目

デジタル回路設計

アナログ回路設計

扱う信号

0と1の論理信号(離散的)

電圧・音など連続したアナログ信号

代表的な製品

集積回路(IC)・マイコン周辺回路・FPGA

増幅器・フィルタ・電源回路・センサー処理回路

求められる能力

論理的思考力・情報収集能力・最新技術へのキャッチアップ力

高度な解析学・電子工学の専門知識・設計経験と感覚に基づく調整力

シミュレーションの有効性

ソフトウェアでのシミュレーションが有効で、理論通りの動作になりやすい

理論上問題がなくても実機で動作しないケースがあり、経験・センスが必要

難易度の特徴

成長スピードが速く、常に最新技術のキャッチアップが必要

専門知識の難易度が高く、人材不足が慢性化している希少分野

要件定義からシミュレーション・試作までの設計プロセス

回路設計は、いきなり回路図を作成する仕事ではありません。まず顧客や社内の要求を分析し、製品に必要な性能を整理します。

たとえば産業用センサーなら、測定精度・耐久性・使用温度・ノイズ耐性などを確認します。家庭用ロボット掃除機であれば、モーター制御、バッテリー管理、障害物検知、充電回路などが設計対象です。

要件が固まったら、回路構成を決めて部品を選定、回路図の作成に入ります。その後SPICEシミュレータなどを使い、温度変動や部品ばらつき、ノイズの影響を事前に検証します。

問題が見つかった場合は、部品や配線、回路定数を見直し、量産時にも安定して動く設計へ調整するのも仕事です。

回路設計エンジニアが活躍する主な業界と製品

回路設計エンジニアは、幅広い業界で需要が高まっています。

たとえば家電メーカーでは、冷蔵庫・洗濯機などの制御回路や電源回路の設計、自動車業界では、車載センサー、バッテリー制御などが主な設計対象です。

電子回路は、現代の製品に欠かせない基盤技術です。そのため回路設計エンジニアの就業先は幅広く、専門性を磨けば長期的にキャリアを築けます。

回路設計が「きつい」「やめとけ」と言われる理由と実態

 
回路設計は、専門性が高いと同時に責任も重い仕事です。そのため「きつい」「やめとけ」と言われる場合があります。特に回路設計がきついと言われる理由は、以下の3つです。

  1. 専門知識の広さと継続学習が求められる負担
  2. 納期プレッシャーと品質要求が生むストレスの構造
  3. コスト制約・調整業務・アナログ設計特有のジレンマ


しかし、すべての回路設計エンジニアが苦労するわけではありません。個人の適性や学習への耐性、配属先の職場環境によって、働きやすさは大きく変わります。

専門知識の広さと継続学習が求められる負担

回路設計では、回路理論だけでなく、電磁気学、電子部品の特性、CAD操作、制御工学、熱設計、ノイズ対策など、幅広い知識が必要です。製品によっては、ソフトウェアや機械設計の知識も求められます。

設計対象が変わるたびに確認すべき条件も変わるため、専門知識の広さと継続学習が必要です。なかには休日に論文やメーカーのデータシートを読み、研鑽を重ねる人もいます。

そのため学習が苦手な人にとって、回路設計はつらいと感じやすいでしょう。

納期プレッシャーと品質要求が生むストレスの構造

回路設計は、企画、機械設計、ソフトウェア開発、製造部門、外部の部品メーカーなど、多くの関係者と連携しながら行います。多くの工程と調整をしながら、製品開発全体のスケジュールに合わせて納期を守らなければなりません。

スムーズに進めば問題ありませんが、設計途中や試作段階で不具合が見つかると大変です。原因調査や再設計が必要になった場合は納期に大きく影響するため、残業や休日出勤などで対応せざるを得ません。

また回路設計のミスは、製品全体の性能や信頼性に直結します。特に医療機器や自動車、産業機器など安全性が重視される製品では、わずかな不具合も許されません。

高い品質を求められる一方、開発スケジュールは限られているため、精神的なプレッシャーを感じる人もいます。

コスト制約・調整業務・アナログ設計特有のジレンマ

回路設計は、技術的に理想の設計ができたとしてもそのまま採用されるとは限りません。

製品には、コストや納期の制約があります。高性能な部品を使えば品質は上げやすいですが、原価が上がれば量産品として製造できません。そのため短い開発期間の中で、性能・価格・納期のバランスを考える必要があります。

回路設計は、設計以外にも多くの仕事を抱えています。他部署からの要望を受けて、機能や価格の調整などが大変と感じる人も多いです。

またアナログ回路設計では、理論上は問題がなくても実機で思うように動かない場面があります。温度、ノイズ、部品ばらつき、基板パターンの影響など、数値だけではわからない要素が多く、若手や未経験者は難しさを感じやすいです。

回路設計エンジニアの将来性と年収水準

 
回路設計エンジニアは、将来性のある職種です。

電子回路は、家電、自動車、医療機器、産業機器、通信機器など、幅広い製品に使われています。現在の生活や産業が電子機器に支えられている以上、回路設計の需要がすぐになくなる可能性は低いです。

「回路設計はオワコン」と言われることもありますが、実態は異なります。特にIoT、5G、EV、半導体、ロボットなどの成長分野では、電子回路の重要性が高まっています。

アナログ回路設計の需要が特に高い理由

回路設計の中でも、アナログ回路設計は特に需要が高いです。

アナログ回路設計は、高度な電子工学の知識に加え、実機での評価経験や調整力が求められるため、短期間でスキルを取得しにくい分野です。したがって対応できる人材が限られており、慢性的な人材不足が続いています。

デジタル化が進む現代ですが、実はアナログ技術の価値は上がっています。センサーが取得する温度、音、圧力、光などの信号は、もともと連続したアナログ信号です。アナログ信号を正しく扱うには、センサー信号処理や電源回路などの知識が必要です。

また電源の安定性やノイズ耐性は、製品全体の品質に直結します。ソフトウェアだけでは解決できない領域も多く、アナログ回路設計は代替が難しい技術です。

そのため経験を積んだエンジニアは市場価値が高まりやすく、企業から高く評価されやすいです。

回路設計エンジニアの年収相場

dodaの職種図鑑によると、回路設計エンジニアの平均年収は517.0万円です。※1

国税庁の「令和6年分民間給与実態統計調査」では、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与が478万円のため、単純に比較すると回路設計エンジニアの平均年収は、日本の給与所得者全体よりやや高い水準といえます。

ただし年収は、勤務先の規模、担当領域、経験年数、保有スキルによって変わります。アナログ回路、半導体関連、車載機器など、専門性の高い領域で経験を積めば、より高い収入を目指せるでしょう。

参考:doda|回路設計の年収国税庁|令和6年分 民間給与実態統計調査
※1 調査期間は2023年09月〜2024年8月、dodaサービスに登録したビジネスパーソンを対象にしています

回路設計エンジニアに必要なスキルと役立つ資格

 
回路設計エンジニアには、専門的な技術スキルと関係者とスムーズに連携を図る対人スキルの両方が求められます。回路図を正確に作成するだけでなく、仕様を読み解いて部品の特性を理解し、製造や品質まで見据えて設計する力が必要です。

また製品開発では、企画、機械設計、ソフトウェア開発、製造部門との調整も発生します。そのため技術力だけでなく、設計意図をわかりやすく伝える力も欠かせません。

ここでは、回路設計エンジニアに必要なスキルと資格を、以下の流れで整理します。

  • 回路理論・CAD・ノイズ対策などの技術スキル
  • SPICE系シミュレータやPCB CADなどの設計ツール
  • 転職・昇進時に評価されやすい資格
  • 学歴や専門分野が採用条件になるケース


回路設計エンジニアに求められる技術スキルと設計ツール

回路設計エンジニアは、回路理論、電磁気学、制御工学などの基礎知識が必要です。また実務では、CADを使った回路図作成や基板設計も求められます。

さらに業務では、部品メーカーのデータシートや、海外の技術資料を読む場面もあります。英語力があると、最新部品や設計手法をスムーズに調べられ、業務効率アップにつながるでしょう。

回路設計エンジニアが使用する代表的な設計ツールを、表にまとめました。

ツール種別

代表的なツール

主な用途

SPICE系シミュレータ

LTspice・PSpice・Cadence

AC解析・過渡解析・ノイズ解析による回路動作の事前検証

温度変動・部品ばらつき・ノイズの影響を評価し設計リスクを最小化する

PCB CAD

Altium Designer・KiCad・Mentor Graphics

回路図作成から基板レイアウト設計まで一貫して行う

製造性と信頼性を考慮した設計を実現する

キャリアアップに役立つ回路設計の資格一覧

回路設計エンジニアになるために、必須の資格はありません。実務では、資格よりも設計経験、担当製品、扱えるツール、専門分野の知識などが重視されます。

ただし資格はスキルを客観的にアピールできるため、未経験からの転職・昇進を目指すなら、学習意欲や基礎力の証明として有効です。

回路設計におすすめの資格は、以下のとおりです。

資格名

概要

難易度

取得のメリット

情報処理技術者試験

・ITの幅広い知識を習得できる国家試験

・基本情報・応用情報など複数レベルがある

★★★☆☆

回路設計に必要なIT全般の基礎知識を証明でき、デジタル回路設計分野での評価につながる

CAD利用技術者試験

・CADに対する知識・スキルを証明できる資格

・2次元・3次元の区分がある

★★★☆☆

回路図作成から基板レイアウトまで必須のCADスキルを客観的に証明できる

EMC設計技術者資格

回路設計に関する高度な知識・スキルを証明できる資格

★★★★☆

ノイズ対策・EMC規格対応の専門性を示せ、高速信号設計分野での市場価値向上につながる

電気主任技術者

・電気設備の工事・維持・運用に関する国家資格

・第一種〜第三種がある

★★★★☆

電気系の専門性を証明でき、転職・昇進時の強力なアピールになる

電気工事士

・電気設備の工事・取扱いに必要な国家資格

・第一種・第二種がある

★★☆☆☆

電気回路設計の基礎的な知識・スキルの裏付けとして活用でき、未経験者の学習目標にもなる

資格を選ぶ際は、目指す設計領域に合わせましょう。たとえばデジタル回路や組み込みなら情報処理技術者試験、基板設計に関わるならCAD利用技術者試験がおすすめです。

なお企業によっては、電気・電子系学科の修士課程や博士課程の修了を採用条件にしている場合があります。特に半導体、通信、高周波、医療機器、研究開発寄りの職種は、深い専門知識が求められやすいです。

「きつい」を乗り越えて活躍するための対処法とキャリアパス

 
回路設計は、専門知識の広さや納期のプレッシャーから「きつい」と感じやすい職種です。ただしスキル向上、職場環境の見直し、キャリア戦略によって、負担は軽減できます。

回路設計エンジニアが長く活躍するには、以下のような対処法とキャリアパスを意識しましょう。

  • 職場環境や専門分野を見直し、負担の原因を減らす
  • タスク管理や上司への相談で業務量を調整する
  • 技術専門職、マネージャー、コンサルタントなど進む道を決める
  • IoT、EV、再生可能エネルギーなど成長分野に専門性を広げる


回路設計は厳しさがある一方専門性が高く、収入アップや市場価値向上につながりやすい仕事です。きつさの原因を分析して対策を取れば、安定したキャリアを築きやすくなります。

職場環境・専門分野の選び方で「きつさ」を軽減する方法

回路設計のきつさは、職場環境によって大きく変わります。

たとえばコストや予算の制約が多い職場では、理想の設計を追求しにくいです。性能を高める部品を使いたくても、原価や量産性を理由に採用されないケースもあります。

現職に不満な人は、研究開発や新製品開発に投資している大手メーカーや成長企業、技術志向の強い企業への転職を検討しましょう。開発予算に余裕があると検証や試作に時間を使えるため、設計者として納得感を持って働きやすくなります。

残業の多さに悩んでいる人は、ワークライフバランスを重視している企業への転職がおすすめです。フレックス制やリモートワークを導入している企業なら、集中して作業する時間を確保できます。

また現在の職場で、負担を減らす工夫も必要です。業務量が限界に近い場合は上司に相談し、優先順位や担当範囲の調整を依頼しましょう。

回路設計エンジニアのキャリアパスと市場価値を高める方向性

回路設計エンジニアのキャリアパスは、一つではありません。代表的なパスとして、技術専門職やプロジェクトマネージャーなどが挙げられます。

どのキャリアパスを選ぶかによって、伸ばすべきスキルも変わります。

技術専門職を目指す場合は、アナログ回路、高速信号設計、電源回路、EMC対策、半導体設計など、特定領域の専門性を深めましょう。設計の難易度が高い分野ほど対応できる人材が限られるため、市場価値を高めやすいです。

プロジェクトマネージャーを目指す場合は、設計スキルに加えてスケジュール管理、品質管理、コスト管理、部門間調整力が求められます。製品開発全体を見渡す立場になるため、技術とマネジメントの両方を理解している人材になる必要があります。

回路設計で長く活躍するには、目の前の設計業務だけでなく、どの分野で強みを発揮するかを決めるのが重要です。

回路設計エンジニアに関するよくある質問


 ここでは、回路設計エンジニアを目指す人から寄せられるよくある疑問に回答します。

回路設計は未経験から目指せる?学習ロードマップは?

回路設計は、未経験からでも目指せる職種です。

ただし短期間でスキルが身につく仕事ではありません。電子回路の基礎を学んでから設計ツールを操作し、実際に回路を組んで検証するまで、段階的にスキルを身につけていくのが一般的です。

まずはオームの法則、キルヒホッフの法則、抵抗・コンデンサ・コイル・トランジスタなど、電子部品の特性を学びます。基礎理論の習得には、少なくとも6ヶ月以上が必要です。

基礎を習得したら、LTspiceなどのシミュレーションツールやCADの操作を学びます。目安は3〜6ヶ月程度です。

その後は、LED点灯回路、オペアンプ回路、マイコン制御回路の順に設計演習へ進みます。小さな回路から始めて実機で動作を確認するフローを踏むと、理論と現場の違いを理解しやすくなります。

回路設計エンジニアに向いている人・向いていない人の特徴は?

回路設計エンジニアに向いている人・向いていない人の特徴を下記にまとめました。

【向いている人】

  • 細かい作業を丁寧に進められる人
  • 地道な確認作業を苦にしない人
  • 論理的に原因を切り分けられる人
  • 問題解決を楽しめる人
  • 新しい知識を学び続けられる人
  • 柔軟に調整・判断できる人
  • 経験や感覚も活かして考えられる人


【向いていない人】

  • 細かい確認作業が苦手な人
  • 地道な検証や調整を負担に感じる人
  • 論理的に原因を切り分けることが苦手な人
  • 問題解決よりも決まった作業を好む人
  • コストや納期の制約に強いストレスを感じる人
  • 理論だけで進めたい人
  • 継続的な自己学習が苦手な人


回路設計の転職は難しい?成功させるポイントは?

回路設計の転職は、経験やスキルによって難易度が変わります。

転職を成功させるには、以下のポイントを押さえましょう。

  • 担当した回路や成果をまとめたポートフォリオを用意する
  • オームの法則や電子部品特性など、基礎理論を説明できるようにする
  • 使用経験のあるCADやシミュレータを整理する
  • 転職エージェントを活用し、非公開求人や職場環境の情報を集める
  • 志望企業の開発予算、残業時間、フレックス制度、リモート可否を確認する


特に「きつさ」を理由に転職する場合は、仕事内容だけでなく、開発体制や働き方まで確認するとミスマッチを防げます。条件を見誤ると転職後も同じ悩みを抱える可能性があるため、注意しましょう。

まとめ

 
回路設計エンジニアは、家電・自動車・医療機器・産業機器などに使われる電子回路を設計し、製品の性能や安全性を支える専門職です。

要件定義、回路図作成、シミュレーション、試作評価、量産移行まで幅広く関わり、デジタル回路とアナログ回路で求められる知識も異なります。

専門知識の習得や、納期・品質への責任から「きつい」と言われる一方、IoT、EV、半導体、ロボット分野で需要が高まっています。

ワールドインテックのテクノ事業では、電気電子・機械・情報などの技術分野で、設計開発や生産技術、試験評価を支援しています。回路設計エンジニアが専門性を活かしながらキャリアを築ける環境が整っているため、興味のある方は公式サイトから詳細を確認してみてください。

ワールドインテックのテクノ事業

松本 隆志 採用統括グループ長
株式会社ワールドインテック採用統括グループ長
松本 隆志

採用組織の責任者として、戦略立案から広報、ブランディングまでを統括。「継続は力なり」を座右の銘とし、昨日より今日、一歩前進する姿勢とチームワークを重視する。趣味のゴルフや運動で培った活力を活かし、技術者や研究者が「なりたい姿」を諦めず、自身の可能性を最大限に広げられる社会の実現と環境構築に尽力している。

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