Blog

ブログ

化学系学科の就職は厳しい?仕事に有利な資格やおすすめの業種を解説

化学系の就職市場は、近年ますます多様化と専門化が進んでいます。研究開発から品質管理、製造プロセス開発まで、化学の知識を活かせるフィールドは着実に広がっています。
 
本記事では、化学系学生が知っておくべき業界動向や、有利な資格などについて詳しく解説していきます。

目次

化学科出身者は就職に有利!



化学科出身者の就職は、確かに「難しい」というイメージを持たれることがあります。しかし、実際には有利な点が多く、幅広い業界で活躍できる可能性を秘めています。
 

多様な分野で活躍できる

化学科出身者の就職における強みは、汎用性の高い専門知識にあります。化学は物質の性質や反応を理解する基礎科学であり、この知見は製造業全般において不可欠です。例えば、自動車業界では新素材開発や電池技術、電機業界では半導体材料や電子部品、食品業界では添加物や保存技術、化粧品業界では有効成分の研究など、化学の知識が直接的に活かされています。
 
さらに、実験や研究を通じて培われる論理的思考力や問題解決能力は、製品開発やプロセス改善といった場面で高く評価されます。
 
また、化学製品は私たちの生活に密接に関わっているため、化学の専門知識を持つ人材は、製造現場から品質管理、営業技術職まで、幅広いポジションで重宝されています。
 

専門性が高く評価される

化学科出身者の就職における優位性は、専門的知識と研究経験に深く根ざしています。化学は現代社会のあらゆる場面で不可欠な基礎科学であり、その専門知識は製造業から環境、医療、食品産業に至るまで、幅広い業界で高く評価されています。特に、物質の性質や反応プロセスに関する深い理解は、他学部出身者には容易に習得できない独自の強みです。
 
さらに、実験や研究活動を通じて培われる論理的思考力や問題解決能力は、企業の研究開発部門で特に重宝されます。化学製品の開発や品質管理、製造プロセスの最適化など、専門性を必要とする職務において、化学科での学びは即戦力として認識され、それが就職市場での大きなアドバンテージとなっているのです。
 

論理的思考力や問題解決能力が身についている

化学科で学ぶ課程は、他の分野にはない独特の強みを育てます。研究室での実験や実習を通じて、仮説を立て、検証し、結果を分析するという科学的アプローチが自然と身についていくのです。この経験は、単なる実験手法の習得にとどまらず、物事を論理的に考え、システマティックに問題を解決する力を養います。
 
例えば、予期せぬ実験結果が出たとき、その原因を探り、解決策を見出すプロセスは、ビジネスの現場で直面する様々な課題解決にも直接応用できます。また、実験データの緻密な記録や分析、考察を重ねることで培われる論理的思考力は、業種を問わず、多くの企業が重視する基礎的なビジネススキルとなっています。
 
このように、化学科での学びは、特定の専門知識だけでなく、あらゆる職種で求められる普遍的な問題解決能力を育てる点で、就職市場での大きなアドバンテージとなっているのです。


化学科出身者におすすめの業種9選



化学科出身者の皆さんは、専門的な知識とスキルを活かせる、魅力的な仕事が多くあります。ここでは、化学科出身者におすすめの業種をいくつかご紹介します。
 

化学業界

化学科出身者にとって、化学業界は専門性を存分に活かせる理想的なフィールドです。化学メーカーでの新素材開発では、環境配慮型プラスチックや高機能繊維の研究に携わり、年収は経験にもよりますが厚生労働省「jobtag」では分析化学技術者の平均年収は586.8万円となっています。
 
医薬品開発の分野では、新薬の研究開発から品質管理まで、幅広いステージで活躍できます。特に製薬会社の研究職は高度な専門性が評価され、平均年収は508.8万円です。(参考:厚生労働省「jobtag」
 
これらの業界では、研究開発職以外にも、製造プロセスの改善や品質管理など、化学の専門知識を活かせるポジションが豊富にあり、キャリアの選択肢も広がっています。

代表的な企業

住友化学、三菱化学、旭化成など


【あわせて読みたい!】
化学系メーカーとは?仕事内容や資格を取得するメリットについて解説
化学メーカーに向いている人の共通点は?業界で求められるスキルも解説

自動車・部品業界

自動車・部品業界は、化学科出身者の専門性を存分に活かせる分野として注目を集めています。特に、環境規制の強化やEV化の加速により、新型バッテリーの開発や車体の軽量化に向けた新素材の研究など、化学の知識が不可欠な領域が急速に拡大しています。
 
この業界での主な仕事は、リチウムイオン電池の性能向上研究や、炭素繊維強化プラスチックなどの先端材料開発が中心です。さらに、自動車業界は裾野が広く、部品メーカーや材料メーカーでも活躍の場が豊富にあります。そのため、職種にはよるものの、自動車業界のエンジニアの平均年収は約712万円と比較的高いです。(参考:厚生労働省「jobtag」
 
次世代モビリティの開発競争が激化する中、化学的知見を持つ人材の重要性は今後さらに高まると予想されています。

代表的な企業

トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業など


電機業界

電機業界は、化学科出身者の専門性を活かせる分野でしょう。特に半導体やディスプレイ開発では、新規材料の研究開発から製造プロセスの確立まで、材料科学の知識が必要不可欠です。例えば、より高性能な半導体を実現するための新素材開発や、有機ELディスプレイの発光材料研究など、化学の専門知識を直接活用できる業務が豊富です。
 
給与面でも、電機業界は魅力的な選択肢となっています。大手電機メーカーの研究開発職の平均年収は、経験年数にもよりますが、おおよそ688万円程度。さらに、半導体関連企業では近年の需要増加を反映して、より高水準の待遇を提示する企業も増えています。(参考:厚生労働省「jobtag」
 
また、この業界では継続的な技術革新が求められるため、専門性を活かしながらキャリアアップできる環境が整っていることも、化学科出身者にとって大きな魅力となっています。

代表的な企業

ソニーグループ、パナソニックホールディングス、TDKなど


食品業界

食品メーカーでは、新商品開発から品質管理まで、化学的知識を必要とする場面が数多くあります。例えば、新規食品開発では、食品添加物の配合設計や成分分析、保存性の評価など、化学的アプローチが不可欠です。また、品質管理部門では、食品の安全性評価や成分分析、微生物検査などを通じて、製品の品質維持に貢献します。
 
平均年収は経験年数や企業規模によって異なりますが554万円程度で、特に研究開発職は専門性が評価され、比較的高い給与水準となっています。(参考:厚生労働省「jobtag」
 
また、食の安全性への社会的関心が高まる中、化学的知識を持つ人材の需要は年々増加傾向にあり、長期的なキャリア形成が期待できる業界といえます。

代表的な企業

味の素、キリンホールディングス、明治など


化粧品業界

化粧品の開発では、有効成分の選定から安定性試験、製剤化まで、化学の専門知識が必要不可欠です。
 
研究開発職では、新規有効成分の探索や処方設計を担当し、皮膚への浸透性や安全性を考慮しながら、革新的な製品の開発に携わります。また、品質管理部門では、成分分析や安定性評価を通じて、製品の品質と安全性を確保する重要な役割を果たします。
 
さらに、近年は環境に配慮した製品開発や、エイジングケアなど高機能化粧品の需要増加により、専門性の高い研究開発者の重要性が一層高まっています。
 
給与面では、平均年収が740万円程度と比較的高収入です。(参考:厚生労働省「jobtag」

代表的な企業

資生堂、花王、コーセーなど


IT業界

化学科出身者にとって、IT業界は意外にも相性の良い選択肢となっています。特に注目すべきは、化学シミュレーションやデータサイエンスの分野です。分子設計ソフトウェアの開発や、材料特性の予測モデル構築など、化学の専門知識とITスキルを組み合わせた領域で活躍できます。実際、多くの製薬会社や材料メーカーが、実験の効率化やコスト削減のために、コンピュータシミュレーションを積極的に活用しています。
 
この分野での平均年収は、経験にもよりますが、554万円程度が一般的で、スキルの向上に応じて600万円以上も十分視野に入ります。(参考:厚生労働省「jobtag」
 
また、研究開発のDXを推進する動きが加速していることから、今後さらなる需要の拡大が期待できます。実験で培った論理的思考力とデータ分析スキルを組み合わせることで、化学とITの両方の知見を活かせるキャリアを築くことができるのです。

代表的な企業

富士フイルム、理研ケミカルなど


医療・製薬業界

新薬開発では、分子設計から臨床試験まで、化学の知識が必要不可欠です。研究開発職の平均年収は約740万円と、業界全体でも高水準を維持しています。(参考:厚生労働省「jobtag」
 
具体的な仕事内容としては、新薬候補物質の合成や分析、医療機器の材料開発、品質管理などが挙げられます。特に近年は、バイオ医薬品の開発が活発化しており、生命科学の知識と化学の専門性を組み合わせた領域で、新たな活躍の場が広がっています。
 
また、製薬業界は景気変動の影響を受けにくく、安定した雇用と継続的なキャリア形成が期待できます。研究職以外にも、MR(医薬情報担当者)や製造プロセス開発など、様々な職種で化学の知識を活かすことができ、専門性を活かしながらキャリアの幅を広げられる魅力的な業界といえます。

代表的な企業

武田薬品工業、大日本住友製薬など


公務員

化学科出身者は、公務員の仕事においても専門性を活かせる魅力的なキャリアパスがあります。特に環境省では環境アセスメントや化学物質の規制管理、厚生労働省では食品衛生や医薬品の安全性評価など、化学の専門知識を直接活用できる業務が豊富です。
 
さらに、国立研究所や地方自治体の研究機関、保健所などでも、化学系のバックグラウンドを持つ人材が求められており、研究職として専門性の高い業務に携わることも可能です。社会の安全や環境保護に直接貢献できる点も、やりがいのある特徴といえるでしょう。
 
国家公務員総合職の場合、平均年収は478万円程度となり、キャリアを重ねるにつれて段階的に上昇していきます。本府省課長級で約1,260万円、局長級で約1,769万円程度となることも。また、安定した雇用と充実した福利厚生も公務員の大きな魅力です。
 
※参考:厚生労働省「jobtag」
参考:国家公務員の給与(令和5年版)
 

大学・研究機関

化学科出身者にとって、大学院や研究機関での研究職は、専門性を活かせるキャリアパスの一つです。国立大学の助教として研究をスタートし、その後准教授、教授へとステップアップするケースが一般的です。また、理化学研究所やNIMSといった国立研究機関、企業の研究所でも、化学の専門知識を活かした研究活動が可能です。
 
研究者の仕事は、新規物質の合成や未知の化学反応の解明、革新的な材料開発など、最先端の科学に挑戦することが中心となります。研究成果は論文として発表され、時には特許取得にもつながります。年収は経験や職位によって大きく異なりますが、平均1074万円程度となることが多く、安定した収入が期待できます。(参考:厚生労働省「jobtag」
 
さらに、科学研究費補助金などの外部資金の獲得も収入増加の機会となり、研究の幅を広げることができます。



化学系の就職先で有利な資格



化学系の就職活動において、様々な資格を取得することで、あなたの魅力をアピールし、内定獲得に繋げることができます。化学系の就職で有利な資格は、大きく分けて専門性の高い資格と幅広い業界で役立つ資格の2つがあります。
 

危険物取扱者

危険物取扱者は、消防法で定められた危険物(引火性や発火性のある物質など)を取り扱うために必要な国家資格です。甲種、乙種、丙種の3つの種類があり、最も難易度と取り扱える範囲が広いのが甲種です。乙種は第1類から第6類まであり、それぞれ特定の危険物を取り扱う資格となります。
 
化学工場や研究施設、ガソリンスタンドなどで必要とされ、特に化学系企業では入社後の取得を推奨されることも多いです。受験資格に学歴や実務経験の制限がないため、在学中の取得も可能で、就職活動での強みにもなります。
 

高圧ガス製造保安責任者

高圧ガス製造保安責任者は、高圧ガスの製造現場における安全管理を担う国家資格です。高圧ガス保安法に基づき、一定規模以上の高圧ガス製造施設では、この資格保持者を選任することが義務付けられています。
 
甲種、乙種、丙種の3段階があり、取り扱えるガスの種類や製造設備の規模が異なります。化学プラントや工場での高圧ガスの製造から貯蔵、取り扱いまでの安全確保が主な職務となります。特に製造工程での圧力管理や設備の点検、従業員への安全教育なども重要な責務です。化学・石油・ガス業界での需要が高く、キャリアアップの重要な要素となっています。
 

衛生管理者

衛生管理者は、労働安全衛生法に基づいて事業場の衛生管理を担う国家資格です。主な職務は、職場における労働衛生の専門家として、作業環境の測定、健康診断の実施・結果管理、メンタルヘルス対策、過重労働防止など、従業員の健康管理に関する幅広い業務を担当します。
 
資格は第一種と第二種に分かれており、第一種は理工系の学歴が必要で、有害物質を扱う作業場での選任が可能です。第二種は学歴要件がなく、有害物質を扱わない作業場での選任となります。
 

公害防止管理者

公害防止管理者は、環境保全の最前線で活躍する専門家を認定する国家資格です。工場や事業所から排出される大気汚染、水質汚濁、騒音などの公害を防止するため、施設の維持管理や測定データの監視、改善対策の立案などを担当します。
 
資格は汚染物質の種類によって大気関係、水質関係、騒音・振動関係などに分かれており、それぞれの分野で必要な化学的知識や関連法規の理解が求められます。受験資格に学歴や実務経験の制限はなく、誰でもチャレンジできる点が特徴です。
 

化学分析技能士

化学分析技能士は、化学物質の分析技術に関する国家資格です。化学製品の品質管理や環境分析、研究開発など、幅広い分野で必要とされる分析スキルの証明となります。1級と2級があり、特に1級は高度な分析技術と知識を持つ専門家として認められる資格です。
 
試験は学科試験と実技試験で構成され、クロマトグラフィーや分光分析などの機器分析技術、滴定や重量分析といった定量分析の技能が問われます。製造業や研究機関で重宝される資格であり、取得することで専門性をアピールでき、キャリアアップにもつながります。
 

エネルギー管理士

エネルギー管理士は、工場やビルなどの大規模施設におけるエネルギーの効率的な利用を管理する国家資格です。「熱」と「電気」の2種類があり、年間エネルギー使用量が一定規模以上の事業所では、このエネルギー管理士の選任が法律で義務付けられています。
 
具体的な業務としては、エネルギー消費設備の管理、省エネ計画の立案、エネルギー使用状況の分析、改善提案などを担当します。近年の環境意識の高まりやSDGsへの取り組み強化により、企業におけるエネルギー管理士の重要性は増しており、資格取得者の需要も高まっています。資格試験は毎年夏頃に実施され、技術的な知識に加え、関連法規の理解も必要とされます。
 
【あわせて読みたい!】
化学系資格おすすめ一覧17選!メリット・デメリットを把握して就職に活かそう


まとめ

化学科出身者は、幅広い業界で活躍できる有利な立場です。化学の専門知識は、製造業全般において不可欠であり、自動車の新素材開発、半導体材料、食品添加物、化粧品の有効成分研究など、様々な分野で直接活用できます。
 
さらに、実験や研究を通じて培われる論理的思考力や問題解決能力は、製品開発やプロセス改善の場面で高く評価されます。これらのスキルは、仮説を立て、検証し、結果を分析するという科学的アプローチから自然と身につき、ビジネスの現場でも応用可能です。
 
化学製品は私たちの生活に密接に関わっているため、製造現場から品質管理、営業技術職まで、幅広いポジションで化学の専門知識を持つ人材が重宝されています。
 
ワールドインテックのR&D事業部では、経験や適応に応じた職種への就業、エリア希望や家庭の都合における勤務地・通勤の考慮など働きやすい環境を提唱しています。化学系の職業に携わりたいと考えている方は、ぜひワールドインテックに応募してみてください。


化学系に関するお仕事はこちら

Contact

各種お問い合わせ

Recruit

採用情報