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医学研究者の年収はいくら?基礎医学研究者・医師との違いも解説

医学研究者を目指すうえで「年収はどのくらいか」「医学部以外からでもなれるのか」と疑問を持つ方もいると思われます。

本記事では、下記のことがわかります。

研究職を検討している学生や、臨床から研究への転向を考える医師が、自分に合うルートと将来の働き方を具体的に判断できる内容のため、ぜひ参考にしてください。
● 医学研究者の平均年収や勤務先捌の収入差
● 医学研究者のなり方と必要なスキル
● 医学研究者のキャリアパス

目次
松本 隆志 採用統括グループ長
著者:株式会社ワールドインテック採用統括グループ長/松本 隆志

医学研究者とは?基礎研究と臨床研究の違い


医学研究者は、病気の原因を解明し、新しい治療法や予防法の開発を目指す専門家です。大学の医学部や研究機関で基礎研究に従事する研究者のほか、医師として患者を診療しながら臨床研究に取り組む人も含まれます。

しかし、医学研究者の全員が、医師免許を持っているわけではありません。
基礎研究には、解剖学、生理学、生化学、薬理学、病理学、免疫学、微生物学、衛生学などの専門分野があり、それぞれ研究対象や手法が異なります。

基礎医学研究者の仕事内容

基礎医学研究者は、人体の構造や機能、病気が発生する仕組みなどを細胞や分子のレベルで調べる職種です。

研究手法は専門分野によって異なりますが、顕微鏡による組織の観察、実験動物を使った検証、培養細胞を用いた実験などが挙げられます。実験結果を分析し、仮説の修正と検証を繰り返しながら、新しい知見を探るのが役割です。

得られた研究成果は論文にまとめ、学会や研究会で発表します。また、学術誌への掲載も重要な業務の一つです。研究者としての業績は、論文数だけでなく、掲載された学術誌の評価や他の論文から引用された回数なども含めて判断されます。

他にも、研究費を確保するため、助成金や研究プロジェクトへの申請書を作成する場合もあります。

臨床研究医の仕事内容

臨床研究医は、医療機関で患者を診療しながら病気の診断法や治療法、予防法を検証する医師のことです。既存の治療による効果や副作用を調べる研究のほか、新薬や医療機器の承認を目指す治験にも携わります。

研究では患者の安全と権利を守る必要があるため、倫理審査を受けたうえで、本人の同意を得て進めなければなりません。

日々の診療で見つけた疑問や課題を研究テーマへつなげやすい点が、臨床研究医の特徴です。たとえば、同じ治療を受けても患者によって効果が異なる理由を調べ、より適切な治療法の選択に役立てます。

診療と研究を並行するため業務範囲は広いものの、研究成果を患者の治療へ直接還元しやすい仕事です。

医師免許の有無による違い

臨床研究医として患者の診察や治療を行うには、医師免許が必須です。

医学部医学科を卒業して医師国家試験に合格し、臨床研修などを終了したうえで、はじめて臨床研究医として働けます。患者への医療行為は大きな責任が伴うため、医師としての知識や経験に加え、研究倫理や統計解析に関する理解も求められます。

一方、基礎医学研究者は、医師免許の取得が必須ではありません。医学部以外にも理学部、工学部、農学部、薬学部などの出身者が、医学研究に携わっています。

ただし、大学や研究機関で研究職を目指す場合は、修士号や博士号を取得し、専門性と研究実績を積むのが一般的です。

医学研究者の年収の実態


公的統計によると、医学研究者の平均年収は802万円です。

ただし、実際の収入は、勤務先や役職、雇用形態によって異なります。

大学や公的研究機関、民間企業では給与体系が異なるほか、診療業務を行うかどうかも年収を左右する要素です。そのため、平均年収だけで収入水準を判断するのは適切ではありません。

自分が希望する勤務先や研究分野、働き方に近い条件を確認しましょう。

参考:厚生労働省「job tag」

医学研究者全体の平均年収(公的統計)

令和8年9月現在での厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」の情報によると、令和7年度の医学研究者の平均年収は802万円、平均年齢は42.5歳です。全国の就業者数は、98,020人と記されています。

一方、令和7年度の有効求人倍率は0.32で、求職者数に対して求人が少ない状況です。求人賃金の月額は28.3万円、平均年収を単純に12カ月で割った金額は約66.8万円のため、大きな差があります。

項目

数値

賃金(年収)

802万円

平均年齢

42.5歳

就業者数(全国)

98,020人

有効求人倍率(令和7年度)

0.32

求人賃金(月額・令和7年度)

28.3万円

※令和7年厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)調べ(令和8年9月現在)

差が生じる理由としては、平均年収には経験を積んだ研究者や管理職の給与、賞与なども反映されている点が考えられます。

就職直後から802万円を得られる可能性は低いため、求人を見る際は月給だけでなく、賞与や手当、昇給制度も確認しましょう。また、任期の有無や、研究費の支給条件もチェックしておきたい項目です。

参考:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)|医学研究者

学歴別に見る医学研究者の特徴

医学研究者は、job tagのデータによるとほかの職業と比べて大学院修了者が多い職種です。
研究職では専門分野に関する深い知識に加え、研究計画の立案や論文執筆の能力が求められるため、博士号が採用や昇進の条件として設定されている場合も多いです。

就業形態では、ほとんどが正規の職員・従業員で契約社員・期間従業員の割合は少ないです。

実は、大学や研究機関では、研究プロジェクトの実施期間に合わせた「任期付き採用」が広く取り入れられています。
年収を比べる際は、学歴だけでなく雇用期間や契約更新の条件にも目を向けましょう。
 
参考:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)|医学研究者

臨床医との年収比較

厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」によると、臨床医(内科医)の平均年収は1,512.3万円で、医学研究者の802万円を710.3万円上回ります。

ただし、平均年齢は医学研究者が42.5歳、臨床医(内科医)が45.7歳であり、年齢差だけで年収の開きを説明するのは難しいです。

職業

賃金(年収)

平均年齢

有効求人倍率

医学研究者

802万円

42.5歳

0.45

内科医

1,512.3万円

45.7歳

0.53

※令和7年厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)調べ(令和8年9月現在)
 
臨床医(内科医)と医学研究者の主な違いは、診療による収入の有無と給与体系です。

臨床医(内科医)は、患者の診察や治療を行うほか、勤務先や勤務形態によっては当直手当や時間外手当が支給されます。

一方、医学研究者は、実験や論文執筆などの研究活動が中心です。大学や公的研究機関では、医療機関ほど高い給与水準が設定されていない場合もあります。

ただし、研究医の中でも診療を続ける臨床研究医は、医師としての給与を得られるため、基礎研究に専念する研究者より収入が安定しやすいです。

年収を比較する際は、研究と診療の比率まで確認しましょう。

参考:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)|医学研究者
参考:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)|内科医

立場・勤務先別に見る医学研究者の年収差


医学研究者の平均年収は802万円ですが、勤務先や職位によって収入水準は変わります。

大学では、教授や准教授などの職位、企業では給与体系や研究分野、公的研究機関では雇用形態や所属機関によって年収額に差が生じます。臨床業務を兼務するかどうかも、重要な要素です。

年収を確認する際は全体平均だけでなく、自分が目指す立場や勤務先に近いデータを参考にしましょう。

大学で働く医学研究者の年収

大学で働く医学研究者の年収は、教授や准教授、講師・助教といった職位によって大きく異なります。

令和8年9月現在、e-Stat 政府統計の窓口「令和7年賃金構造基本統計調査」をもとに概算すると、職位ごとの平均年収は以下のとおりです。

職位

平均年収(概算)

教授

約1,082万円

准教授

約876万円

講師・助教

約712万円

※「きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額」による概算。

上位の職位ほど、研究や教育に加えて大学運営や研究室の管理を担うため、給与水準も高い傾向にあります。

ただし、大学や公的研究機関では、任期付きで採用される研究者も多いです。任期終了後に次の職を得るには、論文の発表や学会での報告、研究費の獲得などを継続し、研究業績を積む必要があります。

参考:e-Stat|賃金構造基本統計調査 / 令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種

企業で働く医学研究者の年収

製薬会社などの企業では、新薬や診断技術、医療機器の開発につながる研究が中心です。

製薬会社の年収に関する公的なデータは見られませんが、近い職種である薬学研究者を参考にすると、平均年収は802万円で、医学研究者全体の平均年収と同じ水準と思われます。

ただし、企業規模や役職、担当する研究領域によって、実際の年収には差が生じます。

文部科学省の「博士人材のキャリアパスに関する参考資料」によると、日本企業の研究者に占める博士号保持者の割合は約4%です。大学では研究者の75.2%が博士号を持っているため、企業とは人材構成が大きく異なります。

企業では、修士課程を修了した人材が研究の中心を担うケースも多く、博士号が必須とは限りません。一方、専門性の高い分野や研究開発を主導するポジションでは、博士号や研究実績が評価につながる場合があります。

参考:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)|薬学研究者
参考:文部科学省|博士人材のキャリアパスに関する参考資料

公的研究機関で働く医学研究者の年収

公的研究機関の医学研究者は、社会課題や国の政策に沿った研究へ取り組みます。

感染症対策や公衆衛生、がんや難病の治療法開発など、医療・健康分野の課題解決を目指す研究が代表例です。国や自治体が進めるプロジェクトに参加し、大学や医療機関、民間企業と共同研究を行う場合もあります。

年収は所属する機関や役職、雇用形態によって異なります。一部の国立研究開発法人では、任期のない常用雇用者の平均年収が1,000万円を超える例も示されていますが、すべての研究者に当てはまる水準ではありません。

任期付き研究員や若手研究者の場合は給与が異なるため、求人票では基本給のほか、任期、賞与、手当、退職金の有無まで確認しましょう。

医学部以外から医学研究者になるルート


医学部を卒業しておらず、医師免許を取得していなくても医学研究者として働けます。医学部以外のルートとしては、工学部、農学部、薬学部などで専門知識を身につけ、医学系の大学院や研究機関へ進むのが現実的です。

ただし、出身学部によって学べる分野や研究手法が異なるため、研究テーマに合った学部・学科を選ぶのが重要です。また、大学院への進学条件や受け入れ可能な研究室も、事前に確認しましょう。

理工系・農学部・薬学部から目指すルート

理工系学部から医学研究者を目指す場合は、化学系や生物学系の学科で病気の原因解明や治療法、予防医学につながるテーマを選ぶのがおすすめです。

たとえば、生物学では細胞や遺伝子、化学では医薬品の候補となる物質、工学では医療機器や生体材料の研究に取り組めます。農学部や薬学部にも、微生物、免疫、創薬などの医学研究と関係が深い学科や研究室があります。

また、情報系学部・学科から医学研究者を目指すルートも存在します。特にデータサイエンスは、医療画像の解析や疾患リスクの予測、診断支援システムの開発と相性のよい分野です。

研究室を探す際は学部名だけで判断せず、教員の研究テーマや論文、大学院の進路まで調べるのがポイントです。

医学部を経由するルートとの違い

臨床研究医を目指す場合は、医学部で6年間学んだ後、医師国家試験に合格して医師免許を取得する必要があります。

患者の診察や治療を行いながら研究へ取り組むため、基本的には医学部以外から直接進むことはできません。

一方、患者への医療行為を伴わない基礎研究は、出身学部や医師免許の有無にかかわらず、専門知識と研究能力が重視されます。

なお、医学部出身者が基礎研究へ進む場合、必ずしも医師国家試験を受ける必要はありません。

他学部の出身者は、大学院の修士課程や博士課程で専門性を高め、大学や公的研究機関、製薬会社などへの就職を目指します

ルート

学部

医師免許

主な進路

臨床研究医ルート

医学部(6年制)

必須

診療をしながら臨床研究に従事

基礎研究者ルート(医学部)

医学部(6年制)

任意(国家試験を受けない場合あり)

大学院医学系研究科に進学し基礎研究に専念

基礎研究者ルート(他学部)

理学部・工学部・農学部・薬学部など

診療をしながら臨床研究に従事

大学院修士・博士課程を経て研究機関・企業へ

進路を選ぶ際は、将来患者を診療したいのか、研究に専念したいのかを明確にするのが大切です。
 

医学研究者になるには?進路とキャリアの流れ


医学研究者になるルートは、一つではありません。

たとえば、大学卒業後に大学院へ進み、研究活動を中心にキャリアを築くのも一つの手段です。医師として診療経験を積んでから、臨床研究や基礎研究へ進む道も選べます。

研究に軸足を移す時期によって、必要な学歴や経験、研究テーマの見つけ方は異なります。患者を診療したいのか、研究に専念したいのかを整理したうえで、進路を決めましょう。

大学院進学から研究者になるまでの流れ

医学研究者を目指す場合は、大学卒業後に大学院の修士課程や博士課程へ進むのが一般的です。

研究室に所属し、指導教員のもとで実験やデータ解析を行いながら、特定の研究テーマを掘り下げます。研究過程で論文の執筆や学会発表を経験し、研究計画を立てて成果を発信する力を身につけていきます。

博士号の取得後は、大学の助教やポストドクター、研究機関の研究員などが主な進路です。

公立の研究機関や民間企業、医療機関で研究する場合は、各機関の採用選考を受けます。自治体が運営する機関では公務員試験が必要な場合もありますが、国立研究開発法人や企業では、独自の採用試験が中心です。

採用後は担当分野の研究を進め、論文や製品開発などの成果を積み上げます。

臨床医から研究医へ進むキャリア

研究医は、学生時代から研究職を目指していた人だけのキャリアではありません。

医学部を卒業して医師免許を取得し、臨床研修や専門分野での診療を経験した後、大学院や大学の研究室へ進む医師もいます。臨床を続けながら研究に取り組むほか、一定期間は診療を離れて研究へ専念する働き方も可能です。

臨床経験を持つ研究医は、患者を診療する中で感じた疑問を研究テーマにつなげやすい点が強みです。

たとえば、既存の治療が効きにくい患者の特徴や、副作用を抑える方法などを検証します。診療経験を重ねてから研究へ進めば、医療現場の課題に即したテーマも設定できるでしょう。

ただし、診療と研究を両立する場合は、勤務時間や研究環境、所属先の支援体制を確認する必要があります。
 
関連記事:薬学部から研究職になるには?製薬会社の研究員は狭き門?年収や就職ルートを解説

医学研究者のやりがいと厳しさ


医学研究者は、病気の原因解明や治療法の開発を通じて、将来の医療に貢献する仕事です。

しかし、若手研究者を中心に任期付きの雇用が多く、収入や雇用の安定性が課題です。また、研究成果が出るまでに長い時間を要する点も、理解しておかなければなりません。

進路を検討する際は、仕事の意義や魅力だけでなく、博士課程への進学費用や就職先、雇用条件まで含めて判断しましょう。

医学研究者としてのやりがい

医学研究者の大きなやりがいは、自分の研究成果が新しい診断法や治療法、予防法の開発につながる点です。

基礎研究の成果が実際の医療へ応用されるまでには時間がかかりますが、将来的に多くの患者を支える知識や技術になる可能性があります。未知の現象を解明し、医学の発展に新たな知見を加えることも研究者ならではの魅力です。

臨床研究医は、目の前の患者を診療しながら、医療現場で見つけた課題を研究できます。現在の治療だけでなく、同じ病気に悩む将来の患者にも貢献したい人に適したキャリアです。

基礎研究者は直接診療を行わない立場ではあるものの、医療の土台を支えられます。専門性を生かして、長期的な社会貢献を目指せる仕事です

任期制雇用と研究医減少の課題

日本では、基礎研究を担う研究医や博士課程へ進む人材の減少が課題です。

修士課程から博士後期課程への進学率は低下傾向にあり、能力や意欲があっても経済的な事情から断念する学生もいます。任期終了後の職が保証されない点も、進学をためらう要因と考えられます。

また、企業側にも、博士人材の採用が広がりにくい事情があります。

文部科学省の「博士人材のキャリアパスに関する参考資料」によると、博士人材を採用しない理由として「採用する人材は企業が必要とする人材像に合えばよく、必ずしも博士号を持っている必要はない」とする回答が、46.1%と最多を占めています。

博士号取得後の進路や収入、任期の有無を確認し、大学以外の就職先も視野に入れつつ、医学研究者の道を模索してみてください。
 
参考:文部科学省|博士人材のキャリアパスに関する参考資料

医学研究者に求められるスキル


医学研究者には、研究分野に関する専門知識だけでなく、実験を正確に進める技術やデータ分析力が求められます。論文を発表するための英語力、研究費を獲得する力、複数の関係者と研究を進める調整力も欠かせません。

必要なスキルを分野ごとに整理すれば、大学や大学院で何を学び、どのような経験を積むべきかが明確になります。

希望する研究分野や進路に合わせて、計画的に能力を伸ばしましょう。

専門知識と実験・データ分析力

医学研究では、組織学や解剖学、病理学、分子生物学、遺伝子学、生理学、薬理学、免疫学、社会医学などの知識が必要です。

すべての分野を同じ深さで学ぶのではなく、研究テーマに関係する領域を中心に専門性を高めます。そのうえで顕微鏡観察や細胞培養、遺伝子解析など、研究内容に適した実験技術を身につけなければなりません。

実験で得た数値を正しく解釈するには、統計学やデータ分析の知識も重要です。

近年は、AIや機械学習を活用した診断支援、医療画像解析、治療効果の予測などが広がっています。プログラミングやデータサイエンスの知識があれば、大量の医療データを扱う研究でも強みを発揮できるでしょう。

論文執筆・英語力

医学研究者の業績は、論文の内容や掲載された学術誌の評価、ほかの研究者から引用された回数などを通じて判断されます。特に国際的な評価を得るには、海外の学術誌への英語論文が欠かせません。

海外の学術誌へ掲載するためには、ただ実験結果を並べるだけでなく、研究の目的や手法、結果、考察を論理的に組み立て、読み手へ正確に伝える必要があります。

英語力が必要なのは、論文執筆だけではありません。英語は海外の先行研究を読み、最新の研究動向を把握する際にも使います。国際学会では英語で研究内容を発表し、質疑応答にも対応しなければなりません。

そのため、一般的な英会話に加えて、専門用語の理解や学術的な文章表現、プレゼンテーションの能力を継続して磨くのが重要です。

研究費獲得・プロジェクト推進力

医学研究を進めるには、実験機器や試薬の購入費、人件費などの資金が必要です。

研究者は実験だけでなく、助成金や競争的研究費へ応募するための申請書も作成します。そのため、研究の目的や社会的な意義、実施方法、期待される成果を明確に示し、限られた文章で研究の価値を伝える力が求められます。

また、研究計画に沿った予算とスケジュール管理も、重要な仕事です。

医師やほかの研究者、技術職員、統計解析の専門家などと連携する場合は、役割分担や進捗の調整もしなければなりません。計画どおりの結果が得られないときには、実験方法やスケジュールの見直しも必要です。

複数の業務へ柔軟に対応し、研究全体を前へ進める力が求められます。

医学研究者のキャリアパス


医学研究者のキャリアには、大学で研究を続ける、製薬会社などの企業へ入社する、医師として臨床へ軸足を戻すなどがあります。研究経験を生かして、データ分析やコンサルティングなどの異業種へ転向するのも、選択肢の一つです。

進路によって求められる役割や雇用の安定性、年収の伸び方は異なります。研究テーマだけでなく、将来希望する働き方や収入も踏まえてキャリアを設計しましょう。
 
関連記事:研究職は未経験でも働ける?実態やキャリアを積む方法について解説

大学教員としてのキャリア

大学教員を目指す場合は、博士号を取得した後、ポストドクターと呼ばれる任期付き研究員から経験を積むのが一般的です。その後、研究実績や教育経験を重ね、助教、准教授、教授へと進みます。

ただし、在籍年数が長いからといって、自動的に昇進するわけではありません。昇進は、論文の質や掲載数、学会発表、外部研究費の獲得実績などによって評価されます。

助教以降は、自身の研究に加えて学生への指導や講義、大学運営に関する業務も担います。准教授や教授になると、研究室の責任者として予算や人員を管理する機会も増えるでしょう。

大学教員は職位が上がるほど年収も伸びやすい一方、常勤ポストは限られているため、任期中に継続して研究成果を挙げるのが重要です。

企業研究者としてのキャリア

企業研究者は、病気の仕組みを解明するだけでなく、成果を新薬や診断技術として実用化するのが仕事です。

大学や医療機関との共同研究では、研究内容や費用、知的財産の扱いについて交渉する場合もあります。そのため、研究成果を事業へつなげる視点が必要です。

企業では、研究の新規性に加えて、製品化の可能性や開発期間、収益性も重視されます。経験を積んだ後は、研究チームを率いる管理職や、専門分野を究めるスペシャリストへ進むのが主な流れです。

大学より給与体系や昇進制度が明確な企業もあり、成果や役職に応じて年収が伸びやすい点が特徴です。

臨床への転向・異業種へのキャリアチェンジ

医師免許を持つ研究医の中には、研究環境や任期、収入面などを理由に、臨床へ軸足を戻す人もいます。

診療経験がある場合は、医療機関へ復帰して患者の診察や治療を中心に働きながら、必要に応じて臨床研究を続ける道も選べます。

ただし、医師免許を持たない基礎医学研究者は、医師として臨床業務への転向はできません。

研究で身につけた論理的思考力やデータ分析力は、異業種でも生かせます。具体的な転職先は、医療データを扱うIT企業、医薬品開発支援、コンサルティング、知的財産、サイエンスライティングなどです。

仮説を立てて検証し、結果をわかりやすく伝える力は汎用性があります。研究分野に限定せず、自分の能力を分解して転職先を探しましょう。

医学研究者に関するよくある質問


医学研究者を目指す人の中には、出身学部や医師免許の必要性、将来性について疑問を持つ方もいると思われます。

医学研究者には、患者を診療しながら研究する臨床研究医と、実験やデータ解析を中心に取り組む基礎医学研究者がおり、目指す研究分野によって必要な資格や進学ルートが異なります。

ここでは、医学研究者に関してよく検索される疑問に回答します。

医学部以外の出身でも医学研究者になれますか?

医学部以外の出身者でも、医学研究者を目指せます。基礎研究は患者への医療行為を行わないため、医学部卒業や医師免許の取得は必須ではありません。理学部や工学部、農学部、薬学部などで専門知識を学び、医学系の大学院へ進む人もいます。

理学部では細胞や遺伝子、工学部では医療機器や生体材料、薬学部では創薬など、出身学部の専門性を医学研究へ生かせます。

進学先を選ぶ際は、学部や研究科の名称だけで判断せず、研究室のテーマや受け入れ条件を確認しましょう。

修士課程や博士課程で論文執筆と学会発表を経験し、大学や公的研究機関、企業の研究職を目指すのが一般的です。

関連記事:医学部じゃなくても医学系の研究職を目指せる!?~研究職×学部シリーズ⑥~

医師免許がなくても医学研究者として働けますか?

医師免許がない場合は、基礎医学研究者として働きましょう。

患者の診察や治療を行う臨床研究医は、医師免許が必要です。医師免許を持たない研究者は、治験や臨床研究に参加できたとしても、医療行為は担当できません。

基礎研究では、医学や生理学、生化学、分子生物学、免疫学などの知識を使い、病気が起こる仕組みや治療法の基礎を研究します。理系学部と大学院で専門性を高めれば、大学や研究機関、製薬会社などで研究に携われます。

医学研究者は将来性がありますか?

医学研究は社会的な注目度が高く、重点的に研究費が投入されている領域の一つです。

近年は、ゲノム情報を活用した創薬や再生医療、AIによる診断支援などの進展により、基礎医学研究者の役割は広がっています。医学とデータサイエンス、工学などを組み合わせた研究では、複数分野の知識を持つ人材への需要も見込まれます。

ただし、研究分野の将来性が高いからといって、個人の雇用が安定しているとは限りません。

日本では、研究医や博士課程進学者の減少が課題となっており、特に若手研究者は任期付きの職にしか応募できないといった問題も潜んでいます。

現状を受け、国や大学では博士課程学生への経済支援や、研究環境の整備が進められており、今後待遇が改善される可能性はあります。

進路を決める際は、研究テーマの成長性だけでなく、支援制度や就職先も確認すると安心です。
 
参考:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)|医学研究者

年収だけでなく雇用期間やキャリアパスまで確認しよう


医学研究者の平均年収は802万円ですが、勤務先や職位、雇用形態、臨床業務の有無によって収入は変わります。

基礎医学研究者は、医師免許が必須ではなく、理学部や工学部、農学部、薬学部などから大学院へ進むルートも選択可能です。しかし、大学や研究機関は任期付きの採用も多いため、年収だけでなく雇用期間やキャリアパスまで確認しましょう。

研究開発分野での就職を検討している人には、ワールドインテックのR&D事業部も選択肢の一つです。製薬・バイオ・化学など幅広い分野の研究開発を支援しており、研究者の経験や専門性に応じたプロジェクトを扱っています。

大学や公的研究機関以外の働き方も含め、自分の知識や研究経験を生かせる進路を探してみてください。
 
ワールドインテックのR&D事業部

松本 隆志 採用統括グループ長
株式会社ワールドインテック採用統括グループ長
松本 隆志

採用組織の責任者として、戦略立案から広報、ブランディングまでを統括。「継続は力なり」を座右の銘とし、昨日より今日、一歩前進する姿勢とチームワークを重視する。趣味のゴルフや運動で培った活力を活かし、技術者や研究者が「なりたい姿」を諦めず、自身の可能性を最大限に広げられる社会の実現と環境構築に尽力している。

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