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薬剤師が研究職に転職するのは狭き門?製薬会社へ転職した場合の仕事内容や年収を解説

「薬剤師から研究職に転職するのは厳しいって本当?」
「研究職の年収は高いって聞くけど、いくらぐらい?」
「実際の仕事内容について知りたい!」
 
現在薬剤師として働いている方や、研究職に関心のある方の中には、このような疑問を感じている人もいるでしょう。薬剤師の主な職場は病院や調剤薬局、ドラッグストア、そして企業に分かれていますが、病院や薬局に従事している薬剤師にとって製薬会社での研究職の仕事は興味があってもイメージしづらいものです。
 
この記事では、「企業薬剤師」とも呼ばれる製薬会社の研究職について仕事の種類や内容、平均年収、研究者として働くために必要なことなどを解説していきます。この記事を読めば製薬会社の研究職の概要が分かり、適性の有無も判断できるようになります。ぜひ最後まで読んで今後のキャリアの参考にしてください。

目次

製薬会社で働く研究職の仕事内容



製薬会社の研究職といっても仕事内容は多岐にわたります。ここでは以下の9つの職種について解説していきます。

  • 管理薬剤師 
  • MR(医薬情報担当者)
  • 研究職       
  • 開発職
  • 薬事職
  • CRC(治験コーディネーター)    
  • CRA(臨床開発モニター)
  • 企業内診療所
  • 学術/DI(Drug Information)

それぞれ特徴や業務内容も異なるので、自分に合った仕事を見つけましょう。
 

管理薬剤師

管理薬剤師とは、薬剤師チームを監督・指導し、薬局全体の業務を管理する責任者です。主な役割として以下の2つが挙げられます。

  • 従業員の監督
  • 医薬品などの管理

製薬会社ではとくに医薬品の管理業務を担うことが多く、薬品の品質や不備のチェックだけでなく、問い合わせに対する情報提供、取り扱いに注意が必要な物品の届け出なども行います。そのため責任感をもって取り組める方におすすめです。
 

MR(医薬情報担当者)

医師や薬剤師に自社医薬品の情報提供を行うMRは、製薬会社の営業職に相当します。一般企業と違い製薬会社の営業には医薬品の効果や安全性、副作用などに関する知識が不可欠なため、薬剤師の強みを活かせる職業です。
 
また、臨床の有害事象データを収集し、製薬会社に報告することも重要な業務となります。医師や薬剤師との密なコミュニケーションが必要となるため、人と接するのが好きな方に向いている仕事といえるでしょう。
 

研究職

研究職は病気のメカニズムを解明し、新しい医薬品の創出に携わる仕事です。医療業界を進歩させるべく日々実験を繰り返すため、薬理学や生理学、有機化学などの多くの専門知識が必要となります。
 
そのため、応募の際には博士号を取得していることが必須となる場合が多いです。
 
研究職は主に以下の2つに分類されます。

  • 基礎研究
  • 応用研究

 

基礎研究

基礎研究では、化学合成やバイオテクノロジーなどの化学技術を活用し、植物や動物などの天然素材から成分を抽出します。薬の候補となる新たな成分を発見・調査することで、病気の原因究明や新たな治療薬を見出す一歩につながります。基礎研究だけでは会社の直接的な利益にはならない場合が多いですが、応用研究につながるため非常に重要な研究です。
 

応用研究

応用研究では、基礎研究によって発見された成分や知識を製薬につなげるための研究を行います。治療薬になる可能性のある新規物質を、動物や細胞に投与して有効性や安全性を試験します。臨床試験につなげるための大切な業務です。
 

開発職

開発職は、新薬を医薬品として具体化するための臨床試験を行い、有効性や安全性を立証して製造販売の承認を得る仕事です。健常人から患者へと段階的に試験投与し、データをもとに論文としてまとめ、国の承認機関に提出します。
 
臨床試験を始めて国から承認されるまで約10年かかるといわれていますが、開発職のおかげで安全で効果的な治療薬が世の中に広まるため、やりがいのある仕事です。
 

薬事職

薬事職とは、新薬の製造販売に関わる承認申請に必要な書類を作成したり、薬事に関する法令をチェックしたりする職種です。法律の知識も求められるため膨大な勉強が必要となりますが、医薬品発売の成否に直結するため大きなやりがいがあります。
 
申請書類が一発で通ることは稀なため、審査落ちしてもめげずに我慢強く取り組める方が向いているといえるでしょう。
 

CRC(治験コーディネーター)    

CRCとは新薬開発の最終段階である治験や、発売後の市販後調査で活躍する職種です。
 
具体的には以下の業務を任されます。

  • 被験者へのインフォームドコンセント
  • スケジュール管理
  • 服薬指導
  • データや資料の取りまとめ

CRCは医師だけでなく、被験者となる患者や病院内のスタッフと連携を取り、治験を円滑に進めていく能力が求められます。薬剤師だけでなく看護師や臨床検査技師などの医療関係の有資格者が多いのも特徴です。
 

CRA(臨床開発モニター)

CRAとは、治験が適切に行われているかモニタリング・管理する専門家です。CRCと似ていますが、CRAは製薬会社側で管理し、CRCは医療機関側で管理する、という違いがあります。
 
CRCと同様、多職種と関わる機会が多いため、コミュニケーション能力や交渉力の高さが求められる仕事です。
 

企業内診療所

企業内診療所とは、企業が従業員のために設けている医療施設のことです。薬剤の管理や調剤だけでなく、社員の健康管理や診察、健康診断などを担当します。
 
残業が少なく安定して働けるため、ワークライフバランスを保ちながら働きたい方におすすめです。しかし企業内診療所を設置している企業は限りがあるため求人も少ない傾向にあります。
 

学術職

学術職とは医薬品情報を収集・管理し、医師や薬剤師などの医療従事者に対して情報提供や学術的なサポートをする仕事です。MRでは対応しきれない質問について回答したり、MRに対して薬学知識の研修を行ったりもします。
 
専門知識を深めたい方や、資料作成などの事務的作業が得意な方におすすめです。海外の論文を読む機会が多いため、英語力があると転職にも有利でしょう。


製薬会社で働く研究職の平均年収



製薬会社の研究職といっても、職種によって平均年収も大きく異なります。
 
職種ごとの平均年収の目安は以下のとおりです。

管理薬剤師       

600~900万円

MR(医薬情報担当者)

500~1,000万円

研究職

700~900万円

開発職

500~600万円

薬事職

500~1,000万円

CRC(治験コーディネーター)          

500~800万円

CRA(臨床開発モニター)

500~800万円

企業内診療所

400~500万円

学術/DI(Drug Information)

400~800万円


企業内診療所や学術/DIは、ワークライフバランスを整えやすい一方で、平均年収は他の職種と比べると低くなりがちです。一方、外資系製薬会社のMRなら年収1,000万円を超えることも珍しくありません。


薬剤師が研究職に転職するのは狭き門?



結論からいうと、病院やドラッグストアで働く薬剤師が研究職に転職するのは非常に難しいといえます。
 
転職が難しい主な理由は以下の2つです。

  • 求人が少ない
  • 修士号や博士号を取得する必要がある

研究職は花形で人気のある一方で、そもそもの求人数が少ないため倍率が高くなりがちです。また、専門的な知識が必要なため、少なくとも修士号が求められます。
 
応募するライバルの多くが博士号を取得していることも多いため、研究職への転職活動は厳しい戦いになるといえるでしょう。早めの対策が必要です。


薬学研究者として働くために必要なこと



薬学研究者として働くには、以下の2つが求められます。

  • 博士号の取得
  • 調剤業務の経験

 

博士号の取得

研究職を目指すのであれば博士号を取得しておくとよいでしょう。より専門的な知識が求められる研究職は学位を重視する傾向にあります。
 
事実、厚生労働省の「jobtag」によると、実際に研究職として働いている人の多くが博士課程卒であると感じている人が54.7%もいます。博士号を取得することで転職活動を有利に進められるでしょう。
 

調剤業務の経験

研究職として働くうえで調剤業務の経験も重要です。調剤スキルは研究職として転職したあとも使用する機会が多くあります。
 
一部調剤業務がない職種もありますが、その場合でも医療従事者とコミュニケーションするうえでその知識と経験は活きるでしょう。転職する・しないに関わらず、目の前の基本業務をしっかり取り組み、スキルを磨いておくのがおすすめです。


薬学研究者に向いている人



薬学研究者に向いている人の特徴は以下の3つです。

  • コミュニケーション能力がある
  • 忍耐力がある
  • 気持ちの切り替えがうまい

 
せっかく努力して薬学研究者に転職したものの「やってみたら自分には合わない…」と感じてしまう方も少なからずいます。今の時点で自分に向いているかもチェックしておきましょう。
 

コミュニケーション能力がある

1人で黙々と実験する印象もある研究職ですが、仕事をするうえでコミュニケーション能力が求められます。研究を進めるうえで、多くの他職種と連携しプロジェクトを進めていく必要があるからです。
 
採用試験においてもコミュニケーション能力は評価されます。コミュニケーションを苦手とする人も多いため、協調性をもってスムーズな業務遂行ができれば重宝されるでしょう。
 

忍耐力がある

忍耐力があることも重要な素質です。薬の開発には10年以上かかることも多く、候補物質が最終的に薬となる確率は23,439分の1という統計もあります(日本製薬工業協会 DATA BOOK 2019)。
 
そのため自分の研究成果がなかなか形にならなくても、モチベーションを維持し続ける根気強さが必要となります。
 

気持ちの切り替えがうまい

気持ちの切り替えができる方も研究職に向いているといえます。研究が形になるには長い年月が必要な一方で、ときには会社の都合で急遽中止になったり、方針変更となったりすることもあります。
 
研究にのめり込む情熱を持ちつつ、方針変更でもスパッと気持ちを切り替えられるように、自己管理能力を磨いておきましょう。


まとめ



今回は、製薬会社の研究職の仕事内容や平均年収について解説しました。実際のところ、薬剤師から研究職へ転職できる方は限られているのが現状です。しかし、研究職はやりがいある仕事が多く、収入アップしやすい職種のため、ステップアップとして目指す価値は十分あるといえるでしょう。

ワールドインテックのRD事業部は、化学、バイオ、ヘルスケアなどライフサイエンス・マテリアル業界で研究開発・支援業務を行っています。

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