治験コーディネーターの将来性は?仕事内容・年収・資格事情を解説

治験コーディネーターに興味はあるものの「治験コーディネーターは将来も必要とされる?」「きつい仕事って聞くけれど、転職して後悔しない?」と不安を抱えている方もいると思われます。
日本SMO協会のデータでは、治験コーディネーターの人数や契約症例数は増加しており、今 後も一定の需要が見込まれます。
本記事では、治験コーディネーターの仕事内容や将来性、年収・働き方、未経験・無資格からの目指す方法、向いている人まで解説します。
治験コーディネーターは今後も需要が見込まれる仕事

治験コーディネーター(CRC)は、治験参加者のサポートや関係者との調整を通じて、治験を円滑に進める専門職です。
日本SMO協会のデータでは、治験コーデ ィネーターの人数と契約症例数は、いずれも増加しています。そのため、現時点では将来なくなる仕事とは考えにくいと考えられます。
指標 | 2021年 | 2025年 |
|---|---|---|
CRC人数 | 2,574人 | 3,369人 |
契約症例数 | 68,637症例 | 99,407症例 |
一方で、DCT(分散型臨床試験)や治験業務のデジタル化により、治験コーディネーターの働き方は変化しています。
今後は、従来の院内業務だけでなく、オンライン診療や電子的なデータ収集などを取り入れた治験にも対応できる専門性が求められます。
参考:日本SMO協会「JASMOデータ2026(2025年度版)」
治験件数・CRC人数の動向から見る需要
治験コーディネーターの需要を考えるうえでは、実際の人員数や治験に関わる症例数の推移が参考になります。
日本SMO協会によると、加盟企業の治験コーディネーター数は、直近5年でみると、2021年の2,574人から2025年には3,369人へ増加しました。契約症例数も、同期間に68,637症例から99,407症例へ伸びています。
契約症例数は、治験そのものの件数ではありませんが、SMOが支援する業務量を把握する指標の一つです。厚生労働省の職業情報提供サイトjob tagでも、「治験コーディネーターは治験に必要な人材であり、一定の需要がある」と記載されています。
治験コーディネーターの需要を判断する際は、個別企業の求人状況だけでなく、業界全体の統計や公的機関の情報もあわせて確認しましょう。
参考:日本SMO協会「JASMOデータ2026(2025年度版)」
専門領域の治験動向から見る需要
治験コーディネーターは、担当する疾患領域に応じた知識を身につける必要があります。
日本SMO協会の2025年データでは、抗悪性腫瘍薬のプロトコール数は2,130件で、掲載されている分類の中で最も多いです。ただし、数値には複数のSMOによる重複契約が含まれています。
担当領域の知識や経験を積むことは、治験コーディネーターとして専門性を高めるうえで重要です。日本SMO協会の継続教育研修でも、臨床薬理学や各種病態生理などが、学習項目に含まれています。
なお、特定領域のプロトコール数だけで将来性を判断するのは適切ではありません。
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)では、治験計画届出件数や薬効別の推移を公表しています。データもあわせて確認すると、治験全体の動向を把握しやすいです。
参考:日本SMO協会「JASMOデータ2026(2025年度版)」
DCT・治験DXの進展から見る役割の変化
治験のデジタル化が進んでも、治験コーディネーターの役割がなくなるわけではありません。
DCT(分散型臨床試験)は、オンライン診療などのデジタル技術を活用し、治験参加者の来院回数や負担を減らす臨床試験です。国立がん研究センター中央病院では、オンライン治験の実務手順書を公開し、DCTコンサルテーションも実施しています。
来院対応の一部が遠隔化しても、治験参加者のサポートやスケジュール管理、医師・パートナー施設・治験依頼者との連携は必要です。
近年は、タブレットやオンラインシステムなどを用いて、治験内容の説明や参加への同意取得を行う「eConsent」や患者自身が症状などを電子入力する「ePRO」など、新たな仕組みも広がっているため、今後の治験コーディネーターには、治験に関する知識に加え、デジタル環境で関係者を調整する力が求められます。
参考:国立がん研究センター中央病院「DCT(分散型臨床試験)」
治験コーディネーター(CRC)の仕事内容

治験コーディネーターの仕事内容は、治験責任医師や分担医師の指示のもと、医学的判断を伴わない業務や事務作業、チーム内の調整、被験者のサポートなど、多岐にわたります。
臨床開発モニター(CRA)が、製薬会社などの立場から治験をモニタリングするのに対し、治験コーディネーターは、医療機関側で医師や院内部門と連携しながら被験者をサポートします。
業務の場面 | 主な仕事内容 | 将来も重要になる力 |
|---|---|---|
治験開始前 | 実施計画書の理解、業務フロー作成、院内各部門との調整 | 計画理解、段取り、関係者調整 |
被験者対応 | 同意説明補助、来院・検査・服薬の確認、相談対応 | 説明力、傾聴力、倫理的配慮 |
医師・依頼者対応 | 症例報告支援、モニタリング対応、進捗・安全性情報の共有 | 正確な記録、調整力、GCP理解 |
治験開始前の準備を支援する
治験を円滑にスタートさせるため、治験コーディネーターは、開始前から実施体制を整えます。
まず、治験実施計画書を読み込み、治験の目的や対象となる被験者、検査・投薬のスケジュールなどを把握しておくのが基本です。そのうえで、治験業務の流れや症例管理に必要な資料を作成し、薬剤部・検査部・看護部などの関連部門と手順を調整します。
治験では、多くの職種が同じ計画に沿って動かなければなりません。治験コーディネーターは、各部門に必要な情報を共有し、実際の診療現場で治験を進められる状態を整える重要な役割を担います。
被験者の治験参加を支援する
治験コーディネーターは、治験に参加する被験者を継続的にサポートします。
具体的には、医師が行う同意説明の補助や被験者の適格性確認、来院・検査・服薬スケジュールの管理などです。診察時には、服薬状況や併用薬、有害事象などの情報も確認します。
さらに、治験中の疑問や不安を相談できる窓口としての役割も担います。
ただし、診断や治療方針などの医学的判断は行えません。必要な情報を整理して医師や関係者につなぎ、被験者の安全に配慮しながら治験が計画どおり進むようサポートします。
医師・関係部門・治験依頼者を調整する
治験では、医師だけでなく薬剤部・検査部・看護部・医事部門、臨床開発モニターなど、多くの関係者が携わります。治験コーディネーターは、各担当者に必要な情報を共有し、検査や治験薬、資料、モニタリングの日程・手順を調整する立場です。
たとえば、決められた日に特殊な検査が必要な場合は、検査部と事前に手順や時間を確認します。臨床開発モニターによるモニタリング時には、必要な資料や実施環境を整える対応も必要です。
このように、治験コーディネーターは複数の関係者をつなぎ、治験全体を円滑に進める調整役を担います。
関連記事:臨床開発モニター(CRA)とは?仕事内容や年収、向いている人を詳しく解説
治験コーディネーターの将来性を高めるスキル・経験

治験コーディネーターとして長く活躍するには、治験を取り巻く変化に対応しながら、知識やスキルを更新していく姿勢が欠かせません。
デジタル化が進む一方で、被験者や医師などの関係者との調整は、今後も重要な仕事です。
対人調整力や治験を適正に実施するための基準に関する知識(GCP)、デジタル対応力、専門領域の経験を身につけることで、治験環境の変化にも対応しやすくなります。
コミュニケーション・調整力を磨く
治験コーディネーターにとって、コミュニケーション・調整力は業務の中心となるスキルです。
治験コーディネーターは、被験者だけでなく医師や院内各部門、臨床開発モニターなど、立場や知識量が異なる人と関わります。各担当者に必要な情報を分かりやすく伝え、要望やスケジュールを整理しながら治験を進めなければなりません。
厚生労働省の「job tag」でも、治験コーディネーターに必要なスキルとして「傾聴力」「他者との調整」が、ともに高く示されています。
単に人当たりが良いだけでなく、相手の話から必要な情報を正確に聞き取り、関係者が合意できる形に調整する力を磨く必要があります。
参考:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「治験コーディネーター」
医学・薬学・GCPの知識を更新する
治験実施計画書を正しく理解し、被験者の安全や治験データの信頼性を守るには、医学・薬学の基礎知識に加えて、GCPや倫理、関連法規への理解が欠かせません。GCPは、治験参加者の人権や安全に配慮しながら、科学的に適正な治験を行うための基準です。
治験に関する専門知識は、一度身につければ終わりではありません。
日本SMO協会では、基礎知識を維持するとともに、医学・薬学の進歩や法改正に伴う新たな内容を習得するため、継続教育を定めています。
新しい治療法や制度変更を学び続ける姿勢は、治験コーディネーターとして専門性を維持するうえで重要です。
参考:厚生労働省 2.治験のルール「GCP」
デジタル技術・DCTへの対応力を身につける
DCT(分散型臨床試験)の普及に伴い、治験コーディネーターにはデジタル技術を活用した治験への対応力も求められます。
DCTでは、オンライン診療などを利用し、被験者が治験実施医療機関へ来院する回数を減らす仕組みが取り入れられています。パートナーとなる医療機関と連携して検査を行うケースもあり、対面中心の治験とは異なる調整が必要です。
そのため、特定のシステム操作を覚えるだけでなく、新しいツールや手順を理解し適切に活用する力を身につけましょう。
専門領域の治験経験を積む
特定の疾患領域で治験経験を積むことは、治験コーディネーターの専門性を高めるうえで有効です。
たとえば、オンコロジー領域では、治療法や検査内容、有害事象の特徴などを理解し、被験者へのサポートや関係者との調整を行う必要があります。疾患によって治験の進め方や注意点が異なるため、実務経験を重ねることで対応力も高まります。
ただし、一つの領域だけに知識を限定する必要はありません。担当する治験に応じて、新しい疾患や治療法を学び、知識の幅を広げていく姿勢も大切です。
治験コーディネーターになるには

治験コーディネーターになるために、必須の国家資格はありません。厚生労働省の「job tag」でも、入職時に特定の学歴や資格は必要とされないと記載されています。
一方で、医学・薬学の知識や臨床経験は、治験実施計画書の理解や被験者対応などの実務に役立ちます。
治験を行う医療機関を支援する「SMO」では、新卒採用も行われており、企業によっては未経験者向けの研修制度も整備されています。
資格の有無だけでなく、入職後の研修や実務経験を通じて専門性を高めるのが大切です。
参考:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「治験コーディネーター」
未経験・無資格からCRCを目指す
治験コーディネーターは、未経験・無資格からでも目指せます。厚生労働省の「job tag」によると、入職に特別な資格は必要なく、SMOでは新卒採用も行われています。
実際に、日本SMO協会の2025年データでは、医療資格を持たない治験コーディネーターが848人おり、全体の25.2%です。
ただし、入職後は、治験を適正に実施するための基準であるGCPや治験の仕組み、医学・薬学などの知識を身につける必要があります。
応募条件や研修制度は企業によって異なるため、求人を確認する際は、未経験者の採用実績や教育体制も確認しましょう。
参考:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「治験コーディネーター」
参考:日本SMO協会「JASMOデータ2026(2025年度版)」
医療資格・臨床経験をCRCに生かす
看護師や臨床検査技師、薬剤師などの医療資格がある場合は、これまでに身につけた知識や臨床経験を治験業務に生かせます。
たとえば、看護師の患者対応力、臨床検査技師の検査に関する知識、薬剤師の薬剤に関する知識は、被験者のサポートや治験の進行に役立つ強みです。
日本SMO協会の2025年データを見ると、看護師が36.6%、臨床検査技師が22.1%を占めるほか、管理栄養士・栄養士や医療資格を持たない人も治験コーディネーターとして働いています。
2025年の医療保有資格区分 | 人数 | 構成比 |
|---|---|---|
看護師 | 1,233人 | 36.6% |
臨床検査技師 | 743人 | 22.1% |
薬剤師 | 119人 | 3.5% |
管理栄養士・栄養士 | 269人 | 8.0% |
その他の医療資格 | 157人 | 4.7% |
医療資格なし | 848人 | 25.2% |
これまでの経験を治験業務でどう生かせるか、整理してみてください。
参考:日本SMO協会「JASMOデータ2026(2025年度版)」
認定CRCで専門性を高める
治験コーディネーターとして経験を積んだ後は、認定制度を活用して専門性を高める方法もあります。
代表的な制度の一つが「JASMO公認CRC」です。治験コーディネーターとして働くための必須資格ではありませんが、治験に関する知識や実務経験を身につけていると示す資格として活用できます。
JASMO公認CRC試験を受験するには、所定の導入教育研修を修了し、その後2年以上の実務経験を積まなければなりません。公認証は5年ごとの更新制で、更新には継続教育などの条件が設けられています。
取得を検討する際は、最新の受験資格や更新要件を公式サイトで確認しましょう。
治験コーディネーターの年収と働き方

治験コーディネーターの年収や働き方は、所属先や経験、保有資格、担当する役割によって異なります。
主な勤務先は、治験施設支援機関(SMO)や病院などの医療機関です。SMO所属と院内所属では、給与体系や担当する施設の範囲が変わります。
勤務時間帯は、基本的に日勤中心ですが、医師との打ち合わせや被験者の都合により、夕方以降に対応するケースもあります。
転職時は、平均年収だけでなく、給与制度や担当施設数、勤務時間まで確認しましょう。
年収の目安
厚生労働省のjob tagによると、治験コーディネーターが属する職業分類の全国の賃金(年収)は、454.2万円です。
ただし、上記の数値は、治験コーディネーターだけを対象とした統計ではありません。job tagでも、統計データは「必ずしもその職業のみのデータではない」と注意書きが記載されています。
そのため、454.2万円を治験コーディネーター単独の平均年収と捉えないように注意しましょう。
実際の給与は、勤務先や経験年数、医療資格、役職などによって異なります。求人を比較する際は、基本給や賞与、手当など個別の給与条件も確認すると安心です。
参考:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「治験コーディネーター」
SMO所属と院内CRCの働き方
治験コーディネーターの働き方は、大きく分けてSMO所属と院内所属の2つです。
SMO所属の場合は、所属企業と契約している医療機関で治験をサポートします。複数の医療機関を担当するケースも存在するため、勤務先や担当施設が変わる可能性もあります。
一方、院内治験コーディネーターは、病院などの医療機関に所属し、院内で実施する治験を担当する働き方です。
項目 | SMO所属CRC | 院内CRC |
|---|---|---|
所属 | 治験施設支援機関(SMO) | 病院などの医療機関 |
主な働き方 | 契約先の医療機関で治験支援。複数施設を担当する場合がある | 所属医療機関の治験を担当。医療職との兼務の場合もある |
給与の考え方 | 所属SMOの給与規定による | 医療機関の給与体系・保有医療資格に基づく場合がある |
厚生労働省のjob tagによると、SMO所属の治験コーディネーターは、所属企業の規定に基づいて賃金が決まります。一方、院内所属では、看護師や薬剤師、臨床検査技師などの医療資格に基づく給与となる場合があります。
SMO所属と院内所属は、働く場所だけでなく給与体系や担当範囲にも違いがあると理解しておきましょう。
参考:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「治験コーディネーター」
日勤中心の働き方と予定外対応
治験コーディネーターは、基本的に日勤中心で働く職種です。
厚生労働省のjob tagでは、治験コーディネーターは夜勤がなく日勤中心で、残業も少ないとされています。夜勤のある職種から転職する場合は、勤務時間の違いも働き方を検討する際のポイントになるでしょう。
ただし、毎日決まった時間に勤務が終わるとは限りません。診療時間後に医師との打ち合わせが入ったり、被験者の仕事が終わる夕方以降に対応したりする場合があります。
また、担当施設数や治験の進捗、被験者の来院予定によってもスケジュールは変わります。
求人を選ぶ際は、残業時間や土日対応の有無、出張・外勤の範囲、担当施設数などを確認すると、入職後の働き方をイメージしやすいです。
参考:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「治験コーディネーター」
関連記事:治験コーディネーターの1日・一週間のスケジュールを大公開!年収についても解説
治験コーディネーターが「大変」と言われる理由

治験コーディネーターは、多くの関係者との調整や正確な記録管理、被験者への継続的なサポートを担うため、業務に負荷を感じる人もいます。
ただし、「きつい」「後悔した」など大変だと感じるかどうかは、担当する治験や施設数、職場の人員体制などによって異なります。
仕事の特徴を理解したうえで、自分の適性や希望する働き方に合っているかを判断するのが大切です。
多職種との調整で精神的な負荷がかかる
治験コーディネーターは、医師や看護師、検査部門、被験者、臨床開発モニターなど、多くの関係者と連携します。
各担当者の予定や要望を確認しながら、検査や診察、モニタリングなどの日程を調整するため、対人対応に負担を感じる人もいるでしょう。
厚生労働省のjob tagでは、治験コーディネーターに必要なスキルとして、「傾聴力」「他者との調整」がいずれも高く示されています。 単に会話が得意なだけでなく、相手の意図を正確に把握し、異なる立場の関係者を調整する力が必要です。
人とのやり取りが多い環境に抵抗がないかは、治験コーディネーターとしての適性を考える際のポイントになります。
参考:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「治験コーディネーター」
正確な記録と期限管理に責任が伴う
治験では、症例報告に必要な情報や来院スケジュール、検査結果、服薬状況などを正確に管理する必要があります。
複数の予定を並行して進めながら、記載漏れや確認漏れ、期限遅れを防がなければならないため、注意力と時間管理力が欠かせません。
厚生労働省のjob tagでも、治験コーディネーターは「厳密さ、正確さ」の重要度が高く、時間管理も求められる仕事として示されています。
作業量の多さだけでなく、一つひとつの対応が治験データの信頼性や進行に関わる点も、仕事を「きつい」と感じる要因の一つです。
参考:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「治験コーディネーター」
被験者対応では安全への配慮が欠かせない
治験コーディネーターは、被験者の体調や服薬状況、有害事象などを確認し、必要に応じて医師や関係者へ速やかに共有しなければなりません。
医学的な判断を自ら行う職種ではありませんが、被験者の変化を見逃さず、適切に医師へつなぐ役割には大きな責任が伴います。
GCPでは、被験者の人権や安全を守りながら治験を適正に実施するための基準が定められています。重篤な有害事象が発生した場合は、治験責任医師から実施医療機関の長や治験依頼者への報告・通知が必要です。
安全への配慮が常に求められる点は負担になり得る一方、新しい医薬品の開発を支え、将来の医療に貢献できる点は、治験コーディネーターのやりがいといえるでしょう。
治験コーディネーターに向いている人とは?

医療資格があるからといって、治験コーディネーター向いているとは限りません。
実務では、被験者や医師、医療スタッフなど多くの人と関わるため、相手に合わせて調整する力や、正確に業務を進める力が求められます。複数の予定や期限を管理する場面も多く、時間管理力も欠かせません。
また、治験ごとに対象疾患や治験薬、実施計画書が異なるため、新しい知識を継続して学べる人も向いています。
資格の有無だけでなく、仕事の進め方が自分に合うかどうかも確認してみてください。
相手に合わせて説明・調整できる人
治験コーディネーターは、相手の立場や理解度に合わせて説明できる人に向いています。
被験者には専門用語をかみ砕いて伝え、医師や医療スタッフ、臨床開発モニターとは必要な情報を正確に共有しなければなりません。さらに、相手の話を聞きながら要望や状況を整理し、検査や診察、モニタリングなどの日程を調整する場面も多くあります。
自分の意見を一方的に伝えるのではなく、必要事項を聞き取り、関係者が動きやすい形にまとめられる人は強みを発揮できるでしょう。
正確さと優先順位を両立できる人
治験コーディネーターは、正確さを保ちながら複数の業務を並行して進められる人に向いています。
担当する被験者や施設が複数ある場合、それぞれの来院日や検査、書類提出の期限などを管理しなければなりません。どの業務を先に進めるべきか判断しつつ、記録漏れや手順の間違いを防ぐ丁寧さが求められます。
忙しいときでも優先順位を整理し、一つひとつ確認しながら処理できる人は、治験を円滑に進められます。
新しい知識を継続して学べる人
新しい知識を継続して学べる人も、治験コーディネーターに向いています。
治験ごとに対象疾患や治験薬、実施計画書が異なるため、担当案件に応じて必要な知識を身につけなければなりません。また、GCPなどのルールや関連法規、DCTをはじめとするデジタル技術も変化していきます。
そのため、入職時に身につけた知識だけに頼らず、研修や自主学習を通じて情報を更新する姿勢が大切です。
治験コーディネーターは、新しいことを学ぶのが苦にならず、専門性を高めていきたい人に適した仕事です。
治験コーディネーターの将来性に関するよくある質問

治験コーディネーターの将来性を考える際、DCTの普及による仕事への影響や、子育てとの両立などの働きやすさ、無資格からのキャリアに疑問を持つ人もいるでしょう。
ここでは、公的機関や業界団体の情報をもとに、よくある疑問を解説します。
DCTが普及すると治験コーディネーターは不要になりますか?
DCTが普及しても、治験コーディネーターが不要になるとは考えにくいです。
DCTでは、オンライン診療や治験薬の配送などを活用し、被験者が医療機関へ通う負担を減らします。ただし、来院回数が減る代わりに複数の医療機関との連携やデータ共有、治験薬の受け渡しなど、新たな調整業務が必要です。
そのため、今後の治験コーディネーターには、対面での対応だけでなく遠隔でも被験者をサポートし、関係者をつなぐ力が求められます。
DCTに対応したシステムや業務の流れを理解する力も、重要なスキルになるでしょう。
治験コーディネーターは働きやすい職種ですか?
治験コーディネーターは、働きやすい要素がある一方、勤務先によって働き方が異なります。
厚生労働省のjob tagでは、夜勤はなく日勤中心で、残業も少ない職種とされています。そのため、子育て中の方でも働きやすいでしょう。ただし、診療時間後に医師との打ち合わせが入ったり、被験者の都合に合わせて夕方に対応したりする場合もあります。また、担当する治験の数や進捗状況によっては、業務が立て込む時期があります。
そのため、必ずしも誰にとっても働きやすいとは限りません。
転職時は、勤務時間や担当施設数、出張・土日対応の有無に加え、フレックスタイムや在宅勤務、休暇の取りやすさ、育児支援制度なども確認しましょう。
参考:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「治験コーディネーター」
治験コーディネーターは無資格でも長く活躍できますか?
医療資格がなくても、治験コーディネーターとして働けます。
日本SMO協会の2025年データでは、医療資格を持たない治験コーディネーターが848人おり、全体の25.2%を占めています。
ただし、長く活躍するには、治験やGCP、医学・薬学などの知識を継続して学ぶ姿勢が欠かせません。日本SMO協会では、導入教育に加え、医学・薬学の進歩や法改正に対応するための継続教育も定めています。
実務経験を積み、教育制度を活用したり、JASMO公認CRCの取得を目指したりして専門性を磨けば、長期的なキャリアにつながります。
参考:日本SMO協会「JASMOデータ2026(2025年度版)」
CRCの将来性を生かすには専門性と適応力を磨こう

治験コーディネーターは、人数や契約症例数が増加しており、厚生労働省のjob tagでも、一定の需要があると紹介されている職種です。一方、DCTの普及などによって、治験の進め方は変化しています。
今後も長く活躍するには、仕事内容や働き方、自分の適性を理解したうえで、対人調整力や医学・薬学の知識、デジタル対応力、専門領域の経験を磨く姿勢が欠かせません。
R&D分野で幅広いキャリアを検討したい場合は、ワールドインテックのR&D事業部も選択肢の一つです。化学・バイオ・各種分析・臨床開発などの領域で研究開発を支援し、研修や人材育成にも取り組んでいます。





