技術職とはどんな仕事?未経験者でもなれる?

就職活動や転職を考える際に「技術職」という言葉を耳にすることは多いものの、具体的にどのような仕事内容なのか、自分にも挑戦できるのか不安に感じる方も多いのではないでしょうか。技術職は専門的なイメージが強く、理系出身者や経験者しかなれないと思われがちですが、実際には文系出身者や未経験者でも挑戦可能な分野が数多く存在します。
また、似たような職種として「エンジニア」や「技能職」という言葉もよく使われますが、それぞれには明確な違いがあり、キャリア選択において重要なポイントとなります。
本記事では、技術職の具体的な仕事内容から必要なスキル、未経験からの転職方法、さらにはエンジニアや技能職との違いまで、技術職に関する疑問を分かりやすく解説します。技術職への転職を検討している方はもちろん、将来のキャリアパスを考えている方にとっても参考になる内容となっています。
技術職とは
技術職とは、科学や技術に関する専門的な知識やスキルを活かして、特定の分野で働く職種の総称です。
ただし技術職の定義はあいまいな部分が多く、職業の分野も多岐にわたります。製品や技術を考えるという、ものづくりに直結する仕事以外にも、開発した製品を生産する工場との橋渡しを行うのも技術職の重要な役割です。
専門学校や大学で専門の分野について学んできた人が多い傾向にあります。
エンジニアとの違い
技術職とエンジニアの関係について説明すると、エンジニアは技術職の中の一つのカテゴリーと捉えるのが適切です。技術職は専門的な技術知識や技能を活用する職業全般を指す広い概念であり、研究者や技術者、職人など様々な職種を包含しています。
一方、エンジニアは工学的知識を基盤として、システムや製品の設計・開発・改良を行う職業を指します。
両者の主な違いは適用範囲と職務内容にあります。技術職には伝統工芸の職人や医療技術者なども含まれますが、エンジニアは主に工学分野に特化しており、問題解決のためのシステム構築や技術的ソリューションの提供に重点を置きます。
また、エンジニアには設計から実装、保守まで一貫したプロセス管理が求められることが多く、より体系的なアプローチが特徴的です。つまり、全てのエンジニアは技術職ですが、全ての技術職がエンジニアというわけではないという包含関係にあります。
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技能職との違い
技術職と技能職の違いは、主に知識の性質と業務の特徴にあります。技術職は理論的・学術的な専門知識を基盤とし、設計や開発、分析といった創造的・企画的業務を担当します。例えばシステムエンジニアや研究開発者などが該当し、大学や専門学校での体系的な学習を通じて資格や学位を取得することが一般的です。
一方、技能職は実践的な技能や手作業による専門技術を重視し、製造や加工、施工といった実務的業務を中心とします。職人や製造オペレーター、調理師などが代表例で、現場での経験や見習いを通じて技能を習得することが多いのが特徴です。
ただし、現代では両者の境界は曖昧になりつつあり、技術職にも実践的スキルが求められ、技能職にも理論的知識の重要性が高まっています。どちらも専門性を活かした重要な職種として社会に不可欠な存在です。
技術職にはどんな種類がある?
技術職は、大きく3つの分野に分けられます。
- 研究・開発
- 製造・設計
- 設備保全
それぞれの分野について詳しく見ていきましょう。
研究・開発
研究・開発職は新しい技術や製品の創出を目的とした職種です。基礎研究では理論や原理の解明に取り組み、応用研究では実用化に向けた技術開発を行います。大学や研究機関、企業の研究部門で活動し、実験計画の立案から結果分析、論文作成まで幅広い業務を担当します。
長期的な視点での取り組みが多く、失敗を重ねながら新たな発見や技術革新を目指します。化学、物理学、生物学、材料工学など様々な分野があり、高度な専門知識と探究心、忍耐力が求められます。
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製造・設計
製造・設計職は製品やシステムの設計から生産までのプロセスに関わる職種です。設計技術者は顧客のニーズを技術的仕様に落とし込み、CADソフトなどを使用して図面や3Dモデルを作成します。製造技術者は効率的な生産方法の確立や品質管理システムの構築を担います。
自動車、電子機器、建築物など幅広い分野で活躍し、コスト、品質、納期のバランスを考慮した最適解を見つけることが重要です。実用性と創造性の両方が求められる職種です。
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設備保全
設備保全職は工場や施設の機械設備や生産ラインの維持管理を行う職種です。予防保全では定期的な点検や部品交換により故障を未然に防ぎ、事後保全では故障発生時の迅速な復旧作業を行います。機械、電気、制御系統など多岐にわたる知識が必要で、設備の性能維持と生産効率の向上を両立させます。
近年は IoT技術を活用した予知保全も導入されており、データ分析スキルも重要になっています。工場の安定稼働を支える縁の下の力持ち的な役割を担う重要な職種です。
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技術職に転職するメリット
技術職に転職するメリットは、主に以下の点が挙げられます。
高年収を目指せる
技術職は専門性の高さから高年収を目指せる職種として知られています。実際にモノづくり系エンジニアの平均年収は463.4万円で、日本の平均年収458万円よりも高い水準となっています。
その理由として、特定の技術領域において深い知識とスキルを持つ人材への企業の需要が高いことが挙げられます。技術の進歩が急速に進む現代において、最新技術を理解し活用できる人材は希少価値が高く、企業は相応の対価を支払ってでも確保したいと考えるからです。
手に職をつけて働ける
技術職の大きな魅力は、専門的なスキルや知識を身につけることで「手に職をつけられる」ことです。一般的な事務職やサービス業とは異なり、技術職では特定の技術領域における深い専門性が評価の対象となるため、一度身につけたスキルは長期にわたって価値を持ち続けます。
プログラミング言語、設計技術、機械操作技能、分析手法など、技術職で求められるスキルは簡単に代替されにくく、転職市場においても高い価値を保持します。
また、技術の進歩に合わせて継続的にスキルアップを行うことで、市場価値をさらに高めることができるのも技術職の特徴です。
同じ業界で安定して働ける
技術職は業界内での安定した需要があり、長期にわたって同じ業界で働き続けることができます。その理由として、まず技術的な専門性が企業の競争力に直結するため、企業は技術者を重要な資産として位置づけ、継続的に雇用する傾向があることが挙げられます。
また、技術職で培った知識や経験は業界内で共通して活用できることが多く、転職する場合でも同業界内での移動が容易になります。
さらに、デジタル化やAI活用などの技術革新により、技術職の需要は今後も拡大が予想されており、業界全体での雇用安定性が高まっています。製造業、IT業界、建設業界など、どの技術分野においても継続的な技術革新が求められているため、技術職は将来性の高い職種として評価されています。
未経験から技術職に就くには
未経験から技術職に就くことは決して不可能ではありません。技術職は専門学校や大学で専門知識を学んだ人が多いイメージがありますが、実際には未経験者を歓迎する企業も多数存在します。これらの企業では充実した教育制度や研修プログラムが整備されており、基礎から専門知識を学べる環境が提供されているため、安心してキャリアをスタートできます。
ただし、全ての技術職が未経験で務まるわけではないため、戦略的なアプローチが重要です。いきなり高度な技術職を目指すのではなく、まずは関連業務や技術サポート、品質管理などの周辺業務から始めて実務経験を積み、段階的に目標とする技術職にステップアップする方法が効果的です。
また、資格取得は未経験者にとって技術力を証明する有効な手段となります。おすすめ資格として、IT系では基本情報技術者試験やITパスポート、製造系では危険物取扱者や品質管理検定、電気系では第二種電気工事士などがあります。これらの資格は実務経験がなくても取得可能で、転職活動において学習意欲と基礎知識をアピールできる材料となるでしょう。
技術職は女性の需要も多い
技術職における女性の需要は確実に増加しており、実際にある求人サイトの登録者データによると、2012年において女性エンジニアの比率は17%程度でしたが、2022年には21%程度にまで増加しています。また、女性エンジニアの転職決定者数の伸び率は2018年で2009年比約9.5倍に増加[y3] するなど、女性技術者への需要の高まりは明らかです。
研究・開発職において女性ならではの視点が重要視される背景には、多角的な視点から製品やサービスを評価できることがあります。女性ならではの視点とは具体的に、消費者としての生活体験に基づいた実用性の評価、細やかな品質へのこだわり、ユーザビリティやアクセシビリティへの配慮、チームワークを重視したコミュニケーション能力などです。
特に消費者向け製品の開発では、女性の生活感覚や使いやすさへの感覚が重要な要素となり、より多様なユーザーニーズに応えられる製品開発につながります。また、研究においても異なる視点からの分析や検証が可能になり、イノベーションの創出に貢献できるのです。
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技術職に向いている人
専門性を生かせる技術職は、やりがいのある仕事ですが、人によっては向き不向きがあります。
技術職に向いている人の特徴を見ていきましょう。
ものづくりが好きな人
技術職は本質的に「何かを作り出す」仕事であるため、ものづくりが好きな人に向いています。プログラムを組んでシステムを構築したり、設計図から製品を生み出したり、実験を重ねて新しい技術を開発するなど、技術職の多くは無から有を生み出すプロセスに関わります。ものづくりが好きな人は、自分のアイデアや技術が形になる瞬間に大きな達成感を感じ、困難な課題に直面しても諦めずに取り組む粘り強さを持っています。
また、完成した作品や製品に対する愛着と責任感を持ち、品質向上への意欲も高い傾向があります。手を動かして実際に作業することを楽しめる人は、技術職で長期的にやりがいを感じながら働けるでしょう。
探求心がある人
技術の世界は常に進歩し続けているため、探求心がある人は技術職に適しています。新しい技術や手法に対する好奇心、「なぜそうなるのか」「もっと良い方法はないか」といった疑問を持ち続ける姿勢が重要です。探求心のある人は、問題に直面した時に原因を深く掘り下げて分析し、根本的な解決策を見つけ出そうとします。
また、最新の技術動向や業界情報に敏感で、自主的に学習を続ける習慣があります。実験や検証を通じて新たな発見を求める姿勢は、研究開発職では特に重要な資質となります。技術職では答えのない課題に取り組むことも多いため、探求心を持って挑戦し続けられる人が成功しやすいのです。
コツコツ作業できる几帳面な人
技術職の多くは長期間にわたる継続的な作業が必要であり、几帳面にコツコツと取り組める人に向いています。プログラミングでは何千行ものコードを丁寧に書き上げる必要があり、製造技術では細かな工程管理と品質チェックが求められます。几帳面な人は作業の進捗管理が得意で、スケジュールを立てて計画的に物事を進められます。
また、ミスを防ぐための確認作業や文書化にも責任感を持って取り組むため、高品質な成果物を生み出すことができます。地道な作業を嫌がらず、細部への注意力を維持できる特性は、エラーが許されない技術分野において非常に重要な能力です。継続的な学習や技術向上も、コツコツとした積み重ねが基盤となります。
コミュニケーションをとって作業を進められる人
現代の技術職はチーム作業が中心であり、優れたコミュニケーション能力が不可欠です。システム開発ではプロジェクトメンバー間での情報共有や進捗報告が重要で、製造現場では他部署との連携が製品の品質を左右します。コミュニケーション能力の高い人は、複雑な技術内容を分かりやすく説明でき、顧客や他部門の要望を正確に理解して技術的な解決策に落とし込むことができます。
また、問題が発生した際にはチーム内で迅速に情報共有し、協力して解決に向かうことができます。技術者同士の知識交換や後輩への技術指導においても、コミュニケーション能力は重要な役割を果たします。個人の技術力だけでなく、チーム全体の生産性向上に貢献できる人材が求められています。
まとめ
技術職は専門的な知識とスキルを活かせるやりがいのある職種で、高年収や安定した需要といった魅力があります。研究・開発、製造・設計、設備保全など幅広い分野があり、未経験からでもチャレンジ可能です。
また、女性の需要も増加しており、多様な視点が求められています。ものづくりが好きで探求心があり、コツコツと作業に取り組める几帳面さと、チームでのコミュニケーション能力を持つ人に特に向いているでしょう。技術革新が続く現代において、技術職は将来性豊かなキャリア選択肢の一つです。
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