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クリーンルームとは?構造の仕組みや作業内容・働くときのポイントを紹介

目次

工場系求人案内を見ていると、よく登場するのが「クリーンルーム」という単語です。どんな部屋で、どんな服装で働くのか気になっているけど行動に移せていない、給料が高くて気になるけど、分からないままスルーしている、もっと工場系クリーンルームについて知りたい。今回はそんな悩みを抱えている方に向けて、クリーンルームについて詳しく紹介します。クリーンルームで働くイメージが深まることでしょう。専門用語がいくつも登場しますが、面接で専門用語を交えて話をすると好感度がアップします。最後までお付き合いくださいね。

クリーンルームとは?

クリーンルームとは、空気中のホコリやチリなどの浮遊粒子が制御され、空気が一定レベルに清浄化されている部屋です。


食品加工工場のクリーンルームはイメージしやすいかもしれません。異物混入の食品が市場に出回り一斉回収した、などのニュースを見聞きすることもありますよね。異物混入トラブルが発生すると会社のイメージが悪くなるうえ、工場の生産ラインを一斉に停止するとなると、多大な損害を被ります。消費者に安全・安心な食品を提供するために、クリーンルームの存在は欠かせません。


日本の産業製品に関する規格や測定法を定義しているjisc(日本産業標準調査会)によると、クリーンルームの定義は下記の通りです。


コンタミネーションコントロールが行われている限られた空間であって、空気中における浮遊微粒子、浮遊微生物が限定された清浄度レベル以下に管理され、また、その空間に供給される材料、薬品、水などについても要求される清浄度が保持され、必要に応じて温度、湿度、圧力などの環境条件についても管理が行われている空間。

引用:jisc コンタミネーションコントロール用語

クリーンルームとは、空気中のホコリやチリ、浮遊微生物が入り込むのを防ぎ、一定の清浄レベル以下に管理され、気密性や温度、湿度、圧力までも一定に管理された部屋のことを指します。空気清浄の度合いは工場で何を製造しているかによって異なります。


クリーンルームの種類

クリーンルームは大きく分けると、2種類の方式があります。

電子機器など工業製品の製造工程で用いられるクリーンルームをインダストリアルクリーンルーム(industrial clean room, ICR)、医薬品など生物工学の分野で用いられるクリーンルームをバイオロジカルクリーンルーム(biological clean room, BCR)といいます。使われるジャンルによって名称が異なります。


インダストリアルクリーンルーム(ICR)

ICRでの管理対象は、空気中の浮遊微粒子です。主に電子機器系の製品を扱う施設に設けられます。半導体の製造工程では、制御対象となる微粒子の粒径は0.1μm(マイクロメートル)以下となる場合もあります。

さらに、適切な温度や湿度、室圧、気流、ケミカルガス成分なども管理されたクリーンな空間が必要になります。


【利用場所・分野】

  • 半導体
  • 液晶パネル
  • 精密機器
  • 樹脂製品
  • マイクロマシン
  • 精密機器 など

バイオロジカルクリーンルーム(BCR)

BCRは、産業分野によって目的が異なります。医薬品や化粧品産業ではGMP(医薬品の製造管理及び品質管理の基準)に対する製品の交差汚染(人や原材料、製品などが異なる衛生区域間を移動する際に菌などを持ち込み、製品を汚染してしまうこと)を防止するほか、製品の品質向上、従業員の安全性確保などを目的としています。病院施設では生命維持のための感染防止、食品産業においては異物混入の防止、味や消費期限を維持するために用いられます。

再生医療に用いられる細胞培養センター(CPC)では、微生物の汚染を防止するためにバイオロジカルクリーンルームが設置されています。


【利用場所・分野】

  • 医療機器・医療部品製造
  • 化粧品
  • 食品加工
  • 病院の手術室
  • 病院での新型コロナウィルス感染病床
  • 再生医療センター

クリーンルームの構造

クリーンルームの構造は、気流の流れ方で大きく3つに分かれます。

  • 一方向流方式
  • 非一方向流方式
  • 混合方式

クリーンルームは室内の空気を循環させて、空気の清浄レベルを一定に保ちます。一方向流方式は、天井や壁の一面にHEPAフィルタといった高性能フィルタを設置し、空気循環が水平、もしくは垂直に一方向に流れるようにする方式です。


非一方向流方式は、天井や壁の一部にHEPAフィルタなどの高性能フィルタを設置し、空気を循環させるのですが、他の一部に排気口を設け、空気を乱流するもので、微粒子の拡散を防止し、速やかに排出するものです。


混合方式とは、一方向流方式と非一方向流方式を混合させた方式で、一方向と乱流する気流が混ざり合っています。


一方向流方式

高品質のクリーンルームで用いられています。大量の給排気を行い、高い清浄レベルを保つために、全面がフィルタになった天井を用いたり、もしくは壁から入る空気をまっすぐに流して排気します。空気の流れを乱さないように生産設備、搬送用のロボットを設置し、入室人員を最小限にする運用が行われています。天井全面から床面に気流が流れ落ちるタイプは「垂直方式」と呼ばれており、最高レベルの清浄度を誇ります。高い清浄度の維持できるのがメリットですが、空調関係のランニングコストが高くなる点がデメリットです。


非一方向流方式

中程度のクリーンルームで用いられ、低投資で効果的な自動化を実現できます。天井や壁の一部にHEPAフィルタを設置し、他の一部に排気口を設け、清浄な空気を室内に取り入れ、クリーンルーム内で発生しているチリやホコリ、浮遊微生物を希釈して室外に排出します。一方向流方式と比べると空調関係のランニングコストを低くすることができるのがメリットですが、清浄度はやや落ちるのがデメリットです。


混合方式

高いコストパフォーマンスが得られやすいのが特徴で、一方向流方式と非一方向流方式のいいとこどりをしたイメージです。ランニングコストを低く抑えることができ、高い清浄度を維持できるのが特徴です。


クリーンルームで働くときは、クリーンスーツを着て作業します。マスクをして、目以外はクリーンスーツで覆われているので、暑そうに思われるのですが、クリーンルーム内は1年中一定温度に保たれているので快適に働けます。クリーンスーツは通気性もよく、ホコリが付かない仕組みになっています。


クリーンルーム内の清浄な風は、向きや速さなどが一定になるようコントロールされています。常に風が吹いている状態で寒そう、と思うかもしれませんが、クリーンスーツを着ているので大丈夫です。

クリーンルームの仕組みを支える4原則

クリーンルームの仕組みは、基本的な4原則で支えられています。最も重要なのはクリーンルームに関わる全ての人がクリーンルームの約束ごとを正しく理解することです。


クリーンルーム内での最大の汚染発生源は、人です。毛髪、汗による塩分、皮膚片など、何も対策しなければ、人が動くことで汚染が広まります。人が活動すればほこりが立つので、最大の汚染源である作業者は働く際、クリーンルームの仕組みをしっかりと意識するのが大切です。ここでクリーンルームの 4 原則を紹介します。


クリーンルームの4原則

  • 異物を持ち込まない
    材料、機器などは洗浄してから持ち込む
    ゴミやホコリ、チリをクリーンルーム内に持ち込まない
    エアーシャワーをしてから入退室する

  • 異物を発生させない
    クリーン服を着用する
    発塵しやすい材料や備品は使わない
    無駄な動きはしない

  • 堆積させない
    ゴミだまりをつくらない、清掃しやすい室内設計
    凸凹をなくす

  • 排除する
    発塵付近で排気する
    気流を妨げるものは置かない

クリーンルームの4原則を守らない作業員がいると、クリー ンルームの空気はすぐに汚染され、給気による空気の入れ換えや希釈が間に合わず、空気の清浄レベルが低下します。作業員が4原則を守ることで、クリーンルーム内の清浄レベルを保つことにつながります。


この4原則を知っておくと、面接がプラスに働くかもしれません。クリーンルームで働くことを考えている人は、ぜひ頭に入れておきましょう。


業種によって違う?クリーンルームのクラス(清浄度)分類

クリーンルームの清浄度は、クラスで表示されます。清浄度とは、クリーンルームの空気中に目に見えないチリやホコリ、浮遊微生物の粒子がどれくらい含まれているかを調べるもので、数字が低いほど高い清浄度があることを意味します。

 

クリーンルームに入る前に、作業員は必ずエアーシャワーを行い、材料や機材は消毒をしてから持ち込むのですが、作業内容によって粒子が部屋に入り込むこともあります。空気中の異物は完全に排除することはできないため、個数を数えることで、空気の清浄度をクラス分けして、どれくらい粒子があるかを可視化する必要があります。


日本における清浄度の規格は、米国連邦規格(Fed.Std.209E)と、ISO14644-1:2015 Cleanrooms and associated controlled environments の 2つが中心です。米国連邦規格では、1立法フィート(約 28.3リットル)に含まれる粒径0.5μm粒子の粒子個数でみるのに対し、ISO では 1立方メートルの粒子個数をみています。日本では、米国連邦規格を継続して採用している 企業が大半です。

クリーンルームや管理技術はアメリカから日本に伝わり、その影響もあって、1963 年に制定された米国連邦規格を清浄度の規格として採用してきました。しかし、1999 年に ISO が国際的な統一規格として制定され、米国連邦規格は2001年に廃止されました。

米国連邦規格に慣れ親しんできた日本では、クリーンルームの清浄度を米国連邦規格で表記している企業がほとんどです。


清浄度クラス

上限濃度(個 /m3)

米国連邦規格 (Fed.Std.209E

ISO 14644-1 :2015

測定粒径

0.1μm
0.2μm
0.3μm
0.5μm

1.0μm

5.0μm


Class1
10
2





Class2
100
24
10
4


1
Class3
1,000
237
102
35
8

10
Class4
10,000
2,370

1,020

352
83

100
Class5
100,000
2,370
10,200
3,520
832
29
1,000
Class6
1,000,000
23,700
102,000
35,200
8,320
293
10,000
Class7



352,000
83,200
2,930
100,000
Class8



3,520,000
832,000
29,300

Class9



35,200,000

8,320,000
293,00


参考URL:https://ls.beckmancoulter.co.jp/files/appli_note/particle_counter/cleanroom_DL.pdf


清浄度のクラスの数字が低ければ低いほど、クリーンルームに異物が少ない状態であることを意味します。ISO規格のクラス1のクリーンルームは、1立方メートルの空気中に0.1μm以上の微粒子が10個以下に管理された室内であることを意味します。

半導体の前半工程の中でもミニエン部を扱う工場がクラス1~4と最高レベルで、LEDの工場はクラス5~7、食品加工工場はクラス8となっています。[深井6] クリーンルームの清浄度をモニタリングするパーティクルセンサーが設置され、数値が「見える化」されています。

参考:BECKMANCOULETR クリーンルームの規格(ISO 14644-1)

【業種・職場別】クリーンルームのクラス(清浄度)分類

産業別・分野別で、クリーンルームの清浄度が異なります。半導体工場では、最高レベルの清浄度が求められています。工場で働く上で、一番大切なのは、不良品を作らないことです。精密な対応が必要な職場ほど、徹底した清浄度管理が大切です。


この表のクラス表示は米国連邦規格 (Fed.Std.209E)によるものです。日本のほとんどの企業が、クリーンルームの清浄度を米国連邦規格で表しています。


産業・分野

求められる清浄度・クラス

半導体工場

クラス1~100

電子部品工場

クラス100~10,000

光学機械工場

精密工場

薬品・食品工場

クラス100~100,000

印刷工場

クラス1,000~100,000

自動車部品工場

手術室・治療室

花粉対策

インフルエンザ



クリーンルームと無菌室の違い

病院などでよく耳にする、無菌病棟や無菌手術室は、工業用クリーンルームとどこが違うのでしょうか。無菌室は前述のBCRの一種ですが、工場用クリーンルームとの違いは、ずばり空気中の粒子の数の違いです。

無菌室の定義は以下の通りです。

無菌室とは

徹底した空気清浄を行い陽圧化(又は無菌室内に感染病患者が存在する場合には内部の汚染空気を封入する事を目的とした陰圧の無菌室)したクリーンルームである。清浄度は国際標準化機構(ISO)等を代表する規格により規格化されている[1]。

出入りする病院関係者も、徹底した殺菌工程を経て内部に出入りすることとなる。

引用:Wikipedia 無菌室


病院の無菌病棟には、抗がん剤治療や骨髄移植を行う、血液がんの患者らが入院しています。感染を予防するため、病棟全体の空気清浄を行っているのですが、完全に異物がない状態ではありません。


病院の無菌室の手術室の清浄度はISO規格ではクラス7、米国連邦規格だとクラス10,000になっています。クラス10000とは、約30㎝の立方体の内の0.5μm以上の粒子数が1万個以下ある状態です。病院の無菌手術室の清浄度はISO規格ではクラス5、米国連邦規格だとクラス100となっています。


クリーンルーム求人の仕事内容

工場でのクリーンルームの求人で、よく一緒に書かれている仕事内容として、「検査」「組立加工」「軽作業」「マシンオペレータ」があります。クリーンスーツを着て、部品の組み立てや加工をしたり、検査をすることになるのが多いようです。


半導体の工場であれば、クリーンルームで数ミリ単位の細かな部品を組み立てたり、完成した製品を検査したり、機械を操作したりします。ただ、工場での「軽作業」は重量物を運搬することも含まれるため、クリーンルームで働くことイコール力作業が必要でない楽な仕事、とは限らないのが現状です。


個人で求人を探すと、「こんなはずじゃなかった」と後悔することも少なくありません。例えば、クリーンルームでの軽作業と書いてあったのに、実際働いてみると、クリーンルームで20㎏の原材料を一日何回も投入する「軽く」ない、体力を消耗する仕事だった、ということもあります。そんなことにならないように、工場の仕事に詳しいアドバイザーがいる工場系求人サイトを利用しましょう。求人サイトの検索欄にある「クリーンルーム」にチェックを入れるだけで仕事が見つかります。


工場での仕事といえば、油で真っ黒になった作業服を着て、流れるような汗をかきながらやる、というイメージがありますが、クリーンルームは夏でも冬でも一定温度、一定湿度が保たれています。衛生的にも管理された中で、快適に働きたい方におすすめです。


クリーンルーム求人の給料相場

実際にクリーンルームで働く際の給料相場を調べてみました。地域によって差はありますが、正社員、契約社員、派遣社員で大きな差はなく、23万円から36万円となっています。アルバイトは時給1,100円から1,800円前後です。


給与以外にも、家具家電付きの寮で個室が完備され、無料で入ることができたり、食堂の利用で会社が半額出してくれるという好待遇の工場もありました。



正社員

23万円~36万円/月

派遣社員

24万円~34万円/月

契約社員

24万円~34万円/月

アルバイト

時給1,100円~1,800円

※地域によって前後はあります。


クリーンルームでの仕事は、工場の仕事の中でも比較的高単価になりやすい傾向にあります。温度や湿度が保たれたクリーンルームでの仕事は、汗まみれになる環境と比べると快適な環境での仕事といえるでしょう。


クリーンルームで働く・作業するときのポイント

クリーンルームで働く時の注意点は以下の通りです。ぜひ参考にしてください。

  • 細かい規則や決まりごとが多い
    品質管理や衛生上の理由から、温度や湿度、空気清浄、圧力などすべて管理された部屋なので、入退室のルールは細かいです。機械の取り扱い、清掃の仕方などすべて徹底しています。先輩が教えてくれるのでご安心ください。

  • 入室時は水を大量に飲まない
    クリーンルームにはトイレはありません。入る前にトイレをすませましょう。

  • 男性はヒゲ禁止
    衛生上の理由から禁止となっている工場が多いです。整髪料もNGです。

  • クリーンスーツの下は普段着でOK
    どんな服装でも大丈夫ですが、衛生上、シャツ出し禁止です。

  • 決められたもの以外持ち込み禁止
    作業員がマナーを守らないと、すぐにホコリやチリなど浮遊粒子が増えるおそれがあります。

  • アクセサリー禁止
    アクセサリーにはチリが付着しているおそれがあります。

  • 化粧はNG
    空気清浄度のクラスが高いほど、化粧はNGとなっています。スッピンで働けるのでお化粧
    品代がかかりません。

今回紹介したポイントと、会社の作業ルールをしっかり守りましょう。


まとめ

工場のクリーンルームは、空気が清浄化された環境を保ち、製品の不良品や欠損を防ぐためさまざまな工場で必要不可欠な設備です。クリーンルームで働く際は、クリーンルームの仕組みや特徴を理解した上で、身だしなみやルールをしっかり守る必要があります。クリーンルームでの求人は一般的な工場より給料は高めになっており、正社員、派遣、契約社員等の求人も多い傾向にあります。クリーンルームで働いてみたいという人は、工場系求人サイト「JOBPAPER」で求人を探しましょう。「JOBPAPER」ならWeb応募が可能です。気になる求人があれば手軽に応募してみましょう。



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