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電子部品と半導体の違いとは?種類や用途、業界動向についても解説

現代のテクノロジー社会において欠かせない存在となっている電子部品と半導体。スマートフォンやパソコン、自動車、家電製品など、私たちの身の回りのあらゆる電子機器に使用されているこれらの部品は、しばしば混同されがちですが、実は明確な違いがあります。
 
本記事では、電子部品と半導体の基本的な違いから、それぞれの種類や用途、最新の業界動向まで幅広く解説します。近年のデジタル化の加速やIoTの普及により、これらの部品の重要性はますます高まっています。電子機器のしくみを理解する第一歩として、電子部品と半導体の違いを正しく把握しましょう。

目次

電子部品と半導体の違い


電子部品と半導体の違いは、包含関係にあります。電子部品は電子機器を構成するあらゆる部品の総称であり、その中の一種として半導体が位置づけられます。これは自動車というカテゴリにエンジンやタイヤなど様々な部品が含まれるのと同じ構造です。

 

電子部品

半導体

定義

電子回路を構成する個々の部品の総称

導体と絶縁体の中間的な性質を持つ物質、またはその物質を用いた部品やデバイス

範囲

抵抗、コンデンサ、コイル、トランジスタ、IC、コネクタ、スイッチなど

トランジスタ、ダイオード、IC、メモリなど

主な役割

電気信号の制御、接続、機械的な機能の実現など

電気信号の増幅、スイッチング、整流、記憶、発光など


半導体は電気の流れを制御する特殊な性質を持つ材料から作られ、トランジスタやICなどの形で電子機器の「頭脳」として機能する一方、電子部品にはコンデンサやコネクタなど半導体以外の多様な部品も含まれます。 

電子部品とは?種類と役割

電子部品は、電子回路を構成する個々の要素の総称で、電子機器の機能を実現するための基礎となります。その種類は抵抗やコンデンサのような基本的な受動部品から、トランジスタやダイオードといった能動部品、さらにはICなどの複合部品まで非常に多岐にわたります。
 
また、電子部品には電気信号を制御・変換するものだけでなく、コネクタやスイッチのように電気的接続や遮断といった機械的な役割を担うものも含まれます。
 
部品それぞれの種類と役割を下表にまとめました。

種類

役割

受動部品

抵抗

炭素皮膜抵抗、金属皮膜抵抗、巻線抵抗、可変抵抗(ボリューム、トリマー)など

電流の流れを制限、電圧を分圧、熱エネルギーに変換

コンデンサ

セラミックコンデンサ、電解コンデンサ、フィルムコンデンサ、タンタルコンデンサ

電気エネルギーを蓄える、交流信号のみを通す(直流を遮断する)、ノイズを除去する、発振回路、フィルタ回路など

インダクタ

コイル、チョークコイル、トロイダルコイル

磁気エネルギーを蓄える、交流信号の流れを妨げる(直流は通しやすい)、ノイズを除去する、フィルタ回路、共振回路、チョークコイルなど

トランス

電源トランス、オーディオトランス、高周波トランス

交流電圧を昇圧・降圧する、電気的に絶縁する、インピーダンスを変換する

能動部品

ダイオード

整流ダイオード、ショットキーバリアダイオード、ツェナーダイオード、発光ダイオード(LED)、フォトダイオード

電流を一方向にのみ流す(整流作用)、交流を直流に変換する、逆電圧保護、論理回路、発光(LED)など

トランジスタ

バイポーラトランジスタ(BJT)、電界効果トランジスタ(FET)(MOSFET、JFET)

電流を増幅する、スイッチングを行う、論理回路を構成する

集積回路

マイクロコントローラ、メモリ(RAM、ROM)、ロジックIC(AND、OR)、オペアンプ、電源IC

複数の電子部品を一つのチップに集積したもので、論理演算、記憶、増幅、制御など様々な機能を持つ

接続部品

コネクタ

ピンヘッダ、ソケット、USBコネクタ、HDMIコネクタ、D-subコネクタ

電線やケーブル、基板などを電気的・機械的に接続する

スイッチ

スライドスイッチ、ロータリースイッチ、プッシュボタンスイッチ、タクティルスイッチ、リミットスイッチ

電気回路のオン・オフを切り替える

リレー

電磁リレー、ソリッドステートリレー(SSR)

電気信号によって機械的な接点をオン・オフする(主に大きな電流や電圧を制御するために使用される)


半導体とは?種類と役割

半導体は、電気を完全に通す導体と全く通さない絶縁体の中間的な性質を持つ特殊な物質です。シリコンやゲルマニウムなどの材料からなり、その特徴は温度や光、電圧などの条件によって電気の通しやすさを制御できる点にあります。
 
この性質を利用して、電子回路における電気信号の増幅、スイッチング、整流、記憶などの基本機能を実現しています。現代のデジタル機器には不可欠な存在で、特にトランジスタやICの形で情報処理や制御の中核を担っています。

種類

用途

個別半導体 (ディスクリート半導体)

ダイオード

一方向の電流制御、整流、光検出

トランジスタ

電流増幅、スイッチング

サイリスタ

大電力のON/OFF制御

パワー半導体

大電流・高電圧制御

光半導体

発光ダイオード

発光

レーザーダイオード

レーザー光の発生

フォトダイオード

光検出

センサー半導体

温度センサー

温度測定

光センサー

光検出

圧力センサー

圧力測定

加速度センサー

加速度測定

磁気センサー

磁力検出

集積回路

ロジックIC

論理演算

メモリIC

データ記憶

マイクロコントローラ

組み込み機器の制御

マイクロプロセッサ

コンピュータの演算処理

アナログIC

アナログ信号処理


これらの半導体デバイスが電子機器の「頭脳」となり、複雑な計算や制御を可能にすることで、現代の高度なデジタル社会を支える基盤となっています。

電子部品・半導体業界の特徴


電子部品・半導体業界は独特の産業構造を持っています。この業界では特定分野に強みを持つ企業が集まり、総合電子部品メーカーは存在せず、各社が独自の得意領域を持つため同一製品での競合が少ないのが特徴です。開発は主に国内で行われる一方、生産は海外でも実施され、販売はグローバル市場が対象となっています。
 
海外生産分を含む日系企業の生産額は、電子部品も半導体も共に2024年度は最高額となる見通しとなっていました。

出典:JEITA|電子情報産業の世界生産見通し
 
日本の代表的企業としては、村田製作所、TDK、ローム、アルプスアルパイン、日本電産、ルネサスエレクトロニクス、ソニーセミコンダクタソリューションズなどが挙げられます。各企業は自社で製造装置まで設計・開発し、技術やノウハウを蓄積して競争力を高めています。

電子部品・半導体業界の動向


半導体・電子部品業界は現在、多様なテクノロジートレンドに支えられた発展期にあります。半導体市場は自動車の電動化、情報機器の小型化・高機能化、5Gなどの通信インフラ進化、省エネルギー技術、そして生成AIの台頭により需要が急拡大しています。
 
特に生成AIやクラウドサービスの普及によるロジック半導体の重要性増大や、省エネ分野でのパワー半導体需要の高まりが顕著です。しかし半導体産業は技術革新のスピードが速く、巨額の設備投資が必要なため、需給バランスが崩れやすく「シリコンサイクル」と呼ばれる好不況の波を繰り返します。
 
かつて世界をリードした日本の半導体産業は、日米半導体協定やバブル崩壊後の経済停滞、アジア諸国の台頭により競争力が低下し、現在の世界市場シェアは8%程度にとどまっています。この状況を打開するため、日本政府は国内メーカーへの支援や海外企業の誘致を進め、2022年には「Rapidus」が設立されました。一方で電子部品分野では日本企業は依然として高い競争力を保持し、世界市場シェアの33%を占めています。

電子部品・半導体業界で働くのが向いている人の特徴

技術的好奇心と学習意欲がある

電子部品・半導体業界は技術革新のスピードが極めて速い分野です。新しい材料、製造プロセス、設計手法などが次々と生まれるため、常に最新の技術トレンドに関心を持ち、積極的に学び続ける姿勢が不可欠です。
 
業界の進化に遅れることなく、むしろ新技術に興奮を覚え、自ら知識を更新し続けられる人が活躍できます。 

論理的思考力と問題解決能力がある

半導体や電子部品の設計・開発・製造には、複雑な回路設計や製造プロセスにおける多変数の問題を解決する能力が求められます。
 
論理的に状況を分析し、システマティックに問題を切り分け、効率的な解決策を見出せる人が重宝されます。特に製造工程でのトラブルシューティングや新製品開発では、この能力が成功を左右します。

几帳面で細部まで注意を払える

ナノメートル単位の精度が要求される半導体製造では、わずかな誤差や汚染が製品不良につながります。品質管理や歩留まり向上のためには、細部への徹底的なこだわりと正確さが必要です。
 
手順を正確に守り、微細な変化にも気づける注意力と忍耐力を持った人が、この業界では高い評価を得られます。

プレッシャーへの耐性がある

半導体・電子部品業界は景気変動の影響を受けやすく、需給バランスの変化により業況が急変することがあります。
 
また、製品開発の納期プレッシャーや、24時間稼働する製造ラインの責任など、精神的ストレスも少なくありません。変化の激しい環境でも冷静さを保ち、プレッシャー下でもパフォーマンスを発揮できる精神力が、長く活躍するために重要です。
 

まとめ

電子部品と半導体は、現代のデジタル社会を支える基盤技術として、その重要性が日々高まっています。本記事では、両者の違いや特徴、業界動向について解説しました。
 
技術革新が早く、変化の激しいこの業界では、好奇心旺盛で論理的思考力を持ち、細部に注意を払える人材が求められています。今後も自動車の電動化やAI技術の発展により、電子部品・半導体の需要はさらに拡大していくことが予想されます。この成長産業で活躍するチャンスをぜひつかんでください。
 
半導体・電子部品の製造現場で、真に必要とされる技術と人材を提供する──それがワールドインテックのFC事業
です。設計から試作、量産、品質管理まで、一貫した対応力を強みに、国内外の大手メーカーから高い信頼を獲得。現場で培った実践力を活かし、製造業の未来を支える力強いパートナーとして活躍しています。製造技術のプロフェッショナルを目指すなら、ワールドインテックでその第一歩を踏み出してみませんか?

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