危険物取扱者資格取得のメリットは?資格を活かした仕事内容

危険物取扱者試験は、身近にあるさまざまな職種に求められる資格です。資格取得に興味はあるものの、どの程度役に立つのか、試験はどのくらいの難易度なのかについて知りたいと思っている人もいるでしょう。
ここでは、危険物取扱者試験とはどんな試験なのか、試験に合格することで実際にどんな職業に就けるのか、などについて解説します。これから資格取得を考えている方は参考にしてください。
危険物取扱者試験とは
危険物取扱者試験とは、消防法と定められた「危険物」を扱うときに必要な国家資格で す。
危険物取扱者免状には難しい順に、甲種、乙種、丙種の3種類があります。
扱える危険物 | 受験料 | |
---|---|---|
甲種 | すべての種類の危険物 | 7,200円 |
乙種 | 第1類 酸化性固体 第2塁 可燃性固体 第3類 自然発火性物質及び禁水性物質 第4類 引火性液体 第5類 自己反応性物質 第6類 酸化性液体 | 5,300円 |
丙種 | 引火性液体 | 4,200円 |
甲種
試験内容は五肢択一式で、試験時間は2時間30分です。
合格率は30%から40%の間を推移します。
危険物取扱者の中で最も試験範囲が広い上、受験資格に化学系の大学の卒業や、乙種の所持が求められるなど、ハードルの高い資格といえるでしょう。
勉強時間の目安としてもおよそ3か月と、しっかり勉強して準備することが求められます。
出題内容は以下の通りです。
・危険物に関する法令 15問
・物理学および化学 10問
・危険物の性質ならびにその火災予防および消火の方法 20問
試験日 | 受験場所 | 受験者数 | 合格基準 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
随時 | 各都道府県 | 22,835名 (2021年) | 試験科目ごとの成績が、それぞれ60%以上 | 39.6% (2021年) |
乙種
冒頭の表のうち、選択した種類の危険物のみを扱うことができます。
複数選択しての受験は可能ですが、1度に3つまでということ、既にどれか1つを持っていることが条件になります。
またその3種類の中に乙種第4類(以下乙四)が含まれてはいけません。
このような受験する順番の効率や、先に紹介した甲種への受験資格獲得を見据えて、身近な灯油を扱えたりガソリンスタンドなどで資格手当など実用的な資格であるため、乙四は乙種の中でも人気が高く、初めて挑戦する人にもおすすめの資格です。
試験内容は五肢択一式で、試験時間は2時間です。
・危険物に関する法令 15問
・基礎的な物理学および化学 10問
・危険物の性質ならびにその火災予防および消火の方法 10問
試験日 | 受験場所 | 受験者数 | 合格基準 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
随時 | 各都道府県 | 1類 11,168名 2類 10,385名 3類 13,056名 4類 234,481名 5類 12,977名 6類 13,370名 (いずれも2021年) | 試験科目ごとの成績が、それぞれ60%以上 | 1類 70.5% 2類 72.3% 3類 71.0% 4類 36.1% 5類 71.0% 6類 70.7% (いずれも2021年) |
丙種
丙種は乙四と同じ引火性液体を扱える資格ですが、扱える数が少なく監督業務ができないため、完全下位互換といえます。
乙四でないとできない業務や、資格手当も丙種だと出ないところもある一方で、丙種で十分な仕事の人が乙四を取るのはオーバースペックであるため、自分自身の状況に応じて受ける資格を選んでみてください。
ただ丙種は乙四に比べ、基礎的な問題で問題数も少ないため合格しやすい資格ではあるため、練習も兼ねて丙種から始めてみるのもいいかもしれませんね。
試験内容は五肢択一式で、試験時間は1時間15分です。
- 危険物に関する法令 10問
- 燃焼および消火に関する基礎知識 5問
- 危険物の性質ならびにその火災予防および消火の方法 10問
試験日 | 受験場所 | 受験者数 | 合格基準 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
随時 | 各都道府県 | 24,220名 (2021年) | 試験科目ごとの成績が、それぞれ60%以上 | 51.4% |
危険物取扱者を取得するメリット
合格率の高さ などから取得するメリットが低いといわれることもある危険物取扱者ですが、以下の実際的なメリットがあります。
- 選べる仕事の幅が広がる
- 選考の際に有利になる
選べる仕事の幅が広がる
危険物取扱者を取得する1つ目のメリットは、選べる仕事の幅が広がることです。
例えば、ガソリンスタンドの従業員として勤務する場合、シフトのどの枠にも必ず甲種または乙種4類の有資格者が在籍しなければなりません。そのため、甲種または乙種4類の危険物取扱者の資格を持っていれば、ガソリンスタンドで重宝されるため、仕事を見つけやすくなります。
選考の際に有利になる
危険物取扱者資格を取得する2つ目のメリットは、選考の際に有利になることです。
危険物を扱う職場はガソリンスタンドだけではありません。工場などの現場責任の監督者などもあります。それらの職場はどこも「危険物保安監督者」の選任が求められます。いくら同業種での経験が豊かでも、危険物取扱者の甲種、乙種がなければその立場に就くことはできないのです。そのため、資格があるかないかは選考されるかどうかの分かれ目になるでしょう。
危険物取扱者の資格が活かせる職業
危険物取扱者の資格が活かせる職業として、以下のようなものがあります。
- ガソリンスタンドスタッフ
- タンクローリードライバー
- 工場など現場の監督者
- 消防士
ガソリンスタンドスタッフ
ガソリンスタンドは、消防法上の「給油取扱所」であり、危険物取扱者の設置が義務付けられています。甲種や乙種4類の資格を保有していれば、監督者として無資格の従業員を管理したり、セルフスタンドで顧客を管理し、給油の許可を与えたりすることが可能です。
タンクローリードライバー
タンクローリードライバーは、消防法上の「移動タンク貯蔵所」であり、乗車するには危険物取扱者でなければなりません。甲種、乙種4類、丙種いずれかの有資格であることが必要です。
工場など現場の監督者
工場で製造する製品によっては、現場の監督者に危険物取扱者であることが義務付けられます。例えば、化粧品によっては原料にオイルやアルコールを使用します。製薬会社では、試薬や試液に危険物が含まれる場合がありますし、食品加工場でも植物性、動物性の油を使用することがあります。その場合も有資格者による監督が求められます。
消防士
消防士になるために危険物取扱者の資格が必須というわけではありませんが、有資格者であれば携われる業務の幅が広がります。例えば、火災がガソリンなどの可燃物によって引き起こされている場合は、現場に赴いて消火活動を行う上で有利といえるでしょう。
まとめ
危険物取扱者は合格率が低く 、決して簡単に取得できるわけではありません。しかし、資格取得のために学んだ知識は業務に生かせますし、実際に資格を持っていることで多くのメリットがあります。興味のある方は目指してみてはいかがでしょうか?