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CADオペレーターとは?仕事内容や将来性、どんな職種で活躍できるのか解説

「CADオペレーターは将来性があるの?」
「10年後CADオペレーターがなくなるって本当?」

このような疑問をお持ちではないでしょうか。

結論、CADオペレーターの仕事自体はなくなりませんが、従来の図面設計だけしかできない人材の需要は減っていきます。今後CADオペレーターとして活躍するためには、高い専門性が必要です。

本記事では、CADオペレーターの現状から、将来生き残れる人材になるためのポイントを解説します。

今後CADオペレーターとして活躍したいとお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

CADオペレーターとは


CADオペレーターとは、設計者やエンジニアの指示にもとづき、CADソフトを活用して建築物や製品などの設計図を作成、修正したり、データ管理を行ったりする専門職です。

現場のアイデアやスケッチを正確な図面・デジタルデータに仕上げるのが仕事で、ものづくりや建築の現場を支える重要な役割を担っています。

CADオペレーターの仕事内容


CADオペレーターの仕事内容は、下記が中心です。

  • 設計者から要件定義書や仕様書を受け取り、CADソフトで2D・3Dの図面を作成
  • 既存図面の修正や、仕様変更への対応
  • 作成した図面データの整理・管理、関連ファイルのバックアップや共有​
  • 関係部署や設計者との打ち合わせ、仕様の確認​
  • 図面の印刷や資料作成、作業報告など


ものづくりの土台となる設計図に関わる仕事のため、正確さと効率性が求められます。

CADオペレーターが活躍できる職種


CADオペレーターが活躍できる業界は、主に以下のとおりです。

  • 建築・建設業界
  • 土木業界
  • 機械・製造業界
  • インテリア・デザイン業界


それぞれの業界で、どのように活躍できるのかを解説します。

建築・建設業界

建築・建設業界のCADオペレーターは、住宅やビル、商業施設などの新築・改修に関わります。意匠・構造・設備などの専門領域ごとに、多様な図面を作成するのが特徴です。​

  • 意匠:建物の間取り・外観・内観・仕上げなど、デザインに関する図面を作成する
  • 構造:柱や梁(はり)・基礎などの耐震性や安全性に関わる部材配置、寸法・材質を記載した図面を作成する
  • 設備:給排水や空調、電気配線などの設備のルートと機器配置を示す図面を作成する


建築・建設業界で働くCADオペレーターは、主に以下の職種に分けられます。

職種

主な仕事内容

建築CADオペレーター

住宅、ビル、商業施設などの意匠図(間取り、外観など)や構造図の作成・修正。建築家や設計士の指示を正確に図面に反映

設備CADオペレーター

建物に組み込まれる機械設備(空調、換気など)や電気設備(配線、照明など)の図面作成・修正


どの職種も、建築現場の円滑な進行や安全性確保に欠かせないため、責任感を持って仕事にあたりましょう。

土木業界

土木業界は、インフラ整備や大規模な公共事業など、社会インフラの基盤を支える重要な役割を担っています。​

土木業界で働くCADオペレーターは「土木CADオペレーター」と呼ばれ、以下の仕事を中心に行います。

職種

主な仕事内容

土木CADオペレーター

道路、橋梁、ダム、トンネル、上下水道などの構造図や施工図の作成・修正。地形や地盤の情報を考慮に入れた図面を作成


図面作成は、現地調査の結果や構造計算の結果をもとに、安全性と効率性、社会的要請や環境に配慮しながら設計を進めなければなりません。

また設計図は、施工会社の工事計画や行政機関への許可申請、竣工後の維持管理などでも活用されるため、正確性やわかりやすさが求められます。

機械・製造業界

機械・製造業界のCADオペレーターは、自動車や家電、精密機器、ロボット、産業用機械などの設計を担当します。

職種

主な仕事内容

機械CADオペレーター

自動車、航空機、産業機械、電子機器などの部品図や組立図の作成・修正。2次元CADだけでなく、立体的な設計を行う3次元CAD(3Dモデリング)のスキルが特に求められる


図面は、製品開発や製造、品質管理など、ものづくりに関わる全ての工程の起点です。そのためCADオペレーターの作成した図面は、ものづくりの精度や効率を大きく左右します。​

近年は、3次元CADを使った立体設計やシミュレーションによる事前検証、データを活用したデジタル製造(CNC機や3Dプリンター)への連携も進んでおり、より高度なスキルが求められる職種です。

インテリア・デザイン業界

インテリア・デザイン業界のCADオペレーターは、インテリアデザイン事務所や家具メーカーなどで、空間デザインや内装、家具の設計図を作成します。またクライアントとの打ち合わせにも同席する場合があります。

職種

主な仕事内容

インテリアCADオペレーター

オフィスや店舗の内装、家具の配置図、照明計画図の作成・修正。デザイナーのイメージを具体的な図面に落とし込む


インテリア、デザインは居住空間を大きく左右するため、デザインの美しさはもちろん、快適に暮らせる機能性も大切です。

インテリアCADオペレーターは、CADソフトなどの技術的スキルだけでなく、審美的なセンスも求められます。

CADオペレーターの現状


CADオペレーターは、技術進化と業界の変化によって、役割が大きく変わりつつあります。

具体的にどのように変化しているのかを見ていきましょう。

需要は高いが求められるスキルが高度化

CADオペレーターの需要は高いですが、求められるスキルも高度化しています。 

特に「図面のトレース」や「簡単な修正作業」などの定型業務は、AIやRPAを中心とした自動化ツールに代替えされつつあります。

したがって今後CADオペレーターに必要なのは「専門的な設計力」「問題解決力」「AIシステムへの的確な指示・評価能力」「他者とのコミュニケーション能力」など、人間にしかできない部分のスキルです。

また近年は3次元CADが普及しているため、ソフト操作力や設計知識など、より複雑で高度なスキルの習得も求められています。

今後CADオペレーターには、AIや自動化ツールにはない「創造力」や「高度な判断力」が求められるため、対応できるスキルを身につけるのが重要です。

3DCADとBIM/CIMへの移行

近年CADソフトは従来の2D図面中心の設計から、3DCADやBIM/CIMを活用した立体的な設計に移行しています。​特に建築・土木、製造業界では3次元モデリングが標準化されており、設計の初期段階から構造や空間を立体的に再現できる3DCADの採用が増えているのが特徴です。

またBIM(建築分野)やCIM(土木分野)では、3Dモデルの属性情報をもたせて、設計・施工・維持管理を一体で行う新しい仕組みを取り入れています。

国土交通省が、2029年春にBIMデータによる確認申請を開始すると発表している点も、CADオペレーターの環境を大きく変化させている一因です。

3D化やBIM/CIMの導入によって、設計変更や干渉チェック、工程管理、数量算出などが大幅に効率化され、ペーパーレス化や現場の遠隔管理もしやすくなります。

CADオペレーターに求められる役割は、従来の設計者からデータ管理や高度な空間設計の専門人材に変わっていくでしょう。

働き方の多様化と課題

CADオペレーターは正社員だけでなく、派遣やパート、フリーランスなど、さまざまな働き方が存在します。

ライフスタイルに合わせて柔軟な働き方ができるようになった一方、まだまだ課題も残されているのが現状です。

特に課題として挙げられるのが、プロジェクト優先による残業や休日出勤でしょう。CADオペレーターが関わる多くのプロジェクトには納期が設定されており、遅れないように作業を進めなければなりません。

しかし納期直前で、クライアントや設計者から修正依頼や仕様変更などが入ると、間に合わせるために残業や休日出勤をして対応せざるを得ない場合もあります。

長時間労働によるストレスや体調管理の難しさなどは、CADオペレーターのデメリットとして挙げる人も多いです。

また専門性の高さや大変さの割に、年収が低い点も課題として挙げられます。厚生労働省のデータによるとCADオペレーターの年収は453.8万で、日本の平均年収である461万よりも低い水準です。

年収は業界や経験、スキルによって大きく変わるため、収入を上げたいなら3DCADやBIMに対応できるスキルを身につけましょう。

参考:厚生労働省「jobtag」
参考:国税庁

CADオペレーターは10年後になくなるの?将来性について


CADオペレーターは、技術革新や業界の変化によって「単純作業の自動化」と「役割の高度化」が同時に進む時代へと移行しています。AIや自動化ツールの発展によって、従来のトレースや図面の修正などの定型作業は自動化が進み、今後需要は減少していくでしょう。​

しかしCADオペレーターの仕事が完全になくなるとは、考えにくいです。設計者の意図やクライアントの要望を正確に読み取って図面に反映させるコミュニケーション力や、イレギュラーへの柔軟な対応力などは、AIにはない人間ならではの価値として、今後も求められます。

今後CADオペレーターとして働いていくなら「従来型のCADオペレーター」ではなく「進化型CADオペレーター」になる必要があります。

では具体的に、どのようなスキルを持つ人が「進化型CADオペレーター」になれるのかを見ていきましょう。

ソフトウェアの進化により3D・BIM/CIMのプロフェッショナルへ

今後は製造業では3DCAD、建築や土木分野ではBIM/CIMが標準化され、業界のデジタル化が加速します。特にBIM/CIMは、コスト・資材・工程などのプロジェクト関連情報を一元化できるデータベースの役割も担っており、業界に欠かせないツールになるでしょう。

そのためBIM/CIMを操作できるCADオペレーターは、設計から施工・維持管理までを一貫して担当できる「情報マネジメントの専門職」として重宝されます。

3DやBIM/CIMのプロフェッショナルとしてのスキルや経験を持つCADオペレーターは、まだまだ少ないです。したがって今からスキルを身につければ「価値の高いCADオペレーター」として、活躍の幅が広がります。

自動化された作業を「監視・修正」する役割へ

AIの普及によって、図面の自動生成などが可能になりました。しかしAIは、設計者の意図や法的ルール、現場の仕様を完璧に反映するのはまだまだ難しいため、最終的に人がチェックをかける必要があります。

したがって今後CADオペレーターは、AIが生成した図面などが設計要件や法的条件を満たしているかをチェックし、必要に応じて調整を加える「監視・修正」の役割を担っていくでしょう。

またAIでは対応できないクライアントの細かな要望や、現場特有の複雑な制約条件などに合わせた提案や判断も、CADオペレーターに求められる領域です。

設計補助から「専門領域」を持つ人材へ

今後のCADオペレーターは、設計補助や図面作成だけでなく、携わる業界に関する専門知識を身につける必要があります。

設計者の意図を理解したうえで設計改善や提案ができる人材は、より高品質なものづくりに貢献できるため、CADオペレーターとして活躍できるでしょう。

また専門知識があれば、プロジェクト全体のデジタルデータを管理する設計マネージャーや、BIMオペレーターなどのキャリアパスも開けます。

現場で活躍できるCADオペレーターになるのはもちろん、将来の選択肢を広げるためにも、関わる業界に関する専門知識は身につけておくのがおすすめです。

CADとプログラミングはどっちがいい?双方のメリット・デメリット


CADオペレーションとプログラミングは、どちらもITスキルを活かせる専門職ですが、目的やアプローチ、キャリアパスが異なります。

比較項目

CADオペレーション(CADオペレーター)

プログラミング(プログラマー・エンジニア)

主な目的

設計者のアイデアを基に、製品や建物の「形」を正確な図面やモデルとして具現化する

顧客やシステムの要望を基に、コンピュータの「動作」や「機能」を実現するプログラムを開発する

必要なスキル

・CADソフト操作スキル

・製図・設計に関する知識

・空間認識力

・正確性、細かい作業への集中力

・プログラミング言語(Java, Python, JavaScriptなど)

・論理的思考力、問題解決能力

・新しい技術への適応力

活躍分野

建築、土木、製造(自動車、家電)、インテリア、アパレルなど、ものづくりの実物に関わる分野

Web、アプリ開発、AI、システム開発、ゲーム、金融、組み込みシステムなど、あらゆるIT・デジタル分野

未経験からの難易度

比較的低い

ソフト操作と基本的な製図ルールから始められ、未経験者歓迎の求人も多い

比較的高い

基礎的な概念の理解に時間がかかり、最初の壁が高いと感じる人が多い


設計現場で活躍したいならCAD、幅広い業界や将来性を求めるならプログラミングがおすすめです。
CADスキルに加えて、プログラミング言語(Pythonなど)を習得し、CADのカスタムツールを自作するなどのITスキルを掛け合わせると、市場価値をさらに高められるでしょう。

まとめ

CADオペレーターは、AIや自動化によって単純作業の需要が減少する一方「専門性の高い設計力」「複雑な変更にも対応できるコミュニケーション力」など、人間にしかできない能力が重視されています。

特に3DCADやBIM/CIMのスキルは今後ますます重要になり、情報管理やプロジェクト全体のデータ統括も担える進化型CADオペレーターの需要が高まるでしょう。

従来型のCAD関連技術だけでなく、新技術の習得と専門分野の知識を深められる人が、今後CADオペレーターとして活躍できます。

ワールドインテックのテクノ事業部では、ものづくりのデジタル化に携わりながら、IoTやAIなどの最先端領域のDX推進にも積極的に取り組んでいます。多くの多様な業界の技術が身につけられるため、CADオペレーターとしてのキャリアを積みたい方には適した環境です。

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