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火薬類取扱保安責任者になると何ができる?資格の取得方法や勉強法も解説

火薬類取扱保安責任者は火薬類を扱う現場には欠かせない資格であるため、就職や転職・キャリアアップに大いに役立たせることが可能です。

しかし、この資格の取得を検討している方の中には、「火薬類取扱保安責任者の資格を取得することで何ができるのか分からない」、「受験資格や勉強方法が分からず困っている」といった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、火薬類取扱保安責任者とはどのような資格なのか、受験概要や受験対策などについても詳しく解説します。火薬類取扱保安責任者の資格取得を検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

火薬類取扱保安責任者とは? 

火薬類取扱保安責任者とは、火薬類を安全に取り扱えるように適切な製造や管理、監視などを行う専門家のこと。火薬類に関する専門的な知識や技術を保有していることを証明できる国家資格の1つです。

火薬は非常に威力が強く、爆発によって強大な力を発揮するため、少しでも誤った扱いをしてしまうと大きな災害や事故につながる危険性が高く、細心の注意を払わなければなりません。そのため、火薬類を保管・使用する際は、法律で「火薬類取扱保安責任者の資格保有者を配置する」ように定められています。

ちなみに、火薬類は工事現場や花火大会、映画の撮影など、様々な職種で使用されているため、資格を取得することによって幅広い現場で活躍できるでしょう。

火薬類取扱保安責任者になると何ができるのか

火薬類取扱保安責任者の資格を保有した場合、主に火薬類を扱う際に監視・管理をする仕事に就くことができます。

具体的には、以下のような現場での就業が可能です。

  • 建設工事現場
  • 鉱物資材の発掘現場での発破作業
  • 花火師
  • 特殊効果スタッフ
  • 鉄工所 など


火薬の取り扱いが必要な現場では、火薬類取扱保安責任者の資格保有者がいないと、火薬を使用した作業自体を行うことができません。火薬類取扱保安責任者がいることで、火薬類を使用することができるため、この資格があれば幅広い現場で活躍できます。

ちなみに、発掘現場などでの発破作業は、発破技師だけでも行うことができますが、火薬の保管・管理を行う際は火薬類取扱保安責任者の存在が不可欠です。そのため、発破作業の現場でも、火薬類取扱保安責任者の資格が大いに役立つことを覚えておいてください。

火薬類取扱保安責任者の資格が生かせる職業

火薬類取扱保安責任者の資格は幅広い業種で生かすことができます。

具体的には、以下の職業で火薬類に関する専門知識や技術が求められているため、資格を生かすことが可能です。

  • 建設土木業界
  • トンネル工事
  • 砕石
  • 採石場
  • 鉄工所
  • 花火工場
  • 鉄工所
  • 火薬の製造工場
  • 警察
  • 消防 など


火薬類取扱保安責任者は、専門性の高い資格のため、簡単に取得できるわけではありません。しかし、上記の職業を見ても分かる通り、専門性の高さから仕事の幅が広がり、様々な現場で重宝されている資格と言ってよいでしょう。

そのため、転職や就職、スキルアップなどにおいて有利に働くことが期待されます。


火薬類保安責任者の資格は2種類ある 


「火薬類取扱保安責任者」は、大きく以下の2種類に分けられます。

  • 火薬類製造保安責任者
  • 火薬類取扱保安責任者


火薬類取扱保安責任者は上記の2つに分類され、さらにそこから細かい種類に分けられます。

ここでは、火薬類取扱保安責任者の種類を解説していくので、受験する資格を決める際の参考にしてみてください。

火薬類製造保安責任者 

火薬類製造保安責任者の資格は、甲種、乙種、丙種の3つに区分されます。

まずは、それぞれの違いについて、下記の表にまとめたので確認してください。

資格の種類

使用できる火薬の種類・量

その他の制限

甲種

・火薬及び爆薬:1日1トン以上 ・硝安油剤爆薬:1日7トン以上 ・起爆剤:1日50キロ以上

変形及び修理においては、

・火薬、爆発及び火工品:1日1トン以上

乙種

・火薬及び爆薬:1日1トン未満 ・硝安油剤爆薬:1日7トン未満 ・起爆剤:1日50キロ未満

・火工品、信号えん管、信号火せん及び煙火:1日300キロ以上

変形及び修理においては、

・火薬、爆薬及び火工品:1日1トン未満

丙種

・信号えん管、信号火せん及び煙火:1日300キロ未満

変形および修理においては、

・信号えん管、信号火せん、煙火に制限あり

上記の表から分かる通り、火薬類製造保安責任者は、それぞれ扱える火薬類の種類、量に違いがあります。

例えば、甲種は1日1トン以上の火薬や爆薬を使用できますが、乙種は1日1トン未満しか使用することができません。また丙種は、甲種、乙種と比べ、より取り扱える火薬類や種類が制限されています。

火薬類製造保安責任者の資格を大いに生かしたいと考える方は、甲種を取得することで、仕事の幅を広げることが期待できるでしょう。


火薬類取扱保安責任者 

火薬類取扱保安責任者は甲種と乙種に区分されています。

まずは下記の表をチェックしてください。

資格の種類

貯蔵できる火薬量

消費できる火薬量

甲種

火薬庫の貯蔵合計:年20トン以上

・火薬または爆薬:月1トン以上

乙種

火薬庫の貯蔵合計:年20トン未満

・火薬または爆薬:月25キロ以上1トン未満

・無添加可塑(かそ)性爆薬:月1トン未満

火薬類取扱保安責任者の甲種と乙種は、消費できる火薬量と貯蔵できる火薬量に違いがあります。

上記の表の通り、甲種の方が乙種に比べて多くの火薬を貯蔵・消費できる資格になっているため、より多くの火薬類を取り扱いたい方は甲種を選ぶとよいでしょう。


火薬類取扱保安責任者の資格を取るには


火薬類取扱保安責任者は、年1回実施される試験に合格すれば、その資格を取得することができます。

火薬類取扱保安責任者には免除条件などが設けられているため、事前にこれらを把握し、、円滑に受験の準備を進めることが重要です。

ここでは、火薬類取扱保安責任者の試験概要について詳しく解説しますので、受験を検討中の方は参考にしてみてください。

火薬類取扱保安責任者の受験資格

火薬類取扱保安責任者の試験には、特に受験資格は設けられておらず、誰でも受験できます。

ただし、18歳未満の場合は、試験で合格ラインに達していても免状交付に制限があるため、資格を取得することはできません。火薬類取扱保安責任者は18歳以上で取得できる資格です。

火薬類取扱保安責任者の試験内容

試験は、4つの選択肢の中から答えを選ぶマークシート方式で出題されます。

試験では、主に2つの内容に焦点が当てられており、まず1つ目は「火薬類取扱に関する法令の問題」です。正しく条文を理解しているかが試される問題が多く、一つひとつの条文を正しく暗記する必要があります。

2つ目は「火薬学についての問題」です。火薬学の問題では、火薬に関する知識問題に加え、計算を含んだ問題も出題されるため、いずれにも対応できるように対策を講じる必要があります。

ちなみに、火薬類取扱保安責任者の試験は、60点以上が合格ラインです。問題の点数配分などを把握し、効率よく対策を講じる必要があります。


火薬類取扱保安責任者試験の免除条件 

以下の表に記載された受験者区分に該当している方は、申請をすることで「免除」と記載されている科目が免除されます。

受験者の区分

火薬類取締に関する法令

一般火薬額

甲種・乙種火薬類製造保安責任者免状を有する者 (第76条第1号)

免除

免除

大学の工業化学に関する学科において火薬学を専修して卒業した者 (第76条第2号)

免除

大学、高等専門学校、高校もしくは専修学校を卒業し、火薬学を修得した者 (第76条第3号)

免除

鉱山保安規則に定める火薬係員試験に合格した者 (第76条第4号)

免除

以上に該当しない者 (第76条第5号)

免除

参考:令和 5 年度 甲種・乙種火薬類取扱保安責任者及び丙種火薬類製造保安責任者試験案内(抜粋)

例えば、大学在学中、工業化学に関する学科で「火薬学」を専修して卒業した方は、試験の際に「一般火薬学」の学科が免除されます。

また、「火薬類製造保安責任者(甲種・乙種)」の資格保有者は、試験自体が免除されます。

このように、定められた条件に該当している場合、一部またはすべての科目が免除されるため、事前に自身が免除対象者かどうか確認しておくことが重要です。


火薬類取扱保安責任者になるための勉強法 


火薬類取扱保安責任者に合格するための勉強法として、以下の3つがおすすめです。

  • 参考書を読む
  • 知識と計算問題それぞれの対策をする
  • 過去問を解く


以下で詳しく解説していきますので、勉強法に悩んでいる方や効率良く勉強したい方は参考にしてみてください。

参考書を読む

受験対策として、まず火薬類取扱保安責任者の参考書を読むのがおすすめです。試験対策の参考書の中には、火薬学に特化しているものや試験問題も含まれたものもあるため、しっかりと基礎知識を学ぶことができます。

また、何度も試験問題を学習ことで、自身の理解度を深め、習得できていない科目を何度も繰り返し勉強することが可能です。

火薬類取扱保安責任者の試験は、年に1回しか実施されないため、参考書をフルに活用して効率的に勉強してみてください。

ちなみに、参考書を活用して勉強をする際は、以下の2つの参考書がおすすめです。

参考書タイトル

特徴

完全解説! 火薬類取扱保安責任者試験

・著者は火薬学の専門家

・全187ページ

・一般火薬学と火薬類取締に関する法令の2編構成

・出題されやすい要点が分かりやすくまとめられている

・法令の要点と出題が濃厚な問題が記載されている

火薬工学

・全146ページ

・著者は火薬工学・同系分野に長く取り組んできた専門家

・火薬学の定義や分類、性能特性やダイナマイトなど様々な内容が記述されている

・章末に演習問題がついている

上記二つの参考書は、模擬問題や過去問題が収録されているため、自己学習に適した参考書です。

参考書を有効活用して試験対策を講じることで、基礎問題応用問題も含め、試験に必要な知識を習得することが期待できるため、積極的に活用してください。

知識と計算問題それぞれの対策をする

火薬類取扱保安責任者の試験は、2種類の試験で構成されています。それぞれの試験で合格点に達しなければならないため、両方の試験対策を講じることが必要です。

知識問題では、火薬類取扱に関する法令や基礎的な知識などが問われるため、火薬に関する幅広い知識を正確に身につける必要があります。

一方、計算問題は、公式を頭に入れておけば解けるケースがほとんどで、日ごろから繰り返し練習しておくことが、合格点を獲得するポイントです。

両方の試験対策をバランスよく講じることで、試験に合格しやすくなるため、しっかりと対応できるように準備しておきましょう。

過去問を解く

試験勉強をするうえで、過去問を解くことは非常に有効な対策の1つです。実際の試験形式で問題を解いてみることで、試験に対するイメージがわきやすく、受験の緊張感を和らげることができます。また、問題の傾向を理解することも可能です。

火薬類取扱保安責任者の試験は、過去問から出題されることも多いため、過去問を繰り返し解くことで、問題の傾向や対策、理解度を深めることができます。

過去問は解説を含む問題集として一般的に販売されているため、ぜひ活用してみてください。


火薬類取扱保安責任者に向いている人 


受験を検討している方の中には、「どのようなタイプの人が火薬類取扱保安責任者に向いているのだろうか?」と疑問を抱いている方もいるのではないでしょうか。中には、「自分は向いていないのでは?」などと不安を感じている方もいるかもしれません。

ここでは、どのような方が火薬類取扱保安責任者に適しているのか解説しますので、参考にしてみてください。

使命感がある人

火薬類取扱保安責任者は、「使命感がある人」に向いている資格です。

火薬はその性質上、少しでも取り扱いを誤ってしまうと、命にかかわる重大事故につながりかねない危険物で、取り扱いに際しては高いリスクが伴います。

そのため、火薬類取扱保安責任者は常にリスク回避を最優先に、生命と安全を守るという強い使命感を持つことができる方に適している資格と言えるでしょう。

しっかり危機管理できる人

火薬類取扱保安責任者はその名の通り、「火薬類の取り扱いに関する責任を負う立場の人」です。

火薬類は取り扱いを誤ると重大な事態を招く危険性があります。そのため、火薬類取扱保安責任者は常に危機管理能力を発揮しながら、災害や大事故に発展しないよう、徹底的に万全の安全対策を講じなければなりません。

その意味でも、火薬類取扱保安責任者は「しっかり危機管理ができる方」に向いています。

管理・監督することに自信がある人

管理や監督をすることに自信がある方も、火薬類取扱保安責任者に向いているでしょう。火薬類取扱保安責任者は、火薬を取り扱う現場の管理や監督を担当することがあるためです。

火薬類取扱保安責任者は、マネジメント能力に自信がある方や、的確に指示を出し、統率することができる方に向いている職業です。そうした方は、やりがいと責任感を持ってこの仕事をすることができるでしょう。


まとめ


火薬類取扱保安責任者の資格を取得することで、火薬を取り扱う幅広い現場で管理や監督業務を担当することができます。様々な職場で火薬を取り扱っているため、この資格を取得すれば転職や就職、キャリアアップなどに生かすことができるでしょう。

ただし、一口に火薬類取扱保安責任者と言っても複数の種類と区分に分類されるため、事前にどの種類の試験を受験するのかを決めておくことが必要です。

本記事でご紹介した火薬類取扱保安責任者に関する試験概要や勉強法を参考に、ぜひ受験を検討してみてください。


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