看護師から治験コーディネーター(CRC)へ転職したい人必見!メリットや注意点

「看護師から治験コーディネーターになれる?」
「治験コーディネーターに転職するメリット・デメリットを知りたい」
このような疑問、考えをお持ちの方もいるのではないでしょうか。
結論、看護師から治験コーディネーターへの転職は可能です。医療の知識や患者とのコミュニケーション能力といったスキルを活かせるため、看護師経験は転職において有利に働きます。
本記事では看護師から治験コーディネーターへの転職について、詳しく解説します。
看護師から治験コーディネーター(CRC)への転職は可能
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看護師から治験コーディネーターへの転職は、十分可能です。医療の知識や患者とのコミュニケーション能力といったスキルを活かせるため、看護師経験は転職において有利に働きます。
看護師の多くは、医療の最前線で実務経験を積んでいます。 医学的な知識や現場の感覚がある点は、業務を円滑に進めるうえで大きなアドバンテージです。未経験者よりも教育コストがかからず「即戦力」として活躍できるため、看護師経験者は企業側から高く評価されています。
日本SMO協会が公表した「日本SMO協会データ2023」によると、治験コーディネーターとして働いている人の約3割が、看護師資格を保有しています。
多くの先輩たちが看護師経験を武器に、治験コーディネーターとして活躍しているため、自信を持って転職活動に挑戦してください。
治験コーディネーター(CRC)の仕事内容
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治験コーディネーターの業務は、患者と直接関わる「対人業務」と、データを整理する「事務・管理業務」の2つに分けられます。具体的な仕事内容は、以下のとおりです。
業務 | 具体的な仕事内容 |
|---|---|
被験者選定(スクリーニング) | ・条件に基づく患者選定 ・電子カルテ、検査結果の確認 |
インフォームド・コンセント補助 | ・医師説明の同席 ・患者への補足説明 ・同意書、手続きのサポート |
治験スケジュール管理・来院対応 | ・来院日の調整 ・検査予約、院内案内 ・診察、検査同行、問診票のサポート |
服薬指導・健康確認 | ・治験薬の使い方指導 ・飲み忘れのチェック ・副作用のチェック ・服薬日誌のチェック |
症例報告書作成支援(CRF) | ・データ入力補助 ・原資料と報告データの整合性確認 |
モニタリング対応・事務連絡 | ・進捗報告 ・書類整理、保管 ・医師や製薬会社担当者との連絡調整 |
看護師から治験コーディネーター(CRC)へ転職するメリット
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看護師から治験コーディネーターへ転職するメリットは、以下の5つです。
- 土日休みで家族や友人との予定を合わせやすい
- 事務仕事がメインなので体力的負担を軽減できる
- 医療行為によるプレッシャーや責任がない
- さまざまな病気や薬の知識を吸収できる
- より多くの患者の健康を守れる
看護師として働く中で、不規則な勤務体制や、命を預かる重圧に疲れを感じてしまう人もいるでしょう。
治験コーディネーターへの転職は、上記の悩みを解消しライフスタイルや仕事への向き合い方を大きく変えるきっかけになります。
土日休みで家族や友人との予定を合わせやすい
看護師として働いているものの、シフト制による休みの不規則さに悩んでいる人もいるでしょう。
治験コーディネーターが所属するSMO(治験施設支援機関)の多くは、一般企業と同様カレンダーに沿った勤務です。提携先のクリニックも日曜祝日は休診の場合がほとんどのため、治験コーディネーターは基本的に土日祝日が休みになります。
土日祝日に固定で休みが取れるようになれば、子どもの学校行事に参加しやすくなったり、友人と旅行の計画を立てやすくなったりと、プライベートの充実度が上がります。
特に結婚や出産などを予定している人は、ライフステージの変化を機に今の自分に合った働き方へシフトしてみてはいかがでしょうか。
事務仕事がメインなので体力的負担を軽減できる
治験コーディネーターの仕事は、パソコンを使った報告書の作成やデータ入力、メール対応など、デスクワークが中心です。そのため看護師のように一日中病棟を歩き回ったり、患者の介助で腰を痛めたりといった肉体的な労働はほとんど発生しません。
また夜勤や当直もほぼないため、規則正しい生活を送れます。
「体力的に、今の働き方を定年まで続けるのは厳しい」と感じている方にとって、身体への負担が少なく、年齢を重ねても無理なく働き続けられる治験コーディネーターは魅力といえます。
医療行為によるプレッシャーや責任がない
治験コーディネーターは、法律によって医療行為が禁じられています。
採血や点滴、投薬といった処置は医師や看護師が行うため、治験コーディネーターが直接患者に医療行為をする機会はありません。(ただし病院直属の治験コーディネーターで資格があり、医師から許可が出た場合などは、医療行為が可能な場合があります。)
「自分のミスで患者の命を危険にさらしてしまうかもしれない」というプレッシャーや責任が生じない点は、大きなメリットでしょう。
とはいえ治験コーディネーターも医療に関わる仕事のため、責任感を持って業務に当たる姿勢は求められます。
さまざまな病気や薬の知識を吸収できる
治験コーディネーターは、担当する治験によって必要な知識が異なります。 そのためさまざまな病気や薬の知識を吸収できる点がメリットです。
看護師時代とは異なる知識が求められる環境に、最初は難しいと感じる方もいるでしょう。しかし乗り越えた先には、臨床と治験の両方のスキルが身についており、キャリアの選択肢も大きく広がります。
また治験コーディネーターは、医師や看護師だけでなく製薬会社の担当者とも頻繁にやり取りを行うため、医療をビジネス視点から見られるようになります。
治験コーディネーターは、看護師時代よりも広い視野で医療を捉えられ、たくさんの知識をインプットできる仕事です。
より多くの患者の健康を守れる
治験コーディネーターは、未来の何万人もの患者を救える仕事です。
自分が携わった治験薬が無事に承認され、世の中に流通すれば、まだ有効な治療法がなく苦しんでいる世界中の患者の命を救えます。
看護師のように直接患者に関わる機会は少ないため、感謝されることは減るかもしれません。しかし目の前の一人だけでなく、より多くの人々の健康を支えられる社会貢献性の高さは、治験コーディネーターならではの魅力です。
看護師から治験コーディネーター(CRC)へ転職する際の注意点
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土日休みや体力的、精神的な負担の少なさなどが治験コーディネーターのメリットですが、転職後に「こんなはずじゃなかった」と後悔する方もいます。
後悔のない転職活動にするために、下記の3つの注意点について理解しておきましょう。
- 看護師に復職する場合はブランクができてしまう
- 事務作業など慣れない作業が多い
- 出張や移動の負担がかかる
看護師に復職する場合はブランクができてしまう
治験コーディネーターは、採血や点滴、投薬といった医療行為は原則できません。
針を刺したり血圧を測ったりなどの技術的なスキルは、日々の業務で維持されるため、数年単位で現場を長く離れると感覚が鈍ってしまう可能性があります。
将来的に看護師に復帰する場合、ブランクにより復職時に再トレーニングが必要になったり即戦力としての採用が難しくなったりするリスクは、認識しておきましょう。
事務作業など慣れない作業が多い
治験コーディネーターの仕事の大半は、パソコンを使った事務作業です。
看護師時代には触れてこなかったWordやExcelを使った書類作成、ビジネスメールのやり取り、PowerPointでのプレゼン資料作成など、一般企業レベルのパソコンスキルを求められるため、習得に苦労する可能性があります。
パソコンの操作に苦手意識がある場合は、治験コーディネーターになる前に基礎的なスキルを身につけておきましょう。
また長時間パソコンとにらめっこをしながら、細かい数字の入力やチェック作業をしなければならないため、慢性的な目の疲れや肩こりに悩まされる人もいます。
出張や移動の負担がかかる
看護師は、基本的に出勤から退勤まで病棟内で過ごします。一方治験コーディネーターの勤務先は、所属先のオフィスではなく、担当の医療機関(クリニックや病院)です。
一人で複数の医療機関を担当するケースがほとんどのため、午前と午後で別の施設へ移動するといった動きが基本です。大量の治験薬や資料を持ちながらの電車移動は、大変と感じることもあります。
また担当エリアによっては宿泊を伴う出張が発生するケースもあるため、移動による体力的な負担がかかる点は理解しておきましょう。
治験コーディネーター看護師に関するよくある質問
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看護師から治験コーディネーターへの転職に関する、よくある質問に回答します。
看護師から治験コーディネーターに転職した場合の年収は?
厚生労働省のデータをもとに、看護師、治験コーディネーターそれぞれの年収を出してみました。
- 看護師:519.7万円
- 治験コーディネーター:430.2万円
データ上では、約90万円の差があります。
差が生まれる要因として考えられるのが「夜勤手当」の有無です。治験コーディネーターは基本的に日勤のみで、夜勤手当や深夜残業代がありません。そのためどうしても額面上の年収は下がりがちです。
しかし看護師資格を持っていると、待遇面で有利になる可能性はあります。
多くのSMOでは、医療知識のある看護師経験者を即戦力として評価しており、経験のない応募者よりも基本給を高めに設定したり、資格手当を支給したりなどの優遇措置をとっています。
年収は一時的に下がる可能性がありますが、年収以外のメリット・デメリットを比較し、長期的な視点で判断するとよいでしょう。
治験コーディネーターの1日のスケジュールは?
治験コーディネーターの1日のスケジュールは、勤務先の病院や仕事の進捗によって異なります。
今回は、基本的なスケジュール例を紹介します。
時間 | 仕事内容 | 仕事内容の詳細・ポイント |
|---|---|---|
9:00~9:30 | ・医療機関に出勤、医師・スタッフへ挨拶 ・メールチェック、当日スケジュール確認 | 挨拶の際に今日の来院予定者、業務の優先順位を共有し信頼・連携を深める |
9:30~10:30 | ・来院予定被験者のカルテチェック、検査結果確認 ・治験薬・検査キット準備 | ミス防止のため、カルテ・検査結果の細かな確認をし、必要な資材を漏れなく準備する |
10:30~11:30 | ・治験参加中の被験者対応(服薬状況・体調確認、服薬漏れ回収、診察同席、検査依頼) | 患者の不安や副作用の確認・記録と、医師との連携で、タイムリーな処置・検査依頼が重要 |
11:30~12:30 | ・被験者対応後処理(ワークシート・EDC入力、検体処理・保管、次回来院準備) | 記載漏れやデータ入力ミスの防止、検体管理と次回対応準備が正確性につながる |
12:30~13:30 | ・ランチ休憩 | 業務の合間にしっかりリフレッシュすると、後半業務の集中力維持につながる |
13:30~15:00 | ・午後のメール・問い合わせ対応 ・CRA(臨床開発モニター)とのクエリ対応 ・来院者準備 | CRAからの質問や調整事項の対応は、治験全体の進捗・品質に大きく関わる重要業務 |
15:00~16:00 | ・新規治験候補者の診察同席・インフォームドコンセント補助 ・次回日程調整、協力費手続き | 初回説明は専門用語を噛み砕き、納得と安心感を持って治験参加してもらうのが大切 |
16:00~17:00 | ・午後の被験者対応後処理(WS・EDC入力、次回準備) | 報告やデータ入力を終業前に確実に実施し、漏れやミス防止が求められる |
17:00~18:00 | ・メールチェック ・検体回収対応 ・日報作成、退社 | ・その日の業務を振り返り、次回に備えてしっかり日報・業務管理を行う |
詳細については下記の記事で解説しているため、ぜひあわせてお読みください。
関連記事:治験コーディネーターの1日・一週間のスケジュールを大公開!年収についても解説
治験コーディネーターに向いている人は?
治験コーディネーターに向いている人の特徴として挙げられるのは、以下です。
- 仕事に責任を持ってルールを厳守できる人
- 治験や患者の状況に応じて柔軟に対応できる人
- 周囲が安心できるコミュニケーションを取れる人
- 周囲にうまく頼れる人
- 周囲からの指摘やアドバイスを素直に受け入れられる人
- 新しい知識を学ぶのが好きでコツコツ努力できる人
- ストレス発散が上手な人
具体的な理由は、下記の記事で紹介しているので、こちらもあわせてご覧ください。
関連記事:治験 コーディネーター 向いてる人
看護師から治験コーディネーターになる場合の合格率は?
合格率は応募する企業や時期によって大きく変動しますが、治験業界の転職支援サイト「CRCバンク」のデータによると、合格率は以下のとおりです。
- 書類選考の通過率:約40%
- 面接の通過率:約30%
- 応募〜内定獲得率:約12%
データ上では「10人が応募して、内定をもらえるのは1人程度」という計算になります。
看護師資格や現場経験は有利ですが、合格率は上がるとは言い切れないのが実情です。「看護師だから大丈夫だろう」と油断せず、入念な選考対策をしておきましょう。
参照:CRCばんく|未経験から治験コーディネーター(CRC)になるには
まとめ
看護師から治験コーディネーターへの転職は、現場経験や医学の知識を活かせる点で有利です。実際に現役治験コーディネーターの約3割が、看護師資格を保有しています。
治験コーディネーターは「土日祝休み」「医療行為によるプレッシャーがない」などがメリットですが、年収の変化や事務作業へのチェンジ、などには注意が必要です。
慣れない仕事に最初は戸惑うかもしれませんが、新薬開発を通じて多くの患者を救える社会貢献度の高さは、治験コーディネーターでしか味わえない魅力です。
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