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日本の半導体は今後復活の兆しが見えている!市場や主要各国の動向を徹底解説

日本の半導体産業はかつて世界をリードしていましたが、近年はアメリカや中国、台湾に大きく遅れをとっています。なぜ、日本は遅れをとってしまったのでしょうか。 

半導体は現代社会の基盤技術であり、私たちの日常生活を支える無数の製品に組み込まれています。日本がこの分野で再びリーダーシップを取るための道のりは困難ですが、過去の成功が示す通り、可能性は確かに存在します。 

本記事では、世界の主要国の現状と比較しつつ、日本が半導体市場でどのように差別化を図り、特有の強みを活かすかを掘り下げます。特に、半導体製造装置、センサー技術、パッケージング技術の分野で日本がどのようにイノベーションを進め、市場での優位性を確保していくのかに焦点を当てて解説します。

目次

世界の半導体市場の今後と各国の動向



2024年には、世界の半導体市場が前年比13.1%増の5,884億米ドルに達すると予測されています。IoT、AI、5G、ビッグデータの活用が進み、世界中でデジタル社会への移行が進み、中長期的な視点から見ても半導体の需要は引き続き高いと考えられます。
 
次に、主要な国々の動向について詳しく見ていきましょう。
 

アメリカ

アメリカにとって半導体は経済と外交政策の中心に位置づけられており、2022年には「CHIPS and Science Act(CHIPS法)」が施行され、2024年3月現在、バイデン政権はIntelや台湾のTSMCなど大手半導体メーカーへの支援を強化しており、数十億米ドル規模の補助金の交付が予定されています。
 
これらの資金は新たな製造施設の建設や既存施設の拡張、最新技術の研究開発への投資に充てられ、中国をはじめとする他国との技術競争で優位性を保つ戦略的手段となっています。
 

中国

中国の半導体産業は国内自給率の向上を目指していますが、アメリカとの対立や輸出制限によって先進的な技術の開発や調達が困難になっているのが実情です。
 
しかし、中国の半導体製造企業であるSMICは世界の半導体ファウンドリ市場で5位のシェアを持ち、国際的な影響力を確立しており、中国が将来的に自給自足の目標に近づく可能性を示しています。
 

台湾

台湾には、世界最大の半導体ファウンドリであり、国際的に生産拠点を拡大しているTSMCがあります。2024年2月には日本に新工場を開設し、2025年前半にはアメリカ・アリゾナ州での工場稼働を計画中です。
 
世界的な半導体供給能力を強化し、さまざまな産業に影響を与えるTSMCの技術革新と市場支配は、今後も世界の半導体市場に大きな影響力を持ち続けるでしょう。


日本の半導体が世界に遅れを取った原因



世界の半導体市場はマクロ的に見れば右肩上がりの成長を続けていますが、日本の半導体産業は1990年をピークに衰退しました。
 
衰退の主な理由は以下になります。

  • 日米半導体協定の締結
  • 主要マーケットの変化
  • バブル崩壊
  • 戦略不足

 
それぞれ、具体的に解説します。
 

日米半導体協定の締結

1986年に締結された日米半導体協定では、日本の半導体メーカーに価格を人為的に高く保つことを強いられました。米国や韓国のメーカーが少しでも安い価格を設定するだけで、容易に市場シェアを獲得できる状況となり、日本の半導体業界の競争力は低下したのです。
 
また、この協定によって米国企業が技術投資を加速させ、日本企業の技術リードが徐々に縮小することとなりました。
 

主要マーケットの変化

1990年代初頭にはコンピュータ技術が急速に進化し、パソコンやモバイルデバイスが主要な市場となりました。
 
これらのデバイスは高性能なマイクロプロセッサーやフラッシュメモリを必要としていましたが、日本の半導体企業は主にDRAMに注力しており、新しい需要に迅速に対応することができませんでした。
 

バブル崩壊

1990年代初頭の日本のバブル経済の崩壊は、経済全体に深刻な影響を及ぼしました。半導体業界も例外ではなく、投資資金の枯渇や設備投資の縮小が進み、技術開発が停滞しました。
 
その結果、国際市場における競争力が低下し、特に韓国や台湾のメーカーが市場でのシェアを伸ばすことになったのです。
 

戦略不足

日本の半導体メーカーは、長期的な戦略的視野に欠け、市場の変化に対する適応が遅れがちでした。
 
また、経営資源の最適な配分や事業構造の改革が不十分であったため、新興市場や技術トレンドへの対応力が不足し、国際競争において致命的な遅れをとるに至ったのです。


半導体業界で日本が強みを持つ3つの分野



日本の半導体業界は全体として衰退傾向にあるものの、特定の技術分野においては依然として世界的な強みを持っています。
 
日本の半導体業界の強みは、以下のとおりです。

  • 半導体製造装置
  • センサー技術
  • パッケージング技術

 

半導体製造装置

日本は、半導体製造装置の分野で高い技術力を持ち続けています。特にリソグラフィ装置、エッチング装置、蒸着装置などの高精度な製造設備において強みを持っており、これらは世界中の半導体工場でも広く使用されているものです。
 
例えば、東京エレクトロンやアドバンテストなどの企業は、高い市場シェアを誇り、チップの微細化が進むにつれて、ますます重要な役割を果たしています。
 

センサー技術

日本はセンサー技術でも世界をリードしています。特にイメージセンサー、圧力センサー、温度センサーなどが有名で、これらはスマートフォン、自動車、ヘルスケア製品など、多岐にわたる産業で活用されているものです。特にソニーのCMOSイメージセンサーは、高画質で高速な画像処理が可能であり、世界のスマートフォンやデジタルカメラで広く利用されています。
 
また、自動車向けのセンサーとしては、デンソーなどが先進の安全運転支援システム(ADAS)に貢献するセンサーを提供しています。
 

パッケージング技術

パッケージング技術は、半導体チップを外部環境から保護し、端子間を電気的に接続するための技術です。日本は、特に3D ICパッケージングやWafer Level Packaging (WLP) などの高度なパッケージング技術で先行しています。
 
スマートフォンやコンピュータのコンパクト化と性能向上に貢献しており、村田製作所や日立化成などがこの分野で注目されています。


【2024年には復活の兆し】日本の半導体産業の今後は?



日本の半導体産業は、2023年までの間、需要減により苦境に立たされていましたが、2024年以降はその状況に変化の兆しが見え始めています。プラス成長が期待される一方で、市場の過熱と需要過多によるリスクも考慮する必要があります。

今後の主な動向として予想されるのは、以下の項目です。

  • IoTの普及と市場の拡大
  • 需要の変動性
  • 研究開発と量産製造の拡大

各動向についてその影響を解説します。
 

IoTの普及により市場の拡大が予想される

IoT技術の普及が進むにつれて、様々なデバイスがインターネットに接続されるようになり、センサーや通信機能を持つ半導体の需要が大幅に増加することが予想されます。
 
家電製品、自動車、産業機器など、多岐にわたる分野での応用が拡大していくでしょう。
 

業界によっては半導体の需要が落ちる

業界によってはデジタル化の進展や市場の変化により、半導体の需要が落ち込む可能性もあります。
 
一部の旧来型デバイスが市場から淘汰される過程で特定の半導体製品の需要が減少し、業界全体の需要予測が困難になり、市場の不安定性が高まるかもしれません。
 

研究開発・量産製造の拡大で市場が活性化する

日本の半導体業界が再び活気を取り戻すためには、研究開発の強化と量産製造の拡大が鍵となります。最新の半導体技術や製造プロセスの開発に向けた投資が増加することで、国際市場における競争力を高めることができるでしょう。
 
また、これらの活動が国内での雇用創出や関連産業の振興にも寄与することが期待されます。


半導体の今後に関するよくある質問



ここからは、半導体の今後について、よくある質問に回答していきます。
 

半導体が不足している理由は?

半導体の不足は、様々な要因が組み合わさって生じていますが、その核となるのは「需要に対して供給が追いついていない」という問題です。
 
具体的には、以下の要因が挙げられます。

  • 産業全体のデジタル化の加速
  • 自動車業界での電子化の進行
  • 半導体製造キャパシティの限界
  • 地政学的リスクとサプライチェーンの問題

半導体不足問題については以下の記事でも解説しているので、あわせてご参考ください。
関連記事:半導体不足はなぜ解消しないの?原因や影響、いつまで続くのか を解説
 

H日本が半導体業界で復活するためにはどうしたらいい?

日本が半導体業界で復活するためには、複数の戦略的ステップを踏むことが必要です。
 
まず、日本が世界の半導体業界で再びリードするためには、技術力の向上が必須です。具体的には、研究開発の強化や産学連携の促進、国際共同研究の推進などが求められます。
 
また半導体業界は常に変化しており、新しいトレンドにいち早く対応することが競争力を維持する鍵となります。市場ニーズの把握し、フレキシブルなビジネスモデルを採用することがポイントでしょう。
 
さらに、グローバルビジネスの展開チャンスを逃さないことも重要です。例えばアジアやアフリカ、南米など半導体需要の増加が期待できる新興市場への進出を図ったり、技術や市場アクセスを共有するための戦略的提携やM&Aによって事業拡大を目指したりすることで、グロース市場における競争力の回復を図りましょう。


まとめ



日本の半導体産業は過去に世界をリードしていましたが、アメリカ、中国、台湾に後れを取っています。しかし、半導体製造装置、センサー技術、パッケージング技術の分野で日本は強みを持っており、これらの技術を活用して市場での差別化とイノベーションを進めることが可能です。2024年の半導体市場は前年比13.1%増と予測されており、デジタル社会への移行が進む中、半導体の需要は引き続き高まることが期待されます。
 
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