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COBOLの将来性とは?今後の需要や業務内容・求められる5つの能力

COBOLは主に保険業界や行政、証券、金融などで使用され、高い計算処理能力やコードのわかりやすさが特徴のプログラミング言語です。これからCOBOLエンジニアを目指す方などにとっては、COBOLの将来性やCOBOLエンジニアとして必要な能力などが気になるのではないでしょうか。本記事では、COBOLの将来性やメリット、デメリット、COBOLエンジニアに求められる能力などを解説します。

目次

COBOLとは?


COBOLとは「Common Business Oriented Language」の略であり、1959年にアメリカで事務処理用に開発されたプログラミング言語です。主に保険業界や行政、証券、金融などのシステムに使用されています。

COBOLの大きな特徴は、事務処理を行うプログラムの開発を効率良く実施できる点です。たとえば、ファイルに大量データを書き込む処理や帳簿の作成処理、金額などの各種データ確認などに適しています。また、COBOLは人間の文法に近いため理解しやすく、習得の難易度は高くないといえるでしょう。

COBOLエンジニアの業務・仕事内容

ここでは、COBOLエンジニアの主な業務・仕事内容について解説します。COBOLエンジニアの主な業務・仕事内容としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 既存プログラムの保守・改修
  • 他システムへの連携業務
  • オープン環境におけるソフトウェアの開発


たとえば、法改正などの各種制度改正や商品の追加などが発生した際に、既存プログラムの改修を行うケースが多くなります。プログラム改修時は、クライアントからの要望に基づき、改修後のプログラム設計や実装、テスト、リリース作業、リリース後の稼働確認などを行います。

また、COBOLは他システムとのデータ連携を行う場合も多く、他システムへの連携業務も重要な仕事です。他にも、メインフレームだけでなくUNIXやLinuxなどのオープン環境で開発を行う業務や、COBOLで作成したプログラムを他のシステムに移行する業務もあります。

いずれの場合もチームプロジェクトとして取り組む場合が多く、コミュニケーションスキルも大事な要素となります。

COBOLエンジニアの年収 

エンジニアの年収は、勤めている会社やエンジニア自身のスキルによっても異なりますが、ここではCOBOLエンジニアの平均年収の一例を紹介します。Indeed(インディード)の調査によると、COBOLエンジニアの平均年収は約728万円 です。

一方で経済産業省の調査によると、一般的な顧客向けシステムの開発・実装を行うSE・プログラマの平均年収は約593万円 です。このことから、COBOLエンジニアの平均年収は、一般的なSE・プログラマと比べて高水準であるといえるでしょう。


COBOLの将来性とは?


COBOLエンジニアを目指す方にとっては、COBOLの将来性について気になる方も多いでしょう。本章では、COBOLの将来性について、以下のポイントをそれぞれ解説していきます。

  • COBOLの利用は徐々に減少している
  • 行政・保険・金融などのシステムに利用され将来性がある
  • COBOLを習得すれば仕事の幅が広がる可能性がある
  • COBOLの重要性が再認識されている


COBOLの利用は徐々に減少している

COBOLは最先端のプログラミング言語ではないため、全体的には利用するケースは減少傾向にあります。これからCOBOLを用いて新規開発を行うプロジェクトは少ないといえるでしょう。また、COBOLで開発したシステムを他の言語に切り替え、オープン化していくケースも珍しくありません。

エンジニアの学習傾向としても、最先端の技術を学ぶ人が増える一方で、COBOLを学ぶ人は減少傾向にあります。このように、全体的な需要の観点から考えると、COBOLの将来性は高いとはいえないでしょう。

行政・保険・金融などのシステムに利用され将来性がある

全体的に見ればCOBOLの需要は多くないものの、一部の分野ではCOBOLに対して強い需要があります。たとえば、行政や保険、金融などの大規模なシステムにはCOBOLが長年使用されており、今後もCOBOLは廃れることなく一定の需要が続くと考えられます。

行政や保険、金融などの大規模なシステムは、最先端の技術を採用することよりも継続的な安定稼働を重視する傾向にあるといえます。そのため別のプログラミング言語に完全に入れ替わる可能性は低く、今後もCOBOLのシステム更新・保守などの業務は存在していくでしょう。

COBOLを習得すれば仕事の幅が広がる可能性がある

若い世代はPythonなどの先進的なプログラミング言語を学習する傾向があるため、若手でCOBOLを使用できる人は少なくなってきています。COBOLに対しては前述のとおり一定の需要がある一方で、COBOLを扱える若手人材は不足する傾向にあるため、COBOLを扱える若手人材にとっては大きなチャンスとなります。

したがって、COBOLを習得することで、大規模システムの改修・運用など仕事の幅が広がる可能性があります。また、COBOLを扱える人材の不足によってCOBOLエンジニアの希少性が高まり、収入アップにつながる可能性もあるでしょう。

COBOLの重要性が再認識されている

COBOLは最先端のプログラミング言語ではないものの、行政や保険、金融などの生活を支える重要なシステムとなっています。近年の新型コロナウイルスの感染拡大により、インフラや行政の役割の重要性が再認識されたことで、インフラや行政を支えるCOBOLの重要性も再認識されています。

COBOLは社会活動の土台を支えるプログラミング言語であり、今後も一定の需要が続くことが見込まれるでしょう。


COBOLのメリット3つ


ここでは、COBOLのメリットとして、以下の3つを解説します。

  • 特定のOSに依存せずに使える
  • 計算処理に秀でる
  • コードがシンプル


特定のOSに依存せずに使える

COBOLのメリットのひとつは、特定のOSに依存せずに利用できることです。WindowsやMac、Linuxなど、さまざまなOSに使用できます。また、開発したシステムを他のOSへ移植することもできるため、柔軟なシステム開発を行うことが可能です。

計算処理に秀でる

COBOLはもともと事務処理用に開発されたプログラミング言語であるため、計算処理が得意である点もメリットです。大量データを扱う業務においても、高速なバッチ処理などを行うことができます。

また、コンピューターは通常、2進法でデータを処理するため、10進法の数字を扱う際に小数点の処理が複雑化し、プログラミング言語によっては数字の誤差が出やすくなります。しかし、COBOLはデータを10進法で処理するため、数字の誤差が少ないのも特徴です。

コードがシンプル

COBOLは文法がシンプルで分かりやすいこともメリットとなります。プログラミングに詳しくない方やプログラミング初心者でも理解しやすく、学習をスムーズに進められるでしょう。

チーム作業が中心となる開発業務でも、コードが見やすく理解しやすいのはメリットです。たとえば、処理エラーが発生した際に、コードに不備がある箇所を迅速に検知して対処を行いやすくなります。


COBOLのデメリット


COBOLには前述したメリットがある一方で、デメリットも存在します。主なデメリットは以下のとおりです。

  • 新規開発の案件は縮小傾向にある
  • エンジニアが高齢化している


新規開発の案件は縮小傾向にある

まず、COBOLの需要は社会全体的に見れば高くなく、新規開発の案件は縮小傾向にあります。COBOLは初心者でも扱いやすいコードであるものの、近年開発が進められているAIやWebアプリなどの開発には適していません。

行政や保険、金融などの大規模システムの改修・保守が業務として多くなるため、AIなど最先端の開発を行いたい方にとっては向いていないといえるでしょう。

エンジニアが高齢化している

COBOLは半世紀以上の実績があるプログラミング言語であることから、COBOLを扱えるエンジニアも高齢化している傾向にあります。そして近年は新しいプログラミング言語やAIの登場により、エンジニアの関心はCOBOLからPythonなどの他の言語に移ってきています。

その結果、ベテランエンジニアの定年退職などによってCOBOLを扱える人材の不足が顕著になり、システム維持の難しさや若手エンジニアへの負担増加などが懸念されます。


COBOLのエンジニアに求められる能力5つ


COBOLエンジニアとして活躍するためには、以下の5つの能力を高めていくことが重要です。

  • 英語の能力
  • コミュニケーション能力
  • COBOLが使用される業界の知識
  • 大規模なシステムを運用する技術への理解
  • 運用・保守を行う技術


英語の能力

まずは英語能力です。COBOLは他の言語と比べると、英語に近い形式のコードが使用されています。そのため、英語のスキルがあるとコードを理解しやすくなり、業務をスムーズに行えるでしょう。既存のシステムを十分に理解し、適切な保守を行うためには、コードを正しく理解する力が求められます。

コミュニケーション能力

COBOLは大規模システムに用いられるケースが多く、チームでの開発作業が中心となります。そのため、チームで円滑に業務を遂行するためのコミュニケーション能力が不可欠です。コミュニケーション能力は、開発チーム内でのやり取りの場面だけでなく、顧客の要望をヒアリングする場面でも重要です。

正しくコミュニケーションが取れないと、要件の認識相違や設計エラーといったトラブルにつながる恐れがあるため十分に注意しましょう。

COBOLが使用される業界の知識

COBOLエンジニアは、エンジニアとしての技術力に加えて業界知識も大切です。行政や保険、金融など、COBOLが使用されるケースが多い業界への理解を深めていきましょう。たとえば、金融業界のシステムの保守を行う際は、金融業務の流れや金融業務へのシステムの使われ方を理解することで、より良い開発を行えます。

その結果、優良案件の獲得や年収アップなどにつながる可能性もあるでしょう。

大規模なシステムを運用する技術への理解

COBOLは大規模なシステムに利用されるケースが多いため、大規模システムを運用するための技術の理解も大事なポイントです。たとえば、COBOLを使用するOSやデータベース、インターフェースなどの周辺知識の理解を深めることで、仕事をさらにスムーズに行えるようになるでしょう。


運用・保守を行う技術

COBOLエンジニアは、すでにあるシステムを運用・保守する業務が多くなります。したがって、システムの新規開発ではなく、既存のシステムを上手く運用する技術が求められます。たとえば、数十年前に開発されたコードを改修するケースもあるため、当時のコードを正しく理解し、品質低下を起こさないように修正する技術も必要です。

また、COBOLは最新の言語と比べて自動デバッグツールやフレームワークなどが充実していないため、手動でデータ作成やケース作成、実行を行う場合が多くなります。手動での作業に精通し、COBOLを正しく運用する技術が求められます。


COBOLエンジニアの2つのキャリアアップ方法


COBOLエンジニアとしてさらなるキャリアアップを目指す場合は、主に以下2つの方法があります。

  • COBOL以外の言語の習得
  • マネジメントスキルの習得


COBOL以外の言語の習得

まずはエンジニアとしての幅を広げる方法です。COBOLだけではシステムの新規開発案件を十分に経験することは難しいため、他の言語も合わせて習得するとよいでしょう。

たとえば、COBOLのシステムを移植する場合はJavaやPythonを利用するケースが多いため、JavaやPythonを習得することがおすすめです。

複数の言語を習得することで、多種多様な業務を行えるようになります。そのうえで、業務経験や知識を蓄積していくことで、さらなるキャリアアップを狙えるでしょう。

マネジメントスキルの習得

2つ目はマネージャーとしてキャリアアップする方法です。COBOLはシステムの基幹を担うケースが多く、大規模な改修になりやすいことが特徴です。そのため、大人数のチーム体制でプロジェクトを進める場合も少なくありません。

プロジェクトに関わる人数が増えるほど、プロジェクト・チームの管理や計画の作成、ステークホルダーの調整などが重要な要素となります。したがって、マネジメントスキルを高めることで市場価値が高まり、プロジェクトマネージャーなどの立場で活躍できるようになるでしょう。


まとめ


COBOLは事務処理用に開発されたプログラミング言語であり、主に行政や保険、金融などのシステムに使用されています。COBOLの利用は全体的に見れば徐々に減少しているため、その点では将来性は高いとはいえません。しかし、行政や保険、金融などのシステムでは需要が続くことが見込まれるため、COBOLエンジニアとしての仕事がなくなることは考えにくいでしょう。

COBOLはコードがシンプルであり習得しやすく、特定のOSに依存せずに使える点などが特徴です。COBOLエンジニアとして活躍するためには、英語力やコミュニケーション力、業界知識、大規模システムの運用・保守スキルなどが求められます。

そのうえで、COBOL以外の言語やマネジメントスキルを習得することで、COBOLエンジニアとしてさらなるキャリアアップを実現できるでしょう。


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