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セル生産方式とは|ライン生産との違いやメリット・デメリットを徹底解説!

目次

製造業で導入されている生産方式といえば「ライン生産方式」を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、大量生産の時代が終わり、多くの製造現場では「セル生産方式」へシフトしています。

ここでは、セル生産方式のメリットとデメリットや、ライン生産方式との違いについて解説します。製造現場で働くことを考えている方は参考にしてください。


セル生産方式とは


セル生産方式とは、L字型やU字型のラインを使用して行う生産方法で、通常少人数で作業します。「U字型ライン生産方式」「分割ラインセル生産方式」「一人屋台方式」「巡回方式」などと呼ばれることもあります。


セル生産方式が生まれた背景

セル生産方式が生まれたのは、大量生産の時代から、多種多様な消費者のニーズに応えなければならない時代へと変化したからです。少人数で、場合によっては1人で部品を組み立てるセル生産方式では、在庫をできるだけ抑え、生産量が調整しやすくなります。そのため、セル生産方式は多くの情報機器メーカー、家電メーカーで導入されています。


ライン生産方式との違い

セル生産方式とライン生産方式の違いを表にまとめました。



セル生産方式

ライン生産方式

業務内容

多い

少ない、もしくは一つ

人数

少ない、場合によっては1人

多い

作業場所

状況に応じて移動

ベルトコンベアの所定位置

ロット

多品種少量生産

少品種大量生産



セル生産方式のメリット


セル生産方式のメリットには以下のようなものがあります。


【セル生産方式のメリット】

  • 多品種少量生産が少人数でできる
  • ライン生産方式に比べて導入コストが低い
  • 生産量などの変化に対する適応力が高い
  • 仕掛品在庫が大幅に削減する


多品種少量生産が少人数でできる

セル生産方式の一つ目のメリットは、多品種少量生産が少人数でできることです。

ライン生産方式では、品種の変更を行うには治具の組み換えが必要で、手間がかかります。それに対して、セル生産方式では各セルが独立しているため、ラインを停止させずに品種を変更できます。このため、頻繁にモデルチェンジをするパソコンや家電でセル生産方式が導入されているのです。


 ライン生産方式に比べて導入コストが低い

セル生産方式の二つ目のメリットは、導入コストが低いことです。

ライン生産方式では、一つのラインを立ち上げるのに高額な設備の導入が必要で、コストが膨大になります。それに対して、セル生産方式は主に人の手で組み立てや溶接を行うので初期の導入コストを安く抑えられます。


生産量などの変化に対する適応力が高い

セル生産方式の三つ目のメリットは、生産量などの変化に対する適応力が高いことです。

ライン生産方式は少ない品種を大量に生産するのに向いていましたが、現在は製造現場もさまざまな原因で生産量の予測が立てにくい時代です。そのため、生産量に合わせてセルごとの稼働率を調整できるセル生産方式が適しているのです。


 仕掛品在庫が大幅に削減する

セル生産方式の4番目のメリットは、仕掛品在庫が大幅に削減することです。

ライン生産方式と異なり、セル内で組み立てが完結するため、工程間の仕掛品在庫が大幅に削減することが可能です。そのため、製造現場のコスト削減につながります。


セル生産方式のデメリット


セル生産方式のデメリットには以下のようなものがあります。


【セル生産方式のデメリット】

  • 自動化が難しい
  • 作業者の教育に時間を要する
  • 作業者の力量に合わせた工程管理が必要となる


自動化が難しい

セル生産方式の一つ目のデメリットは、自動化が難しい点です。

各ポイントの作業内容が単純なため自動化がしやすいライン生産方式と異なり、セル生産方式は生産する品種によって工程が変化するため、自動化がしづらいといえます。


作業者の教育に時間を要する

セル生産方式の二つ目のデメリットは、作業者の教育に時間を要することです。

セル生産方式では作業者1人当たりの負担が大きく、多くの工程を1人で完結させる多能工化が求められるため、作業者の教育に時間がかかります。作業内容の中には言語化、マニュアル化が難しいものもあるため、OJTに頼らざるを得ないのです。


 作業者の力量に合わせた工程管理が必要となる

セル生産方式の3番目のデメリットは、作業者の力量に合わせた工程管理が必要となることです。

ライン生産方式は一人ひとりの作業内容が比較的単純なため、業務の均質化が可能です。しかし、セル生産方式は、個人の力量で生産数に差が生まれやすく、それを前提にした管理が必要になります。工程管理も複雑になりがちで、手間がかかります。


ライン生産方式のメリット・デメリット


ここでは、ライン生産方式のメリット・デメリットについてあらためてまとめておきます。


ライン生産方式のメリット

ライン生産方式は作業内容が比較的単純なため、以下のようなメリットがあります。


  • 一人ひとりの作業員に求められる作業が少ない
  • 作業の自動化、機械化がしやすい
  • 教育コストが低い
  • 少品種では生産効率が高い


 ライン生産方式のデメリット

ライン生産方式のデメリットには、以下のようなものがあります。


  • 誰でも安定して仕事ができる分、作業員のスキルアップがあまり望めないケースもある
  • 高額な設備など、導入コストが高い
  • 現在の消費者の多様なニーズに応えることが難しい
  • ラインの工程はすべて決められており、臨機応変な調整ができないため、不良品が発生した場合の損害が大きい


近年は「ダイナミックセル方式」が注目されている


近年では、セル生産方式から発展した「ダイナミックセル生産方式」が注目されています。

ダイナミックセル方式とは、クラウド上にある情報に基づき、ロボットが生産方式や製品をリアルタイムで組み替える生産方式です。これにより、セル生産方式のデメリットである教育コストの問題を解決できますが、ダイナミックセル方式にはIoTやAIの活用を前提にしたスマートファクトリーの実現が必要です。しかし、現時点では、スマートファクトリー化の実現には膨大なイニシャルコストがかかってしまいます。


まとめ


ライン生産方式かセル生産方式か、どちらを採用するかは生産する製品によっても変わります。ものづくりの現場で仕事を考えている人は、それぞれの違いをよく押さえておきましょう。

いずれにしても製造現場では、AIやロボットの導入が今後ますます進むはずです。そのことを前提にしてキャリアやスキルアップに関する戦略を立てることも大切です。






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