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リベット接合とは?メリットやデメリット、活用事例を解説

目次

橋の建設や航空機の組み立てで利用される「リベット接合」。溶接接合やボルト接合などさまざまな接合方法がありますが、リベット接合とはどんな接合方法なのでしょうか?また、リベット接合をするメリットやデメリットを知りたい人もいることでしょう。


そこで今回は、リベット接合とは?からメリットやデメリットのほかに、活用事例やリベット接合の方法について解説します。この記事を読めば、初心者でもリベット接合について理解できるようになります。


リベット接合とは?


リベット接合とは、リベットを使用して母材となる金属同士を接合する方法です。


ボルト接合や溶接接合などさまざまな接合方法がありますが、リベット接合はボルト接合のように緩む心配がなく製品を長期間安全に使用することが可能です。また、母材に損傷を与えやすい溶接接合に対して、リベット接合はほとんど母材を損傷することなく接合ができます。



リベット接合の仕組み

リベット接合は、板状の母材を2枚重ねて穴を開けリベット(鋲のような形をした金属)を差し込み、リベットの先端部分をハンマーなどでつぶしてリベットを母材に固定して接合します。


木製の棚作りで例えると、釘やビスがリベットで木材は母材となり、それらを用いて棚を作るためには釘やビスを木材に打ち込んで完成させます。リベット接合も同じ原理で、穴を開けた母材にリベットを差し込んで固定することで接合完了です。リベット接合の場合は、母材もリベットも素材はステンレスや銅などの金属です。


リベット接合のメリット


リベット接合のメリットは、以下の通りです。


  • 作業が簡単
  • 接合部が緩みにくい
  • 接合部を外しやすい
  • 母材を損傷させにくい


作業が簡単なことや母材を損傷させにくいなど、魅力的なメリットが多くあります。では、もう少し具体的に見ていきましょう。


作業が簡単

リベット接合は、母材に穴を開けてリベットを差し込みリベットの先端部をつぶすだけの簡単作業なので、手順さえ守れば初心者でも作業が可能です。


リベット接合と同じ金属同士を接合する溶接接合は、資格が必要な場合もある上に接合部をきれいに仕上げるためには熟練の技も必要となります。作業が簡単なリベット接合は素人でも接合できるため、DIYでも使いやすい接合方法です。


接合部が緩みにくく強度が高い

リベット接合は、リベットの先端をつぶして母材に固定するため接合部が緩みにくく強度が高い点がメリットです。


ボルト接合の場合、振動や衝撃が加わると緩む可能性があり、欠落を引き起こし重大な事故につながる恐れがあります。一方で、リベット接合は経年劣化による母材のひび割れや湾曲が起こらない限り緩むことがなく安全性にも優れています。


接合部を外しやすい

リベット接合は強度の高い接合方法ですが、作業が簡単な上に取り外しがしやすい点もメリットです。


溶接接合は母材を溶かして接合しているため、取り外しも困難なほどガッチリと接合されています。一方で、リベット接合はつぶした接合部を破壊するだけで簡単に取り外し可能です。万が一、誤って接合してしまった場合も取り外しが簡単なため、すぐに修正ができます。


リベット接合の外し方

リベット接合の外し方は、リベット外し専用工具を使ってつぶした部分を叩いて壊す方法と、ドリルなどで穴を開けて破壊する方法があります。どちらの方法も時間と手間をかけずに接合部を外せるので、非常に便利です。


母材を損傷させにくい

リベット接合は、熱を加える場合でもリベットの先端だけを熱するため母材を損傷させにくいといったメリットがあります。溶接接合は母材に高熱が加わるため、熱に弱い材質の場合は熱膨張が起こりひび割れの原因となります。


リベット接合は母材に穴を開けますが、リベットと同じ大きさの穴しか開けないため、必要最低限の損傷しか与えません。


リベット接合のデメリット


リベット接合には多くのメリットがありますが、デメリットもあります。リベット接合の主なデメリットは、以下の通りです。


  • 製品の重量が重くなる
  • 適用できる母材が限定される
  • 見た目が悪くなる


デメリットを知ることでリベット接合に適した製品が見えてくるので、デメリットについてもしっかりチェックしておきましょう。それでは、詳しく解説します。


製品の重量が重くなる

リベット接合に使用するリベットはステンレスや銅など重量のある金属を使用しているため、接合部が多くなればなるほど製品全体の重量が重くなるといったデメリットがあります。


一方で溶接接合の場合、接合部を熱で溶かして接合するため製品全体の重量に変わりはありません。リベットを多く使う製品の場合、重量が重くなりすぎて本来の性能を発揮できなくなる可能性もあります。接合を必要とする製品を作る場合は、重量も含めて検討する方がいいでしょう。


適用できる母材が限定される

リベット接合はリベットの先端をつぶして接合する方法のため、板状の母材でないとうまく接合できない場合があります。例えば、パイプ状や湾曲した母材の場合、二つ重ねて穴を開けるのが困難であり、リベットも差し込みにくく接合が非常に難しいです。そのため、リベット接合は板状の母材に限定されます。


見た目が悪くなる

リベット接合はリベットの先端をつぶして接合するため、突起が目立ち、見た目が良くありません。一方で溶接接合は接合部をきれいに仕上げることが可能なため、見た目の悪さはありません。リベット接合も突起部分を塗装などしておしゃれに見せることは可能ですが、つぶした衝撃でできてしまう凸凹の部分はきれいにならないため、デザイン重視の製品には不向きな接合方法です。


リベット接合の活用事例


リベット接合のメリット・デメリットを解説してきましたが、続いてはリベット接合の活用事例をご紹介します。主な活用事例は、以下の通りです。


  • 空機の製造
  • 橋梁の建設
  • 東京タワー


航空機の製造や橋梁の建設にリベット接合が活用されていることは多くの人が知っている事柄ではないでしょうか。一方で、東京タワーにも使われていることについては知っている人は少ないかもしれません。それでは、もう少し詳しく見ていきましょう。


航空機の製造

リベット接合の活用事例として第一に挙げられるのが、「航空機」の製造です。航空機は気圧の変化が激しい空中を長時間飛行するため、強度の高い接合が求められていました。


ボルト接合は衝撃や振動で緩む可能性があるため、航空機の製造には不向きな接合方法です。また、溶接接合では母材への損傷が強いほか、定期的に行われる検査時で簡単に取り外しができない点がデメリットでした。そこで気圧の変化にも対応できる強度の高いリベット接合が採用されていたのです。


しかし現在は強度が強く緩みにくく開発されたボルトが誕生したため、航空機の製造でリベット接合が活用されることが少なくなっているのが現状です。


橋梁の建設

橋梁の建設でもリベット接合が適用されていました。過去形になっている理由は、橋梁の建設の建設でリベット接合が適用されていたのは、1955年頃までとされているからです。


それ以降は、湾曲した形状などさまざまな形状に対応できる溶接接合が主流となりました。また、強度の高いボルトが誕生したことで現在はボルト接合も橋梁の建設で多く使われています。


東京タワー

東京タワーの建設にリベット接合が採用されているのは、有名な話です。東京タワーが建設されたのは1958年で、当時の接合はリベット接合が主流でした。


東京タワーの建設にリベット接合が採用されていることがなぜ有名かといいますと、800度に熱した鉄の塊であるリベットを職人が鉄箸で挟み上の階にいる職人に投げバケツでキャッチしてリベットを穴に差し込み、ハンマーで一気に打ち付けて接合したという、一連の作業が当時話題になったからです。


このキャッチボールは通称「死のキャッチボール」と呼ばれていたそうです。東京タワーの建設は現代のようにハイテクな機械も装備もない時代で、職人技を駆使して建設していました。東京タワーはそうした職人技がなければ建設が成り立たなかったでしょう。


リベット接合の接合方法


リベット接合の接合方法は、以下の通りです。


  1.  母材を重ねて穴を開ける
  2.  リベットを穴に差す
  3.  リベットの先端を工具でつぶす


リベット接合は難しい作業はなく、上記の手順とポイントを押さえて作業をすれば初心者でも簡単にリベット接合ができるようになります。それでは、詳しく見ていきましょう。


母材を重ねて穴を開ける

リベット接合の最初にする作業は、母材を重ねて穴を開けることです。穴を開ける前に母材にホコリや汚れが付着していないか確認しましょう。汚れがあると接合強度が低くなる可能性があるので、入念にチェックして汚れは全て取り除きます。


続いて、穴を開ける位置を確認してピッタリ合う場所で母材を重ねます。穴の位置がズレているとリベットがうまく差し込めないので、穴の位置が正確になるように重ねるのがポイントです。


穴を開けるときは、リベットのサイズに合わせて開けます。リベットのサイズに合った穴を開けることで強度が高まるので、穴の大きさには注意が必要です。初心者が重ねた状態の母材に穴を開けるのが不安な場合は、1枚ずつ開ける方法がおすすめです。


リベットを穴に差す

母材に穴を開けることができたら、母材に金属カスが付着していないことを確認してからリベットを差し込みましょう。金属カスが付着していると母材がうまく重ならないため、接合強度が弱くなります。また、母材とリベットにも隙間があると強度が弱くなるため、隙間がないか確認が必要です。


リベットの先端を工具でつぶす

リベットを穴に差し終えたら最終段階の「リベットの先端を工具でつぶす」作業に入ります。リベットの先端をつぶすには、リベット接合専用工具「ハンドリベッター」を使用するのが一般的です。ハンドリベッターでリベットの先端をつぶす方法には、「熱間」と「冷間」の2種類があり、製造する製品によってつぶす方法が異なります。


熱間

リベットの先端をつぶす「熱間」とは、リベットを加熱してハンマーで一気に先端をつぶす方法です。東京タワーのリベット接合は「熱間」と呼ばれる方法で、大きな建物を建設するときなどに用いられます。熱間は、ハンドリベッターは使用せずハンマーなどを使います。


冷間

「冷間」は熱を一切使わずに、油圧プレスなど強力な圧力をかけられる機械を使用して先端をつぶす方法です。工場などで大量生産するさいに、機械作業でリベット接合を用いた製品を製造するときに使用します。


まとめ


リベット接合とは、リベットを用いて母材となる金属に固定して接合する方法です。強度が高い接合方法のため航空機の製造や橋の建設に活用されてきました。しかし緩みにくく強度も上がったボルトが普及したことにより、現在はリベット接合を用いた建設が激減しています。その代わり、作業が簡単で素人でも接合しやすいことからDIYでリベット接合が使われるようになっています。また、古い橋などでは今でもリベット接合が見られる場合があるので、古い橋を見つけたらぜひ探してみてください。








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