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配管溶接工の仕事内容|溶接方法や必要な資格を解説

目次

配管を溶接してつなぐことが主な仕事の「配管溶接工」。溶接は高い技術力が求められるため、配管溶接工を目指している人はその仕事内容が気になることでしょう。


そこで今回は、配管溶接の仕組みや種類、配管溶接工の仕事内容など詳しく解説します。また、配管溶接工に必要な資格についてもご紹介するので、この記事を読めば初心者でも配管溶接工について詳しく知ることができます。配管溶接工について調べている人は、ぜひ参考にしてください。


配管溶接とは



配管溶接とは、2本の配管を溶接してつなぐ方法のことです。配管をつなぐ方法は溶接の他に、ネジを使用して配管をつなぐ「ねじ込み接続」やボルトを使用した「フラジン接続」があります。三つの接続方法の中で最も耐久性が高い接続方法は「溶接」です。そんな配管溶接はどんな仕組みになっているのか、見ていきましょう。


配管溶接の仕組み

配管溶接の仕組みは、配管の接続部に溶接加工を施すことで配管がつながります。接合部の溶接にはさまざまな方法が用いられますが、熱を加える「溶融溶接」、圧力を加える「加圧溶接」、溶加材を接着剤として使用する「ろう接」と主に3種類あります。溶接は、母材の種類に合った方法で溶接しないと耐久性が落ちたり、最悪の場合は事故につながったりする恐れがあるので、注意が必要です。


配管溶接の種類と方法



溶接には主に三つの方法が用いられるとお伝えしましたが、配管溶接は実にさまざまな溶接種類があり、その中でもよく使われるのは主に下記の五つです。


  • 被覆アーク溶接
  • Tig溶接
  • Mag溶接
  • 半自動溶接
  • プラスチック溶接


それぞれの方法について、詳しく見ていきましょう。


被覆アーク溶接

被覆アーク溶接は、消耗電極式(溶極式)アーク溶接方法の一つです。溶接が完了するまでの工程はすべて手作業で行うため、「手溶接」といわれることもあります。


被覆アーク溶接は、消耗電極式(溶極式)アーク溶接法の一種で、母材と同材質の金属棒(被覆アーク溶接棒)を電極とし、この心線と母材との間に形成されるアークを熱源とする溶接法です。

引用元:溶接革命


昔から使われている溶接方法で、風の影響を受けにくいことから屋外の現場でも手軽に溶接作業できる点がメリットです。安い価格帯で販売されており設備投資にも高額な費用が必要ないため、多くの工場や現場で使用されています。


Tig溶接

Tig溶接もアーク溶接方法の一つで、非溶極式に分類されます。


放電用電極に消耗しないタングステン、シールドガスにはアルゴンガスやヘリウムガスなどの不活性(Inert)ガスを使用します。不活性ガスの中でアークを発生させ、アーク熱により母材を溶かして溶接します。

引用元:溶接革命


金属を溶接するときに火花が飛び散る溶接方法が多いですが、Tig溶接は火花が発生することなく鉄などの金属類を溶接できる点が特徴です。あらゆる金属の溶接に適しているため、主に金属類の溶接に用いられます。


Mag溶接

Mag溶接は鉄製の材料に使用されることが多い溶接方法で、半自動や自動で溶接が行われます。ただし、炭酸ガスを用いることから化学反応が起きるため、アルミなどの非鉄金属の溶接はできません。Mag溶接に適している材質は鉄や軟鋼で、適さない材質はアルミやチタン、銅や亜鉛の他に金や銀などです。Mag溶接のメリットは、作業効率が良いところと質の高い溶接金属、ロボットを用いて自動溶接が可能な点です。


半自動溶接

半自動溶接とは、半自動溶接機器を使用して金属類を手動で溶接する方法です。長時間の溶接が可能で、連続作業もできるため効率良く溶接作業できる他、作業スピードに優れている点がメリットです。


半自動溶接機には、ガスシールドアーク溶接機とノンガス溶接機の2種類があります。ガスシールドアーク溶接機は風の影響を受けるため屋内での使用が適している一方で、ノンガス溶接機は風の影響を受けないため、屋外での溶接作業も可能です。


プラスチック溶接

プラスチック溶接は、プラスチック素材を溶接するときの用いられる溶接方法です。電熱で熱風を発生させプラスチック母材と同じ材質の溶接棒を溶かし押し付けて溶接します。プラスチック溶接が可能な材質は塩化ビニールやポリエチレン、アクリル樹脂やフッ素樹脂などです。接着剤を使用せずにつなぎ合わせることができ、きれいに仕上がる点がメリットです。


配管溶接工の仕事内容



配管溶接に用いられる溶接の種類と方法について解説してきましたが、続いては配管溶接工の仕事内容についてご紹介します。


配管溶接工の主な仕事は、溶接技術を用いて配管をつなぎ合わせることです。配管には金属製もあればプラスチックもあるなど、さまざまな素材が使用されています。材質に合った溶接機を使用する他、溶接方法も変わってくるため、配管溶接工として従事するには勉強や資格取得が必要です。また、高度な技術を要する配管溶接もあるため、技術力も問われます。しかし技術を習得すれば、配管溶接工として定年まで働ける仕事なので、安泰といえるでしょう。


配管溶接工の働く場所は主に、屋内であれば工場関係が多く、屋外であれば建設や工事現場です。配管溶接工の一日のスケジュールは、決められた時間に現場や工場へ出勤して、昼食を含む休憩時間以外は退勤時間までひたすら溶接作業をこなします。


配管溶接工として従事するのであれば、知識も必要ですが実際に作業をして技術力を高めることが重要です。


溶接工の平均年収



溶接工は専門職であるため、年収が高いのではないかと期待する人も多いことでしょう。では、実際の平均年収はどのくらいなのか見ていきましょう。


厚生労働省が発表している賃金構造基本統計調査の平成30年度で溶接工の年収を調べたところ、平均年収は437万円でした。日本の平均年収が461万円なので、比較するとほぼ同等の平均年収であることが分かります。


しかし上記で示した溶接工の平均年収はあくまでも統計上の金額であり、取得している資格や勤務先、技術力次第では高額な報酬も可能な職業です。例えば、溶接工として独立した場合、年収1,000万円以上を稼いでいる人はたくさんいます。


溶接工として高額報酬を狙うのであれば、資格取得と技術力の向上が求められるでしょう。


溶接工に必要な資格



溶接工の年収についてご紹介してきましたが、続いて溶接工に必要な資格について解説します。溶接工に必要な資格は溶接する種類によって異なりますが、主な資格は以下の四つです

  • 手溶接(アーク溶接)技能者資格
  • 手溶接(ガス溶接)技能者資格
  • 半自動溶接技能者資格
  • ステンレス鋼溶接技能者資格

溶接工に従事するには、まず技術を習得するために職業訓練校に通って溶接技術学ぶ必要があります。技術職のため、技術も知識もない全くの未経験者では溶接工の職に就くのは困難です。基本的な溶接技術と知識を身に付けてから下記で解説する資格取得を目指すのが一般的です。


それでは、詳しく見ていきましょう。


手溶接(アーク溶接)技能者資格

手溶接(アーク溶接)は溶接方法の中でも基本的な溶接方法であり、溶接工に従事する人はまず初めに取得する資格です。


【手溶接(アーク溶接)技能者資格の種類】

  • 被覆アーク溶接
  • Tig溶接
  • Tig溶接と被覆アーク溶接の組み合わせ


手溶接(アーク溶接)技能者資格を取得することで、溶接の技術および基本的な知識が身に付いていることを証明できます。


手溶接(ガス溶接)技能者資格

手溶接(ガス溶接)技能者は、手溶接技能者資格の一つです。ガスを用いた溶接方法の資格で、ガス溶接を行うときに必要な資格です。


電気を使って溶接をするアーク溶接に対し、ガス溶接はガスを使用して溶接します。従事する溶接方法によって、どちらの資格を取得すればいいのか判断しましょう。アーク溶接もガス溶接も技能者資格は溶接工への入門資格なので、難易度はそれほど高くはありません。


半自動溶接技能者資格

半自動溶接技能者資格は、半自動溶接方法を用いて溶接する場合に必要となる資格です。半自動溶接は、半自動溶接機を用いて手動で溶接する方法です。


【半自動溶接技能者資格の種類】

  • Mag溶接
  • Tig溶接とMag溶接の組み合わせ
  • セルフシールドアーク溶接


試験内容は学科試験と実技試験があり、学科は溶接の一般知識や溶接機の構造と操作などから出題されます。溶接工の入門的な資格のため、難易度は高くありません。


ステンレス鋼溶接技能者資格

ステンレス鋼溶接技能資格は、ステンレス鋼製品を溶接する際に必要となる資格です。ステンレス素材の配管もあるため、配管溶接にも役立ちます。民間資格でステンレス溶接の入門的な資格なため、難易度は高くありません。


【ステンレス鋼溶接技能資格の種類】

  • 被覆アーク溶接
  • Tig溶接
  • Mig溶接
  • Mag溶接
  • Tig溶接と被覆アーク溶接の組み合わせ
  • Tig溶接とMig溶接またはMag溶接の組み合わせ


ステンレス鋼溶接技能資格は種類が多い点が特徴ですが、自分に合った種類を選んで受講しましょう。またレベルは基本給と専門級の二つに分かれているため、こちらも自分のレベルに合った方を選びましょう。


溶接技能者資格の取得方法



溶接工に必要な四つの技能者資格をご紹介してきましたが、ここでは取得方法について下記の共通する部分を解説します。


  • 受験資格
  • 試験内容


溶接技能者資格は種類がたくさんありますが、受験資格や試験内容はほぼ同じで共通する部分が多くあります。それでは、詳しく見ていきましょう。


受験資格

受験資格は、以下の通りです。


級別

受験資格

各種類の基本級

1カ月以上の溶接技術を習得した15歳以上の者

各種類の専門級

3カ月以上の溶接技術を取得した15歳以上で、基本級の資格を取得している者


※上記はご紹介した四つの技能者資格にすべて共通した受験資格です。

※ガス溶接は、労働安全衛生法に基づく「ガス溶接技能講習」の修了者であることも条件です。

※アーク溶接とステンレス鋼溶接技能者資格は、労働安全衛生法に基づく「アーク溶接等の特別教育」を修了していることが望ましいとされています。


専門級は基本級の資格取得が必須ですが、基本級の試験に合格する自信がある場合は専門級と同時に受講することが可能です。


試験内容

溶接技能者資格の試験内容は、以下の通りです。


溶接技能者資格の種類

手溶接(アーク溶接)技能者資格

手溶接(ガス溶接)技能者資格

手溶接(ガス溶接)技能者資格

ステンレス鋼溶接技能者資格

学科試験の内容

・溶接の一般識

知識

・溶接機の構造と操作

・鉄鋼材料と溶接材料

・溶接施工

・溶接部の試験と検査

・溶接作業での安全衛生

・溶接の一般識

知識

・溶接機の構造と操作

・鉄鋼材料と溶接材料

・溶接施工

・溶接部の試験と検査

・溶接作業での安全衛生

・溶接の一般識

知識

・溶接機の構造と操作

・鉄鋼材料と溶接材料

・溶接施工

・溶接部の試験と検査

・溶接作業での安全衛生

・ステンレス鋼の一般知識

・ステンレス鋼と溶接材料

・溶接機の構造と操作

・溶接施工

・溶接部の試験と検査

・溶接作業での安全衛生

実技試験の内容

JIS Z 3801に基づいて行い、外観試験および曲げ試験により評価

JIS Z 3801に基づいて行い、外観試験および曲げ試験により評価

JIS Z 3841に基づいて行い、外観試験および曲げ試験により評価

JIS Z 3821に基づいて行い、外観試験および曲げ試験により評価






まとめ



配管溶接にはアーク溶接に始まりTig溶接やプラスチック溶接など、さまざまな種類があります。溶接技術が問われる作業のため、配管溶接工に従事する場合は溶接する種類に合った溶接技能者資格が必要です。溶接工の入門的な資格のため難易度は高くなく、1発合格が狙える資格です。ぜひ溶接技能者資格を取得して、配管溶接工としての一歩を踏み出してください。






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