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はんだ付け検定って?試験の流れやメリットも紹介

目次

これから「はんだ付けに関わる仕事をしたい」と考えているのであれば、仕事に役立つ資格を取得しようと検討している人もいるのではないでしょうか。

はんだ付けの仕事をする時に持っておきたい資格の一つに、はんだ付け検定があります。


この記事では、はんだ付け検定の資格を取るための流れや、試験内容、資格を取るメリットについて紹介しています。

はんだ付け検定以外に役立つ資格についてもまとめていますので、参考にしてください。



 はんだ付け検定ってどんな資格?


はんだ付けは、はんだという金属を溶かして電子機器の端子や配線などをつなぎ合わせる技術です。

電子機器の基盤にチップを組み立てる作業なども、はんだ付けで行います。


はんだ付け検定は、はんだ付けに関する知識や技能を認定する資格です。

内閣府が認定して、非営利活動法人日本はんだ付け協会が主催しています。


資格の等級は3級・2級・1級と区分されており、目安となる資格のレベルは以下の通りです。


等級
資格のレベル
3級
趣味や実用的な電子工作などに必要な、初級レベルの技能認定。
鉛入りの共晶はんだを使用
2級

電機・電子関係の製造業で扱う鉛フリーはんだを使用した、初期レベルの技能認定

1級
小型化する電子部品の実装に対応した技能検定。実態顕微鏡や拡大鏡を用いて作業


3級は趣味で扱う初級レベル、2級は製造業で仕事として扱う初級レベル、1級では電子部品にまで対応したはんだ付けができるレベルとなっています。


 はんだ付け検定の流れ

はんだ付け検定を受けるにあたり、申し込みから受検までの大まかな流れを確認しておきましょう。


1.     申し込み

WEBかFAXで申し込みます。


2.     受検票の到着

申し込みが確認されると、日本はんだ付け協会からはんだ付け検定の受検票が発送されます。


3.     受検

定められたスケジュールに従って、受検します。


4.     採点

検定が終わったら、協会内にて速やかに採点が行われます。


5.     認定可否通知の発送

検定の結果が、検定教材の受領から1ヶ月以内に発送されます。


 申し込み方法

Webの場合は、日本はんだ付け協会ホームページから申し込みます。

申込みページから、該当の検定や講習を選択してショッピングカートに移動して申し込んでください。


日本はんだ付け協会:申し込みページ


FAXの場合は、日本はんだ付け協会のホームページから、はんだ付け検定申し込み書をダウンロードして必要事項を記入のうえ送付しましょう。


日本はんだ付け協会:申込書

FAX:0749-46-1133


 受検資格

はんだ付け検定の受検資格に、実務経験などはありません。

1級をとるために2級や3級の資格が必要ということもなく、まったくの未経験でも受検は可能です。


ただ未経験者でも受検はできますが、はんだ付けの経験がなければ、いきなりの合格は難しいでしょう。


 受検料

はんだ付け検定の受検料は以下の通りです。


等級
受験料
3級

19,800円(税込)

2級

20,900円(税込)

1級
22,000円(税込)


上記の料金に加え、送料550円がかかります。


試験内容

等級別の試験内容は以下の通りです。


等級
筆記試験
実技試験
3級
共晶はんだを使ったはんだ付けに関する基礎知識

【共晶はんだを使用】

・      リード線の被覆処理

・      カラゲ処理

・      タグ端子

・      カップ端子

・      表面実装

・      DIP

・      アキシャル・ラジアル

・      SOP部品

2級
共晶はんだと鉛フリーはんだを使った、はんだ付けに関する基礎知識

【鉛フリーはんだを使用】

・      リード線の被覆処理

・      カラゲ処理

・      タグ端子

・      カップ端子

・      表面実装

・      DIP

・      アキシャル・ラジアル

・      SOP部品

1級
共晶はんだと鉛フリーはんだを使った、はんだ付けに関する基礎知識

【鉛フリーはんだを使用】

・      リード線の被覆処理

・      カラゲ処理

・      タグ端子

・      カップ端子

・      表面実装(1005サイズから)

・      DIP

・      アキシャル・ラジアル

・      QFP、SOP部品


難易度・合格率

はんだ付け検定の難易度と合格率も確認しておきましょう。

ここでは、2011年7月から2021年9月までの累計結果を参考に見ていきます。

等級
受験者数
合格者数
合格率
3級
545
375
68.8%
2級
1,538
1,031
67.0%
1級
657
476
72.5%


日本はんだ付け協会によれば、筆記試験では95%以上が合格しているものの、実技試験で不合格になるという人が多いようです。


筆記試験と実技試験のいずれかに合格した場合は、再受検する際に、合格している科目は免除となります。

免除期間は1年となっており、1年を過ぎると、再度筆記試験と実技試験の両方を受けなくてはいけません。


参考:日本はんだ付け協会


資格の取得後は更新を忘れずに

はんだ付け検定で取得した資格は、有効期限が3年となっています。

これは、はんだ付けの技術が著しく進歩しているためです。


常に新しい知識と技術を確認するためにも、有効期限が設けられています。

等級に関わらず3年を過ぎると資格が喪失しますので、その前に更新試験を受けましょう。


はんだ付け検定の試験対策


日本はんだ付け協会では、独学での勉強が難しい人のために、はんだ付け講習を開催しています。


まずはスマートフォンやタブレットを使い、約90分のeラーニングによる、はんだ付け基礎知識講習で基礎知識を学びます。


はんだ付け作業の実技講習は、滋賀にある日本はんだ付け協会や、協会の主催する主要都市での講習会などで行われます。

実技講習で使う工具は、日本はんだ付け協会で用意してくれますが、持ち込みも可能です。


講習の受講料は以下の通りです。



等級

受講料

3級(共晶はんだ講習)

17,600円(税込)

2級(鉛フリーはんだ講習)

22,000円(税込)

1級(鉛フリーはんだ微細講習)
30,800円(税込)


上記の金額に、別途送料がかかります。


はんだ付け検定の資格を取得するメリット


はんだ付けの資格を取得するメリットを見ていきましょう。


知識や技術の向上につながる

資格を取ることで、正しい知識を得られるとともに、技術の向上につながります。

資格を取得するために集中して学ぶため、短期間でのスキルアップが可能になるでしょう。

工業系の学校では、授業の効果測定にもなります。


新しい知識や技術を身に付けることで、仕事や勉強に対するモチベーションも高くなるはずです。


客観的に知識や技術を証明できる

資格があれば、誰の目から見ても公平に能力を判断できます。

会社によっては、昇給や昇進要件になっていることもあるでしょう。


また無資格の人と比べても、就職や転職で有利になります。

客観的に自分の知識や技術を証明できるのは、資格を取得する大きなメリットの一つです。


はんだ付けが活躍する仕事は?


はんだ付けが必要な業種は、主に電子機器の基盤組立工場です。

ICチップやダイオード、抵抗器などの電子パーツを、一つ一つ電子基板に取り付けます。


はんだごてが使用されている製品には、次のようなものがあげられます。


  • スマートフォン
  • パソコン
  • テレビ
  • 冷蔵庫
  • 自動車
  • 通信装置 など


電気制御が必要な多くの製品で、はんだ付けが用いられています。


はんだ付け作業で大変なこと


次に、はんだ付けの仕事をするにあたり、大変なことを確認しておきましょう。


火傷をすることがある

はんだ付けに使うはんだごては、先端がとても熱くなっています。

作業しているとき手や指に触れると、火傷をすることがあるでしょう。


使い終わったはんだごての電源を切り忘れて、うっかり先端を握ってしまうという事故もあります。

電源が入っているはんだごての先端温度は数百度にもなり、火傷をすると、一生消えない傷が残る可能性もあるため注意が必要です。

作業中は集中して作業を行い、使い終わったはんだごての電源は必ず切るようにしましょう。


目や指先に負担がかかりやすい

はんだ付けは繊細な作業が要求されるので、集中して作業に臨まなくてはいけません。

作業中は指先まで神経を集中させているので、目や指先にも負担がかかりやすくなります。


長時間同じ姿勢で作業するので、肩こりや腰痛などのリスクもあるでしょう。

体を痛めないように、日ごろからマッサージなど体のメンテナンスも必要です。


はんだ付け作業に向いている人


はんだ付けの仕事には、向き不向きがあります。

どのようなタイプの人がはんだ付け作業に向いているのか確認しておきましょう。


根気がある人

はんだ付けは、繊細な作業の繰り返しです。

慎重に作業しなければ、思わぬケガや事故に繋がる可能性もあります。

正確にはんだ付けしなければ、製品の不具合にも直結することもあるでしょう。


細かい作業を根気よく続けられる人に、はんだ付けの仕事は向いています。


向上心のある人

はんだ付けは、趣味でもできる簡単な作業から、高度な技術が必要な作業まで、幅広い知識や技術が求められます。

日々技術が進歩しているため、常に新しい情報を吸収しようという姿勢も必要です。


最初は簡単な作業から始まったとしても、どんどん新しい仕事を覚えてスキルアップしたいという向上心の高い人は、はんだ付けの仕事に向いているでしょう。


 ほかにもある!はんだ付けに関する資格


はんだ付けの仕事をするのであれば、はんだ付け検定以外にも取得しておくと役立つ資格があります。

ここでは、はんだ付けに関わる資格の一例として、


  • はんだ付け検査員検定
  • 電子回路接続技能士
  • 電子機器組立て技能士
  • マイクロソルダリング技術資格


について紹介していきます。


はんだ付け検査員検定

はんだ付け検査員検定は、はんだ付けの仕上がりを検査するため資格です。

資格の取得には、基礎知識講習を受講したうえで、筆記試験と実技試験を受けて合格しなければいけません。

ただし3年以内に「はんだ付け検定」の3級・2級・1級に合格している人は、基礎知識講習と筆記試験が免除されます。


電子回路接続技能士

電子回路接続技能士は、電子回路の接続に関する技能を証明するための国家資格です。

主な仕事として、自動車や家電製品などに使われている電子機器の基盤に、電子部品の接続を行います。



等級
受験資格
3級
なし
2級

実務経験2年もしくは、3級の合格者

1級

実務経験7年もしくは、3級合格後4年の実務経験か2級合格後2年の実務経験

特級

1級合格後5年の実務経験

単一等級
3年の実務経験


電子機器組立て技能士

電子機器の組立てに関する知識や技術を証明する国家資格が、電子機器組立て技能士です。

都道府県の職業能力開発協会が実施している試験に合格することで資格を取得できます。


電子回路を内蔵している製品に共通している、基本的な電子回路技能が問われます。

等級
受験資格
3級
なし
2級

実務経験2年以上

1級

実務経験7年以上

特級
1級合格後5年以上の実務経験



マイクロソルダリング技術資格

マイクロソルダリングとは、数センチから数ミリ単位の部品に対するはんだ付け技術です。

マイクロソルダリングの技術を証明する資格に、一般社団法人日本溶接協会が実施しているマイクロソルダリング技術資格があります。受検資格は年齢や学歴によっても異なります。

等級

受検資格

技術者(EEG)

実装技術経験最低3年以上

インストラクタ(INS)

実装技術経験最低2年以上

実装工程管理技術者(PEG)

実装技術経験最低1年以上

実装工程技術者(APE)

実装技術経験最低6か月以上

インスペクタ(ISP)

実装技術経験最低3か月以上

オペレータ(OPR)

実装技術経験最低3か月以上

上級オペレータ(AOPR)
実装技術経験最低6か月以上



まとめ


はんだ付けは、様々な電子機器の製造に係わる仕事です。

繊細な技術が求められる仕事ですが、常に技術が進歩しているため、向上心を持って根気強く作業を進める必要があります。


はんだ付け検定を受けるために勉強することで、最新の知識や技術を学べます。

資格を取得すれば、昇給やキャリアアップも目指せるでしょう。


今回紹介した資格を取るメリットも参考にして、資格取得を目指してくださいね。




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