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毒物劇物取扱責任者の難易度は?県によって違う?合格する方法を解説

毒物劇物取扱責任者とは、安全に毒物や劇物を取り扱うための責任を持つ技術者です。業務で毒物や劇物の製造や販売・輸入などを行っている業者は設置義務があります。しかし、「どのような資格?」「取る必要性は?」と気になっている人もいるでしょう。
本記事では、毒物劇物取扱責任者の試験や必要性について解説します。後半では、合格するためのコツについても解説しているので、取得を検討している方はぜひ参考にしてください。
 

目次

毒物劇物取扱責任者の概要



毒物劇物取扱責任者は毒物や劇物を徹底して管理することで、従業員や周辺住民の健康を守る責任があり、毒物や劇物を取り扱う業者には設置が義務付けられています。
ここでは、毒物劇物取扱責任者の資格を取得するための試験内容や試験の難易度について解説します。
 

毒物劇物取扱者試験とは

毒物劇物取扱者試験には3つの種類があり、それぞれ扱える毒物・劇物が異なります。目的に応じて受験する種別を選択しなければなりません。
 

  • 一般

毒物または劇物の全品目を扱える種類。製造業や輸入業、販売業の毒物劇物取扱責任者になれる。
 

  • 農業用品目

農業用の毒物または劇物のみを扱える種類。輸入業や販売業の毒物劇物取扱責任者になれる。
 

  • 特定品目

特定品目の毒物または劇物のみを扱える。輸入業や販売業の毒物劇物取扱責任者になれる。
なお、毒物劇物取扱責任者の資格は試験に合格する方法以外にも、薬剤師の資格を取得したり、厚生労働省令で定める学校で応用科学に関する学科を修了したりすることでも取得できます。
 

毒物劇物取扱者試験の難易度

毒物劇物取扱者資格は入門レベルの理系資格です。毒物や劇物に関する暗記すべきことは多いですが、難易度的にはそれほど高くありません。過去問を解いて基本的な知識を身につけることで十分に合格が可能であり、理系だけではなく文系でも合格を目指せます。
 
危険物取扱者試験と比較される試験に、危険物取扱者甲種、乙種、丙種が挙げられます。それらと難易度を比較すると、最も難しいのは危険物取扱者甲種であり、その次は毒物劇物取扱責任者、危険物取扱者乙種、危険物取扱者丙種となっています。


毒物劇物取扱責任者の試験難易度は県によって異なる



毒物劇物取扱者試験は住所に関わらず、どの都道府県でも受験可能です。しかし、試験の実施日や内容、難易度、受験料などは都道府県によって異なります。合格基準も都道府県によって異なるため、試験地や難易度を考慮して受験する都道府県を選ぶのもひとつの手です。
なお、科目ごとに足切りを設定している都道府県も存在しています。受験する都道府県を選ぶ際は難易度だけではなく、科目ごとの足切りの有無も確認しておくとよいでしょう。
 

東京都の試験概要

東京都の試験内容は、以下の4科目です。

  • 筆記:毒物及び劇物に関する法規
  • 筆記:基礎化学
  • 筆記:毒物及び劇物の性質及び貯蔵その他取扱い方法
  • 実地試験:毒物及び劇物の識別及び取扱方法

令和5年度の合格基準は以下の通りです。筆記試験と実地試験の足切りは存在していますが、科目ごとの足切りは存在していません。なお、受験者数は975人です。

 

筆記試験

実地試験

合計

一般

50点以上/100点満点

50点以上/100点満点

120点以上/200点満点

農業用品目

45点以上/90点満点

30点以上/60点満点

90点以上/150点満点

特定品目

45点以上/90点満点

30点以上/60点満点

90点以上/150点満点


令和5年度の試験実施日は、7月9日(日曜日)で、試験時間は一般で10時から12時まで、農業用品目で10時から11時30分まで、特定品目で10時から11時30分までとなっています。
 
受験には学歴や年齢、性別は問いません。しかし、以下に該当する人は試験に合格しても毒物劇物取扱責任者にはなれません。

  • 18歳未満の者
  • 心身の障害により毒物劇物取扱責任者の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
  • 麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者
  • 毒物若しくは劇物又は薬事に関する罪を犯し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなった日から起算して3年を経過していない者

東京都の令和4・5年度の合格率

受験する種別によって東京都毒物劇物取扱者試験の合格率は異なります。令和5年度の場合は、一般40.1%、農業用品目39.4%、特定用品目66.7%です。それに対し、令和4年度の場合は、一般57.1%、業用品目37.2%、特定用品目50%となっています。
 
令和4年度と5年度の合格率を比較すると、受験する年度によって合格率に差があることがわかるでしょう。しかし、いずれも農業用品目の合格率は40%を下回っており、他の種別と比較して合格率が低いことは共通しています。
 

関西広域連合の試験概要

関西広域連合の試験内容は、以下の4科目です。

  • 筆記:毒物及び劇物に関する法規
  • 筆記:基礎化学
  • 筆記:毒物及び劇物の性質及び貯蔵その他取扱い方法
  • 実地試験:毒物及び劇物の識別及び取扱方法

令和5年度の合格基準は公表されていないため、ここでは令和4年度の合格基準を紹介します。令和4年度の合格基準は総出題数に対する正答率が60%以上で、かつ、試験科目ごとの正答率が30%以上です。
 
令和5年度の試験実施日は、12月2日(土曜日)で、試験時間は13時30分から15時30分までとなっています。
前述した通り、受験する都道府県によって合格基準などは異なります。東京都と関西広域連合を比較しても、東京都は科目ごとに足切りを設定していないのに対し、関西広域連合では科目ごとに30%という足切りが設定されています。
 

関西広域連合の令和4・5年度の合格率

9月現在、令和5年度の関西広域連合の毒物劇物取扱者試験はまだ実施されていません。そのため、ここでは令和4年度の合格率を紹介します。
 
令和4年度の合格率は、一般18.2%、農業用品目6.2%、特定品目0%で、受験者数は1,739人です。令和5年度の東京都(受験者数:975人)と比較すると、受験者数は多いのにも関わらず、合格者数は少ないです。これより、関西広域連合は東京都よりも試験難易度が高いと考えられます。
なお、平成30年度までは京都府で試験が実施されていましたが、令和元年からは関西広域連合で実施されています。


毒物劇物取扱責任者とは



毒物劇物取扱責任者とは、毒物や劇物を取り扱う業務に従事する際に、その取り扱いに関する責任を負う人物のことです。毒物や劇物の製造業者や販売業者、輸入業者は毒物劇物取扱責任者の設置が義務付けられており、業務で毒物や劇物を使用する一部の業種でも設置が求められています。
 

毒物劇物取扱責任者の業務内容

毒物劇物取扱責任者の業務内容は、以下の通りです。

  • 製造作業場所や貯蔵設備、陳列場所、運搬用具について、規定を遵守しているか点検・管理する
  • 毒物劇物の表示・着色などが規定を遵守しているか点検する
  • 毒物劇物の紛失・漏洩の防止措置を講じる
  • 毒物劇物の運搬・廃棄に関する技術が基準に適合しているか確認する
  • 事故時の応急措置に必要な設備機材などの配備や点検、管理を行う
  • 毒物劇物の取り扱いや事故時の応急措置などに関する従業員の教育や、業務日誌の作成などを行う

毒物劇物取扱責任者の資格を保有したうえで選任されることで、上記の業務を行えます。資格を保有しているだけでは業務を行えない点に注意が必要です。
 

危険物取扱者との違い

毒物劇物取扱責任者と混同されやすいものに、危険物取扱者があります。主な違いは扱う対象物で、毒物劇物取扱責任者で扱う対象物は化学物質のうち毒物及び劇物取締法で定められているものであるのに対し、危険物取扱者で扱う対象物は火災発生・拡大の危険性があるものなどとなっています。
 
危険物取扱者の資格は、甲種・乙種・丙種の3種類があります。乙種では6種類(第1〜6類)の危険物を対象としており、丙種では乙種第4類の危険物のうち指定された危険物のみ取り扱うことが可能です。
 
前述した通り、危険物取扱者丙種の難易度は、毒物劇物取扱責任者より低くなっています。しかし、求人数は危険物取扱者丙種の方が多く、転職活動を有利に進めることを取得の目的としている場合には、危険物取扱者丙種の取得がおすすめです。
 

毒物劇物取扱責任者の必要性

毒物や劇物が肌に付着したり、体内に入ったりすると、健康を損なう恐れがあります。従業員や周辺住民の健康を守るためにも、毒物劇物取扱責任者は毒物や劇物を適正に管理しなければなりません。また、毒物や劇物の管理を疎かにして紛失・盗難が発生した場合には会社の信用を大きく損なわせるため、毒物劇物取扱責任者の必要性は高いと言えます。


毒物劇物取扱者試験に合格するためには



毒物劇物取扱者試験に合格するためのポイントを解説します。

  • 難易度を考慮した受験場所を選ぶ
  • 過去問や問題集を解く
  • 通信講座などを活用する

難易度を考慮した受験場所を選ぶ

毒物劇物取扱者試験の難易度は受験する都道府県によって異なり、住所に関わらずどの都道府県でも受験できます。さらに、合格した際には全国どの都道府県でも毒物劇物取扱責任者になれるため、難易度や過去問から自分にとって合格のしやすい受験場所を選ぶことがおすすめです。
 
なお、過去問は都道府県の公式サイトで公開されていることが多いです。「○○(都道府県名) 毒物劇物取扱者試験」と検索すると公式サイトを検索できるため、気になる受験場所がある場合にはぜひ過去問を確認してください。
 

過去問や問題集を解く

都道府県によって問題の傾向が異なるため、受験予定の都道府県の過去問を解いて、出題形式や傾向に慣れることがおすすめです。公式サイトで入手できる分だけ過去問を解き、残りは市販の問題集を活用しながら暗記中心に勉強するとよいでしょう。
 
なお、毒物劇物取扱者試験の科目のひとつである基礎化学は、高校レベルの化学の知識があればスムーズに学習できます。問題集や過去問を解いてもなかなか理解できない場合には、高校生向けのわかりやすい参考書を用いて勉強してみるのもおすすめです。
 

通信講座などを活用する

「どのように学習を進めればよいのかわからない」「わからない部分が出てきたら質問したい」という場合には、通信講座の活用もひとつの手です。あらかじめ使用するテキストやスケジュールが決まっており、自分一人で使用するテキストやスケジュールを決める必要がありません。また、わからない部分は講師に質問できるため、わからない部分を放置して学習を進めなくてもよい点も魅力です。
 
通信講座の受講期間は3か月程度に設定されていることが多いです。一発合格を狙うのであれば、学習期間はしっかりと集中して勉強に取り組む必要があります。


毒物劇物取扱責任者の将来性



会社によっては、毒物劇物取扱責任者の資格を取得することで資格手当が出るところもあります。必ず支給されるとは限らないため、現在の勤務先で支給されるのか確認しておくとよいでしょう。

また、今後も毒物や劇物を取り扱う事業者がなくなることは考え難いため、今後も一定の需要は見込めます。転職を検討している人にも、おすすめの資格と言えます。


まとめ



業務で毒物や劇物の製造や販売・輸入などを行っている業者は毒物劇物取扱責任者の設置義務があります。毒物劇物取扱責任者には、従業員や周辺住民の健康を守るための責任があり、その業務を行うためには毒物劇物取扱責任者の資格を取得しなければなりません。
 
毒物劇物取扱責任者の資格は暗記が中心であり、それほど難易度は高くありません。しかし、合格のために過去問や問題集を解いて問題傾向に慣れるなど対策が必要です。また、受験場所によって難易度が異なるため、過去問などを確認して、自分が受かりやすいところを選ぶのもよいでしょう。
 
ぜひ本記事で解説した毒物劇物取扱責任者の試験概要や、合格するコツを参考にして、取得を目指してみてください。


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