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2024.02.27

派遣社員でも雇用保険に加入できる!加入条件や失業保険の受け取り方についても解説

派遣社員でも雇用保険に加入できる!加入条件や失業保険の受け取り方についても解説

雇用保険は、労働者が失業した際に生活に必要な給付や再就職への助けになるものです。しかし、派遣社員でも加入できるのか不安に思う人もいるでしょう。派遣社員は非正規雇用ではないため、雇用保険に加入できないと思われがちですが、企業で働いている人は「雇用保険」に加入するのが通常です。本記事では、派遣社員でも雇用保険に加入できるのか、加入条件や失業保険の受け取り方について詳しく説明します。

派遣社員でも雇用保険に加入できる

結論から言うと、派遣社員でも雇用保険に加入できます。そもそも雇用保険とは、労働者の生活と雇用の安定、就職の促進を目的とした保険制度です。失業者や教育訓練を受ける人に対して必要な給付を支給したり、労働者の能力開発および向上のためのサポートを行ったりします。 基本的に、正社員や派遣社員など雇用形態に問わず、民間企業に勤めているすべての人が加入する必要があります。ただし、派遣社員の場合は例外として、雇用契約期間と労働時間において条件が定められているので注意が必要です。
参考:厚生労働省|雇用保険制度

雇用保険の加入条件

派遣社員が雇用保険に加入するには、以下2つの両方を満たしていることが条件となります。

  • 契約期間が最低31日であること(もしくは31日以上になる見込みがあること)
  • 1週間の労働時間が20時間以上であること

それぞれ具体的にどういうことなのか、詳しく見ていきましょう。

契約期間が最低31日以上であること

派遣社員は、派遣先の企業と直接雇用の契約はせず、派遣会社と契約をし、派遣先の企業で従事することになります。よって、“派遣会社との契約期間”が最低31日以上であることが、雇用保険の加入条件となります。 派遣社員は契約更新に関して、派遣先の企業からではなく、派遣会社の担当者との面談等で意思確認をするケースがほとんどです。雇用保険へ加入する前に、契約時の更新規定を必ず確認しましょう。

また、平成22年4月1日から雇用保険制度が変わり、非正規労働者の雇用保険における適用範囲が広くなりました。これまで「契約期間が最低31日であること」が加入条件でしたが、「31日以上になる見込みがあること」と適用範囲が拡大しています。 つまり、雇用契約期間が31日未満であっても、原則31日以上の雇用が見込まれるものとして、雇用保険が適用されるというわけです。

参考:厚生労働省|【新】31日以上の雇用見込みがあること

1週間の労働時間が20時間以上であること

派遣社員が雇用保険に加入するもう1つの条件に、「1週間の労働時間が20時間以上であること」があります。よって、1週間の労働時間が20時間以下の場合は雇用保険に加入できません。
加入条件の「1週間の労働時間」は、あらかじめ労働契約で定められている時間になるため、残業や休日出勤など突発的な労働は含まれません。
残業を入れると1週間の労働時間が20時間以上でも、残業を入れなければ1週間の労働時間が20時間以内という場合は、雇用保険へ加入ができなくなります。突発的な労働を除外した上で、1週間の労働時間が20時間以上であることが雇用保険への加入条件です。

失業保険の受給資格

では、失業した場合、雇用保険の受給資格はどのようになっているのでしょうか。万が一のためにも、失業保険の受給資格を把握しておくことが大切です。

離職前2年間に被保険者期間が12ヶ月以上あること

原則として、失業保険を受給するには、離職前の2年間に被験者期間が12ヶ月以上必要となります。離職前の2年間、雇用保険の加入期間が12ヶ月以内の場合は、失業保険を受けることができません。
ただし、特定受給資格者(倒産や解雇など)や、特定理由離職者(心身の障害や妊娠など)は、最低限必要な雇用保険の加入期間は6ヶ月となります。

参考:厚生労働省|Q&A〜労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)〜

求職活動をしているが就業していないこと

基本的に、雇用保険の受給が可能な方は、内定や就職が決まっていない失業状態にある者です。
厚生労働省によると、失業とは以下のような状態のことを指します。

  • 積極的に就職しようとする意思があること
  • いつでも就職できる能力(健康状態・環境など)があること
  • 積極的に仕事を探しているにもかかわらず、現在職業に就いていないこと
上記の理由から、妊娠・出産・育児、病気やケガですぐに就職できない方や、就職の予定がない方、家事や学業に専念している方、自営業の方、会社などの役員に就任している方は受給できません。

参考:厚生労働省|Q&A〜労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)〜

特定受給資格者に該当する

失業保険の受給資格に該当せずとも、特定受給資格者に値する者は受給できます。 特定受給資格者とは、解雇や倒産などの理由で再就職の準備をする時間がないまま、離職を余儀なくされた人のことです。 ハラスメントや過剰な労働時間による退職も会社都合の退職に当てはまるので、特定受給資格者に該当します。

参考:ハローワークインターネットサービス|特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要

特定理由離職者に該当する

会社の都合退職に当てはまるのは、特定受給資格者だけに限りません。特定理由離職者に該当する者も、例外で失業保険の受給が可能になります。 特定理由離職者とは、定められた労働契約期間が満了し、かつ当該労働契約の更新がないことにより離職した者、もしくは正当な理由のある自己都合により退職した者のことです。 正当な理由としては、心身の障害、疾病、負傷、妊娠、出産、育児などがあります。

参考:ハローワークインターネットサービス|特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要

失業保険の受け取り方

では、失業保険はどのように受け取るのでしょうか。大まかな流れは以下のとおりです。

  • 雇用保険被保険者離職票を準備する
  • ハローワークで手続きをする
  • 雇用保険受給者初回説明会に参加する
  • 失業の認定を受ける
  • 失業手当を受給する

失業保険を受け取るには、しっかりとステップを踏む必要があります。また、各ステップで必要な書類も出てきますので事前の確認が必要です。

1.雇用保険被保険者離職票を準備する

まず、雇用保険被保険者離職票を準備しましょう。雇用保険被保険者離職票とは、離職したことを証明するための書類です。
勤めていた会社ではなく、ハローワークから発行されることになります。ハローワークで手続きを踏む際に必要な書類になるため、忘れずに準備してください。

なお、会社からハローワークに提出される「離職証明書」には離職理由が記載されます。離職理由は、雇用保険受給の手続きにおいて重要な区分になるため、事前に会社へ離職理由を確認しておきましょう。

2.ハローワークで手続きをする

雇用保険被保険者離職票が準備でき次第、ハローワークで失業保険の受給手続きを行います。
ハローワークで手続きをする際は、雇用保険被保険者離職票のほか、以下の書類が必要です。

  • マイナンバーが確認できる書類(マイナンバーカード・通知カードなど)
  • 本人確認書類(運転免許証・官公署が発行した写真付き資格証明書など)
  • 証明写真2枚
  • 印鑑
  • 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード

近場のハローワークで求職の申し込みを済ませた後、上記の必要書類を雇用保険被保険者離職票と併せて提出します。受給要件を満たしていることが確認されたら、受給資格の決定が下されるという流れです。

3.雇用保険受給者初回説明会に参加する

次に、指定日時に開催される「雇用保険受給者初回説明会」に参加します。
説明会では、雇用保険の受給に関する大切な内容が伝えられるので、「雇用保険受給資格者のしおり」と筆記用具を持参し、必ず出席してください。

なお、説明会で「失業認定申告書」と「雇用保険受給資格者証」を受け取り、第1回目の「失業認定日」を確認します。

4.失業の認定を受ける

失業の認定を受けるには、いくつか条件をクリアする必要があります。
原則として、4週間に1度、失業状態であることの確認を行います。指定された日に近場のハローワークへ赴き、「失業認定申告書」に求職活動状況を記入した後、「雇用保険受給資格者証」と一緒に提出してください。

なお、失業の認定範囲内における求職活動は、以下のとおりです。

  • 求人への応募
  • ハローワークが行う職業相談、職業紹介等を受ける、各種講習、セミナーの受講など
  • 許可・届出のある民間機関が行う職業相談、職業紹介等を受ける、求職活動方法等を指導するセミナーの受講など
  • 公的機関等が実施する職業相談等を受ける、各種講習・セミナー、個別相談ができる企業説明会等の受講、参加など
  • 再就職に資する各種国家試験、検定等の資格試験の受験

ハローワークや求人サイトで情報を閲覧したり、知人へ紹介依頼をしたりするだけでは、求職活動に当てはまりません。

5.失業手当を受給する

失業の認定を受けると、通常5営業日で指定の金融機関に振り込まれます。再就職が決まるまでの間は、所定給付日数を限度に受給が可能です。 なお、所定給付日数は、被保険者であった期間や離職理由、離職時の年齢などで異なります。

参考:ハローワークインターネットサービス|基本手当の所定給付日数

まとめ

雇用保険は、民間企業に勤めているすべての人が加入することになるため、派遣社員も加入できます。しかし、正規雇用とは異なり、派遣社員が雇用保険に加入するには、「契約期間が最低31日以上であること(もしくは31日以上になる見込みがあること)」「1週間の労働時間が20時間以上あること」という条件があるので注意が必要です。また、失業保険を受給するには、受給資格に当てはまるかがポイントになります。失業保険を受け取る際にも、しっかりと段階があるので事前に確認しておきましょう。

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