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CAE解析とは?メリットやエンジニアを目指す人が求められるスキル・業務内容を解説

これからエンジニアとして活動したいと思っている方に、ぜひ理解してほしいのが「CAE解析」です。


しかし、CAE解析とは具体的にどのようなものなのか、メリットやデメリットはあるのかなど、CAE解析がよく分からずに悩んでいる方は多いでしょう。

そこで、本記事では、CAE解析の基礎知識から、CAE解析エンジニアを目指すために必要なスキル・資格などについて詳しく説明します。


目次

CAE解析とは



CAE解析とは「Computer Aided Engineering」の略で、簡単に言うとコンピューター支援設計のことです。パソコンを用いて設計した機械のシミュレーションができるため、主に設計した製品を実際に作る前段階で使用します。
 
実際に機械を設計するには熱伝導や振動などの課題をクリアしなければなりませんが、コストの問題から試作機の製作や実験を何度も行うことはできません。しかし、CAE解析を活用すれば試作機を用いて実験をする必要がないので、コストを抑えながら機械設計のプロセスにおける課題をクリアしているか確認できるというわけです。
 
また、近年さまざまな業界でDX化が加速しており、商品の精度向上が求められています。CAE解析では、構造解析・熱解析・応力解析・液体解析といった製品の光学的特性が簡単に確かめられるので、効率的な検証が可能です。機械設計のプロセスにおいて、CAE解析はコストを抑えながら精度の高い機械設計に大きく貢献できることから、需要が高まっています。


CAE解析の種類



それでは、CAE解析にはどのような種類があるのでしょうか。主な種類は、以下の4つです。

  • 応用解析
  • 振動解析
  • 熱伝導解析
  • 流体解析

それぞれの解析方法と使用場面についてチェックしていきましょう。
 

応用解析

応用解析は、製品に力が加わったときにどのような影響が出るのかを確かめる解析です。製品の耐久性をチェックする際に欠かせないCAE解析で、製品がどの程度の力で壊れるのか、どのくらいの応力を有しているのかをチェックします。さまざまな種類のCAE解析がありますが、応用解析は基本、かつ重要な解析分野です。
 

振動解析

振動解析は、製品に振動を与えた際にどのような影響が出るのかを確認します。たとえば、凸凹のある道を走ることが多いロードバイクの場合、常に振動を受けることになるため、製品を作る前に振動解析で耐久性をチェックしなければなりません。使用時に振動が大きく関わる製品を作る際は、振動解析が必要不可欠です。
 

熱伝導解析

熱伝導分析は、製品にかかる熱伝導や安全に使用できる温度を調べます。熱伝導率の数値が高くなるほど熱が伝わりやすくなるので、取り扱いには十分な注意が必要です。特に、熱が発生しやすい製品やエンジン、モーターなどを製作する際に欠かせない解析分野となります。
 

流体解析

流体分析は、液体や気体といった流体の速度や熱、圧力などが製品に与える細かい影響を調べます。流体が製品に与える影響を視覚化することで、製造工程で流体がどのように移動しているのか確認できるほか、地震などの自然災害が発生した際の被害状況も予測可能です。主に、自動車エンジンルーム内における液体の流れ、車体周辺の空気の流れ方など、自動車製造でよく使用されています。


CAE解析のメリット


CAE解析の主なメリットは以下の4点です。

  • 時間とコストを削減できる
  • 高精度の解析ができる
  • 検証が難しい事象に対応できる
  • 環境への負荷が減らせる

メリットをしっかりと把握しておけば、CAE解析がうまく利用できるでしょう。それでは、それぞれのメリットについて詳しく説明します。
 

時間とコストを削減できる

CAE解析の大きなメリットは、時間とコストが削減できるという点です。機械製品の開発と設計をする際は、コストが決まっています。前述したように、試作品の検証には時間と手間がかかりますが、コンピューター上で検証できるCAE分析をうまく使えば、検証にかかる時間と手間が大幅に短縮できます。試作品をわざわざ作る必要もないので製作費用はもちろん、人件費がかからないという点も大きなメリットです。
 

高精度の解析ができる

高精度の解析ができるのも、CAE解析のメリットです。数値に基づいた解析になるため、目視では分からないような分析ができるほか、十分な解析とシミュレーションを行った後に試作機で最終確認をするという流れになってきています。従来の解析方法ではコンピューターの計算が追いつかず、大規模で複雑な製品の解析は難しいところがありましたが、CAE解析の精度もどんどん向上しているので、高い精度の解析作業もできるようになりました。
 

検証が難しい事象に対応できる

CAE解析は、検証が難しい事象にも対応できます。先ほど取り上げた大規模で複雑な製品の検証はもちろんのこと、たとえば、マイナス100度など使用環境の再現が難しいシミュレーションでもCAE解析を使えば実現できます。製品の使用環境や使用シーンに合わせて自由に検証できるのは、CAE分析の大きなメリットといえるでしょう。
 

環境への負荷が減らせる

CAE解析はさまざまな環境の中で検証ができるほか、環境にやさしいという点もメリットの1つです。試作品を用いて製品検証を行う場合、基本的に使用した試作品は処分することになります。検証するたびに試作品を作り処分していると、環境汚染につながる可能性があるでしょう。一方、CAE解析において試作品は不要なので、環境に悪影響を及ぼす心配はありません。


CAE解析のデメリット



続いて、CAE解析のデメリットを紹介します。主なデメリットは以下の2点です。

  • 専門的な知識が求められる
  • 実際の結果と異なる可能性がある

CAE解析のメリットだけでなく、デメリットも把握しておけば、より効率的に製品の検証ができるでしょう。
 

専門的な知識が求められる

CAE解析では使用方法が複雑な解析ソフトを使用することになるため、専門的な知識が必要になります。実際に、CAE解析の専門家が製品の検証を行うほど難易度の高いソフトとなっています。そのため、CAE解析ができる人材を見つけるのに苦労している企業も少なくありません。なお、専門知識としては、工学、FEM(有限要素法)、解析ソフトの操作に関する知識などが必要になります。
 

実際の結果と異なる可能性がある

CAE解析をする際、実際の結果と異なる可能性があることを把握しておく必要があります。あくまで、コンピューター上で製品の検証を行うため、シミュレーションの結果と実際に実験をした結果とではズレが生じることがあります。よって、CAE解析だけで製品の検証を完結させず、実際の製品を用いた実験も行うことが大切です。


CAE解析エンジニアを目指すには?



CAE解析エンジニアは未経験者でも目指せますが、前述したように、専門的な知識を身につけておく必要があります。CAE解析エンジニアへの転職を検討している方は、業務内容や必要なスキル・資格などをチェックしておきましょう。
 

CAE解析エンジニアの業務内容

CAE解析エンジニアの主な業務内容は、製品の設計段階でコンピューターを用いてシミュレーションを行い、製品の性能や安全性・品質などを検証することです。 CAE解析で出た数値を解析し、その結果をもとに製品の設計と仕様を変更するという大事な役割を担っている職種といえるでしょう。なお、製品の設計や仕様を変更した後は、再度解析を行います。
 

CAE解析エンジニアに向いている人

CAE解析エンジニアは製品の検証を正しく行い、どのような課題があるのか、その課題を解決するための解析をしっかりと把握する必要があります。工学的な知識と理解力はもちろんのこと、CAE解析で入力ミスをするとゼロにはできないので、入念なデータチェックや入力ミスを見つけるまでの忍耐力と粘り強さも必要です。
 
また、解析結果を分かりやすく伝えたり、設計と仕様の改善案を提案したりするなど、各部署とのコミュニケーションも大切になります。
以上のことから、忍耐力と粘り強さを持っている人、コミュニケーション能力がある人はCAE解析エンジニアに向いているといえるでしょう。
 

CAE解析エンジニアに必要なスキル・資格

CAE解析エンジニアに求められるスキルとして、工学的な知識と理解力、数学的なスキル、パソコンスキルが必要になります。中でも必要とされるのが、材料力学、有限要素法、CAEソフトに関する知識です。
 
CAE解析エンジニアに必要なスキルを身につけるために、以下の資格取得をおすすめします。

  • 計算力学技術者(CAE技術者)
  • 情報処理技術者試験
  • 固体力学分野の有限要素法解析技術者
  • 熱流体力学分野の解析技術者
  • 振動分野の有限要素法解析技術者

上記の中でも、計算力学技術者(CAE技術者)は、製品の開発・解析を高レベルで実現できる能力が保証できる認定資格です。この資格を取得することで、高度な技術を持ったCAE解析エンジニアとしてさまざまな現場で重宝されるようになるでしょう。
 
その他、情報処理の能力が証明できる「情報処理技術者試験」や、CAE解析分野がより深く理解できる「個体力学分野の有限要素法解析技術者」、「熱流体力学分野の解析技術者」、「振動分野の有限要素法解析技術者」があります。現場で実務経験を積み重ねながら、より専門的なスキルを習得し続ける姿勢もCAE解析エンジニアとしてスキルアップするために必要です。


まとめ



コンピューター上で製品の検証と解析を行うCAE解析は、さまざまな業界で活用されています。試作品を製作し実験せずとも、ソフトを使えばコンピューター上で製品が解析できるため、時間とコストの削減や高精度の解析が可能です。
 
ただし、CAE解析で使用するソフトは複雑かつ専門的な知識が必要になります。CAE解析エンジニアを目指している方は工学、FEM、解析ソフトの操作に関する知識を身につけたほうがいいでしょう。

なお、ワールドインテックのテクノ事業部では、技術者のキャリアアップ支援に取り組んでいます。全国ネットワークを活用した計画的なエンジニアの採用活動を実施し、独自の技術研修も行っているのでぜひチェックしてください。


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